【現役税理士が解説】領収書とレシート、経費にするならどっち?保管のコツと「証拠」の法律論

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はじめに:まだ「領収書ください」と言っていませんか?

コンビニやスーパー、飲食店での会計時。「経費にするから」という理由で、わざわざ店員さんに手書きの領収書をお願いしていませんか?

実はそれ、今すぐやめて大丈夫です。

むしろ、税務的な観点から見ると、手書きの領収書よりも**「レジから出るレシート」の方が証拠として優秀**なケースがほとんどだからです。

この記事では、現役税理士が以下の疑問にズバリお答えします。

  • なぜレシートの方が信用されるのか?
  • インボイス制度で「宛名なし」でも大丈夫な理由
  • 高額な支払いの時はどうする?
  • ズボラでも続く!書類の保管と整理のコツ

「レシートか領収書か」の迷いをなくし、確定申告のストレスを減らしましょう。

1. 結論:基本は「レシート」が最強である3つの理由

昔は「宛名入りの手書き領収書こそが正式な書類」という風潮がありましたが、現在は逆転しています。基本的にはレシートをもらうべきです。理由は3つあります。

① 情報量が圧倒的に多い

手書きの領収書でよくある「但し書き:お品代」という記述。これは税務調査で最も嫌われます。「本当は何を買ったの?プライベートな買い物じゃないの?」と疑われやすいからです。

一方、レシートには**「具体的な購入品目」「単価」「個数」**が印字されています。何も言わなくても「これは事業に必要な文房具を買った」と証明できる、最強の証拠資料なのです。

② インボイス制度でのミスが少ない

インボイス(適格請求書)として認められるためには、「登録番号」や「税率ごとの消費税額」などの細かい記載が必要です。

手書きの場合、店員さんが番号を書き忘れたり、税率計算を間違えたりするリスクがあります。レジから自動発行されるレシートなら、記載漏れのリスクはほぼゼロです。

③ 時間の節約

単純に、書いてもらうのを待つ時間はもったいないですよね。レシートなら一瞬で終わります。

2. でも「宛名」がなくて大丈夫?(インボイスの特例)

「インボイス制度では、請求書に『宛名(支払った人の名前)』が必要だと聞いたけど?」

と心配される方も多いですが、ここには例外(特例)があります。

スーパー、コンビニ、飲食店、タクシーなど、不特定多数を相手にするビジネスに関しては、宛名の記載を省略した**「適格簡易請求書(簡易インボイス)」**の発行が認められています。

つまり、これらのお店でもらうレシートは、宛名がなくても正式なインボイスとして経費処理に使えます。 「名前を書いてもらわないと経費にならない」というのは思い込みですので、安心してください。

3. 【深掘り】実は法律によって「レシートの重要度」が違う?

ここからは少し専門的な、税理士ならではの「法律の裏話」をします。 実は、**「消費税法」「法人税法(所得税法)」**では、書類に対するスタンスが少し違います。

消費税法は「紙がないとダメ」

消費税の計算で「支払った消費税」を差し引く(仕入税額控除)ためには、**インボイス(レシート等)の保存が「要件」**となっています。 つまり、法律の立て付けが厳格で、「書類がないなら、原則として消費税は引かせません」というスタンスです。

法人税・所得税法は「事実があればOK」

一方で、利益に対する税金(法人税や所得税)については、**「実質主義」が重視されます。 法律上の保存義務はもちろんありますが、最も大事なのは「本当に事業のために支払った事実があるかどうか」**です。

極端な話、レシートを紛失してしまったとしても、以下の事実を客観的に説明できれば、経費として認められる余地は十分にあります。

  • 確かに支払った事実がある(通帳の履歴など)
  • 事業に使った事実がある

結論:「あきらめないで!」

何が言いたいかというと、「レシートをなくした=絶対に自腹」と諦めないでほしいということです。

もちろん、消費税の控除を受けるためにレシート等の保存は全力ですべきです(努力義務)。 しかし、もし紛失してしまった場合でも、**「出金伝票」**に日付・支払先・内容を記録し、支払った事実を経費として計上しましょう。

「支払ったのが事実なら、しっかり経費算入する」

これが節税の第一歩です。

4. ズボラでも続く!保管と整理のコツ

最後に、確定申告前に絶望しないための、現実的な整理術と**「マイルール」**のすすめを紹介します。

  • ① 財布の中で分ける これが一番重要です。財布の中に仕切りを作るか、ポケットを分け、「事業用」と「プライベート用」のレシートが混ざらないようにしましょう。家に帰ったら事業用だけ取り出せばOKです。
  • ② 「月別封筒」に投げ込むだけでOK 几帳面にノートにのり付けする必要はありません(税務署も見られれば文句は言いません)。 「1月」「2月」…と書いた封筒やクリアファイルを用意し、そこに月ごとのレシートを放り込むだけで十分です。
  • ③ 【重要】高額な支払いは「領収書」をもらうルールを作る 普段はレシートで十分ですが、金額が大きい場合はあえて「手書き(またはA4等の正式な)領収書」をもらうという自分なりのルールを決めるのがおすすめです。(例)「10万円以上の支払いは、必ず領収書をもらう」高額な備品などは減価償却で数年にわたって帳簿に残ります。レシートの感熱紙は時間が経つと消えてしまうリスクがあるため、重要な買い物こそしっかりした紙で残すのが安全です。 ※この場合、購入内容がわかるように但し書きを具体的にするか、レシートも一緒に保管しておくと完璧です。

まとめ

  • 基本は「レシート」: 情報が詳細で、インボイス対応も完璧。
  • 高額な時は「領収書」: 10万円以上など基準を決めて、長期保存に備える。
  • 法律の二面性: 消費税のためには保存必須。でも法人税・所得税は「事実」があれば経費にできる可能性大。
  • 諦めない心: レシート紛失時も、出金伝票などで事実を残し、経費計上を検討しよう。

「完璧な書類保存」を目指す努力はしつつ、形式にとらわれすぎて経費を漏らしてしまうのは本末転倒です。 正しい知識を持って、賢く経理を進めていきましょう!

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