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更新日 2026-08-13 経理と確定申告

確定申告をe-Taxで出す手順|作成コーナーとe-Taxソフトの違い・マイナンバーカード方式・納付まで

確定申告書は作れたけれど、そこから先で止まってしまう。提出でつまずく人がいちばん多いのはこの場面です。

原因のほとんどは、道具と方式を混同していることにあります。「どのソフトで作るか」と「どの方式でe-Taxに送るか」は別々の選択で、個人の確定申告なら作るのは確定申告書等作成コーナー、送るのはマイナンバーカード方式が基本の組み合わせです

この記事の結論

  • 所得税の確定申告書を作るなら確定申告書等作成コーナー。e-Taxソフトは源泉所得税や各種届出のための道具で、用途が違う
  • e-Taxに送る方式はマイナンバーカード方式ID・パスワード方式の2つ。後者は令和7年10月1日に新規発行が停止された
  • ID・パスワード方式は令和9年分の確定申告から利用できなくなる予定と告知されている。これから始めるならマイナンバーカード方式一択
  • パソコンでもICカードリーダライタは必須ではない。スマートフォンでQRコードを読む方式で代用できる
  • 青色申告特別控除65万円はe-Tax送信が必須ではない。優良な電子帳簿の保存と届出でも要件を満たせる
  • ただし令和9年分以降は書面申告の控除上限が10万円になる。65万円と75万円はe-Tax送信が前提になる
  • 送信したら受信通知まで確認する。送信ボタンを押しただけでは受理を確認したことにならない
  • 納付は申告と別の手続き。振替納税を使うなら、その国税の納期限までに依頼書を出す

1. 「作る道具」と「送る方式」を分けて考える

e-Taxまわりの説明がわかりにくいのは、性格の違う2つの選択が同じ場所で語られるからです。整理すると、決めることは2つだけです。

  • 作る道具 … 確定申告書等作成コーナー、e-Taxソフト、市販の会計ソフトのいずれで申告書のデータを作るか
  • 送る方式 … できたデータをe-Taxに送るとき、本人確認をマイナンバーカード方式とID・パスワード方式のどちらで行うか

この2つは掛け算の関係です。作成コーナーで作ってマイナンバーカード方式で送る、という組み合わせが個人の確定申告では最も一般的になります。

なお、この記事は提出の実務に絞っています。記帳から決算整理を経て申告書ができあがるまでの順番は決算書はいつ何を確定させるかにまとめました。そもそも申告が必要かどうかは確定申告が必要な人・不要な人を先に読んでください。

2. 確定申告書等作成コーナーとe-Taxソフトはどう違うか

名前が似ているので混同されますが、国税庁が用意している個人向けのソフト・コーナーは用途がはっきり分かれています。国税庁自身が「所得税の確定申告には、確定申告書等作成コーナーをご利用ください」と案内しています。

ソフト・コーナー できること
確定申告書等作成コーナー(パソコン) 所得税、消費税、贈与税の申告。青色申告決算書・収支内訳書もここで作れる
確定申告書等作成コーナー(スマホ・タブレット) 所得税、消費税の申告。申請・届出はできない
e-Taxソフト(WEB版) 源泉所得税、法定調書、納税関係、納税証明関係の手続き。メッセージボックスの閲覧やマイページの確認
e-Taxソフト(ダウンロード型) 贈与税を除くすべての申告と、各税目の申請・届出

つまり、個人事業主が毎年やる所得税と消費税の確定申告は、作成コーナーだけで完結します。e-Taxソフトを開く場面は、従業員の源泉所得税を納めるときや、振替納税・ダイレクト納付の届出をオンラインで出すとき、メッセージボックスを見るときです。

会計ソフトから直接e-Taxへ送る道もありますが、青色申告決算書と確定申告書をまとめて送れるかはソフトによって違います。使っているソフトの対応範囲を確認してください(freee・マネーフォワード・弥生、結局どれか)。

3. マイナンバーカード方式とID・パスワード方式

e-Taxを使うには、まず利用者識別番号(半角16桁の番号)が要ります。そのうえで、送信時の本人確認をどちらの方式で行うかを選びます。

マイナンバーカード方式

マイナンバーカードを事前に登録しておくと、利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)を入れるだけでe-Taxにログインできます。利用者識別番号とパスワードを覚えておく必要がなくなり、電子証明書の登録という事前準備も不要になります。スマートフォンに搭載したマイナンバーカードも使えます。

