簿記の目的
簿記を学び始めると、専門用語や複雑な解説が出てきて、「一体何をしているのか、どこを目指しているのか」と迷うこともあるかもしれません。
ですが、簿記の目的はとてもシンプルです。事業がどれだけの財産を持ち、どれだけの利益を出しているかを明確にすることです。
つまり、「利益がどれだけか」を知ることが簿記のゴールであり、事業を行っている本人が知りたいことと一緒なのです。難しく考えずに、「利益がどれだけか」を目指しましょう!
ゴール・目的は至ってシンプル:事業の財産と利益を計算すること
簿記のゴールは、事業のお金の流れを整理し、「財産がどれだけあるか」「利益がどれくらい出ているか」をはっきりさせることです。
- 財産とは:事業が持っている現金や設備、在庫など、つまり事業の資産です。
- 利益とは:収入から経費を引いた結果、つまり事業が最終的にどれだけ儲かったかを示す数字です。
いろいろな仕組みやステップはあるものの、ゴールは「財産と利益を正確に把握すること」にあり、簿記はそのための道具でしかありません。
財産と利益を知りたいから決算書を作る
財産や利益を知るためには、最終的に「決算書」を作成します。
決算書は1年間の事業活動をまとめたもので、「貸借対照表(BS)」と「損益計算書(PL)」によって、事業のお金の流れや財務状況をわかりやすく示します。
- 貸借対照表(BS)とは:事業の財産と負債を整理し、「どれだけの資産があるか」を確認するためのもの。
- 損益計算書(PL)とは:収益と費用から利益を算出し、「最終的にどれだけの利益が出たか」を明確にするもの。
簿記の学びが進むと細かいルールや手続きが登場しますが、根本的な目的は「事業がどれくらい儲かっているか」を確認することです。簿記は、このシンプルな目的を達成するためのツールなのです。
どうやって財産と利益を計算しよう
簿記の目的はわかったけど財産と利益を計算してくださいと言われたとき、皆さんはどうしますか?
利益だけなら売上と費用を合計して引き算すれば計算できそうです。しかし、財産まで計算するとなると?意外と難しいですよね。
そこで生まれたのが簿記という仕組みです。
ここでは簿記の仕組みについて出来るだけシンプルにお伝えしていきますね。
簿記の仕組み
簿記は、事業のお金の動きを「見える化」する方法です。お金の流れを次の4つの要素に分けて考えます。
- 持っているもの(資産):事業が所有する現金や物
- 借りているもの(負債):返済しなければならない借金など
- 入ってくるお金(収入):事業で得た売上や収益
- 出ていくお金(費用):事業で使ったお金
これらを「左側」と「右側」に分けて、事業の全体像を整理します。
- 左側には「持っているもの(資産)」と「出ていくお金(費用)」を記録
- 右側には「借りているもの(負債)」と「入ってくるお金(収入)」を記録
左右のバランスを保ちながら記録することで、入ったお金と出たお金が釣り合うようになります。最終的には、「収入から費用を引いた利益」が資産に追加される形で、正確な財務状況がわかります。
簿記の具体例
簿記の仕組みをシンプルにするために、具体例を挙げてみましょう。
例えば、事業で100万円の売上が発生し、そのうち30万円を経費として使ったとします。このときの仕訳は次のようになります:
1、売上が100万円あったとき
借方(左側):現金 100万円 / 貸方(右側):売上 100万円
ここで「現金 100万円」は事業に入ってきたお金(資産)で、左側に記録します。「売上 100万円」は事業で得た収入なので、右側に記録します。
2、経費として30万円使ったとき
借方(左側):経費 30万円 / 貸方(右側):現金 30万円
経費は事業で使ったお金なので、左側に記録し、減った分の現金を右側に記録します。
こうして、最終的な収入から費用を引いた「利益」は 70万円(100万円 – 30万円)となり、この利益が事業の「持っているもの(資産)」として左側に反映されます。
このように、実際のお金の動きを「収入」「支出」「資産」などの要素に分けて記録することで、事業のお金の流れがすっきりと整理されます。
最終的に「収入」「支出」「資産」などの項目ごとに集計し決算書を作り、全体像を把握します。
簿記の4つのボックスと左右のバランス
簿記の仕組みでは、事業のお金の流れを左右に分けて記録することで、シンプルに財務状態を把握します。
1、「持っているもの」と「借りているもの」のバランスを取る
左側に「持っているもの(資産)」、右側に「借りているもの(負債)」を配置します。こうすることで、事業が持っている財産と借金の状況が一目でわかります。
2、「稼いだお金」と「使ったお金」から利益を計算する
収入(稼いだお金)を右側に、費用(出ていったお金)を左側に記録します。このバランスを使って収入から費用を引き、利益を算出します。
決算書作成まで流れ
- 仕訳を集める
日々の取引を1件ずつ記録し、「仕訳」としてメモします。この仕訳が事業のお金の動きを整理する基本です。 - 仕訳をまとめて試算表にする
集めた仕訳をもとに、試算表として収入・支出、資産・負債を整理します。試算表はバランスを保つ役割があり、記録のミスがないか確認します。 - 試算表を分解して決算書を作る
最後に、試算表を「貸借対照表(BS)」と「損益計算書(PL)」に分け、財務状況を決算書として示します。
- 貸借対照表(BS):財産や負債を整理したもの
- 損益計算書(PL):収益と費用を基にした利益の状況
この流れで事業の財務状況をまとめ、経営判断や税務申告に活用します。
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