カードを作るときに設定する暗証番号は3種類あり、使いどころが違います。ここを取り違えて何度も間違えると、ロックがかかって窓口に行くはめになります。

暗証番号の種類 形式・ロック回数・使いどころ
署名用電子証明書 英数字6文字以上16文字以下。5回連続で間違えるとロック。申告データに電子署名するときに使う
利用者証明用電子証明書 数字4桁。3回連続で間違えるとロック。e-Taxにログインするときに使う
券面事項入力補助用 数字4桁。3回連続で間違えるとロック。氏名・住所・生年月日・性別を読み取るときに使う

電子証明書の有効期限は5年間です。失効した場合は市区町村の窓口で更新すれば、また使えるようになります。申告直前に気づくと間に合わないので、1月のうちに確認しておくと安全です。

ID・パスワード方式

税務署の窓口で職員の対面による本人確認を受けて発行してもらったIDとパスワードで送信する方式です。確定申告書等作成コーナーでのみ使え、この方式なら電子署名が不要になります。マイナンバーカードもICカードリーダライタも要らないため、カードを持っていない人の受け皿になってきました。

ただし、国税庁はこの方式を「マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応」と位置づけており、令和7年10月1日をもってID・パスワードの新規発行を停止しました。すでに届出をしている人は引き続き使えますが、e-Taxのサイトには「ID・パスワード方式は、令和9年分確定申告からは利用できなくなる予定です」と記載されています。

これから電子申告を始める人が選べる方式は、事実上マイナンバーカード方式だけになったということです。カードの読み取りでつまずいたときの対処はe-Taxでマイナンバーカードが読み取れないときにまとめています。

4. パソコンにICカードリーダライタは要らない

マイナンバーカード方式でパソコンから申告するとき、以前はICカードリーダライタが必要でした。いまはQRコード認証があるので、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンで代用できます。

手順はこうです。パソコンの画面で「スマートフォンを利用」を選ぶとQRコードが表示されるので、スマートフォンに入れたマイナポータルアプリでそれを読み取ります。あとはスマートフォン側で利用者証明用電子証明書のパスワードを入れてカードをかざせば、パソコン側のログインが完了します。タブレットからも同じやり方が使えます。

マイナポータルアプリを入れていない場合は、事前にインストールしておきます。申告の当日にアプリを探すことになると、それだけで時間を取られます。

5. スマートフォンだけで出すとき

スマートフォン向けの確定申告書等作成コーナーは、所得税と消費税の申告に対応しています。贈与税と、各種の申請・届出はスマートフォンからはできません。

スマートフォンで申告するときに効いてくるのがマイナポータル連携です。控除証明書等のデータをまとめて取得し、申告書に自動で入力できます。連携できるものには次のようなものがあります。

  • 医療費通知情報(毎年2月9日以降、保険診療分の情報を取得できる)
  • ふるさと納税の寄附金受領証明書、寄附金控除に関する証明書
  • 生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書
  • 住宅ローン控除の年末残高等証明書
  • 特定口座年間取引報告書
  • 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書

ただし、どれも発行元がマイナポータル連携に対応していることが前提です。国民年金保険料の控除証明書をデータで受け取るには、申告する前年の10月中旬までにマイナポータルとねんきんネットを連携し、ねんきんネットで電子送付の希望を登録しておく必要があります。3月に思い立っても間に合わない類のもので、証明書の集め方は証明書が届く順に並べた段取りガイドを参考にしてください。

6. 青色申告特別控除は「出し方」で金額が変わる

ここは誤解が多いところです。65万円の青色申告特別控除にe-Taxが必須だと書かれていることがありますが、正確には違います。

正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して期限内に提出する。これが55万円の要件です。そのうえで、次のどちらかを満たすと65万円になります。

  • その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、優良な電子帳簿の要件を満たして電子データで備付け・保存を行い、届出書を提出する
  • e-Taxで電子申告を行う

つまりe-Taxは2つのうちの片方であって、必須条件ではありません。ただし、優良な電子帳簿の要件は「訂正・削除・追加の履歴が残ること」「帳簿間で相互関連性があること」「日付・金額・相手方で検索できること」を満たす必要があり、届出書も要ります。実際にはe-Tax送信のほうが早い、というのが現実的な結論です(65万・55万・10万の分かれ道)。

この関係は、令和9年分の確定申告から変わります。国税庁が令和8年8月に公表した資料によれば、令和8年分の確定申告までは書面申告でも55万円の控除が使えますが、令和9年分以降は書面申告の場合の控除上限額が10万円になります。あわせて控除額の区分が75万円・65万円・10万円に変わります。75万円を受けるには65万円の要件に加えて、優良な電子帳簿の保存またはデジタルシームレス保存を行い、確定申告期限までに届出書を出すことが必要になります。

言い換えると、これまで書面で55万円を取っていた人は、令和9年分からe-Taxに移らないと控除が10万円まで落ちます。移行の準備は1年前から始めておく話です。

7. 送信したあとに必ず見る画面

送信ボタンを押した時点では、まだ受理を確認したことになりません。e-Taxの流れは2段階です。

  • 即時通知 … 送信直後に、データ形式やファイルサイズのチェック結果、受付番号、受付日時、受付ファイル名、利用者識別番号が画面に表示される
  • 受信通知 … しばらくしてから、必須項目の入力や電子証明書の有効性などの審査結果がメッセージボックスに届く

国税庁は、時間をおいて再度e-Taxにログインし、受信通知を必ず確認するよう案内しています。即時通知の画面からも受信通知を確認できます。ここを見ずに閉じてしまうと、エラーで受け付けられていないことに気づかないまま期限を過ぎる、ということが起こります。

提出期限そのものは、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までです。期限が土曜日・日曜日・祝日にあたるときは翌日にずれます。実際、令和7年分の所得税の申告・納付期限は令和8年3月16日(月)、個人事業者の消費税は令和8年3月31日(火)でした。

8. 納付は申告とは別の手続き

申告書を出しても、税金が自動で引き落とされるわけではありません。国税庁は「申告書の提出後に税務署から納付書の送付や納税通知等のお知らせはありません」と明記しています。納付手段は自分で選んで手続きします。

納付手段 特徴
振替納税 口座引落し。手数料なし、金額の上限なし。事前に依頼書の提出が必要
ダイレクト納付 e-Tax送信後に口座から即時または期日指定で引落し。手数料なし。事前に届出書が必要
インターネットバンキング等 ペイジー対応の金融機関から電子納付。国税側の手数料は不要。e-Taxの利用開始手続きが必要
クレジットカード納付 1度の手続きにつき1,000万円未満。納付税額に応じた決済手数料がかかる(1円から10,000円までで99円、以降10,000円を超えるごとに加算)
スマホアプリ納付 30万円以下に限る。決済手数料なし。アプリの残高からの支払いのみ。e-Tax経由でアクセスする
コンビニ納付(QRコード) 30万円以下に限る。自宅で作ったQRコードをコンビニの端末で読み取る
窓口納付 金融機関または税務署の窓口に現金と納付書を持参。金額の上限なし。領収証書が発行される

個人事業主に向いているのは振替納税です。手数料がかからず、上限もなく、口座の変更や取りやめをしない限り翌年以降も自動的に続きます。ただし振替依頼書は、利用したい国税の納期限までに提出する必要があります。e-Taxソフト(WEB版)からオンラインで送ることもできます。

引落しの日は、申告期限より後ろにずれます。令和7年分でいえば、所得税の納期限が令和8年3月16日で振替日は令和8年4月23日、消費税の納期限が令和8年3月31日で振替日は令和8年4月30日でした。翌年分の振替日は国税庁が確定次第公表するので、その年の日付を確認してください。約1か月の猶予が生まれる一方で、残高不足だとその猶予が意味を失います(確定申告後の税金はいつ・どう払うか)。

なお、振替納税を使うと納付書は送られてきません。ダイレクト納付を選んだ場合も、確定申告用の納付書は送付されません。

9. 還付を受けるとき

納めすぎた税金が戻る場合、支払手続きにかかる日数は提出方法で変わります。国税庁は、確定申告期間中はおおむね1か月から1か月半程度を要するとしたうえで、自宅や税理士事務所等からe-Taxで提出された還付申告は3週間程度で処理していると案内しています。訂正申告など同一人について複数回の申告がある場合や、書類の不備、書面での別送書類がある場合は、この3週間程度の対象から外れます。

処理状況は自分で確認できます。e-Taxで還付申告をしてから2週間程度経過した日以降、e-Taxソフト(WEB版)のマイページから還付金処理状況を見られます。書面で出した場合は1か月程度経過した日以降です。

受取口座で気をつけたいのが名義です。口座名義に店名や事務所名などの屋号が含まれていると振込みができません。申告者本人の氏名のみの口座を指定してください。屋号付き口座を事業のメイン口座にしている人は、還付だけ個人名義の口座を指定することになります。

よくある質問(FAQ)

Q. マイナンバーカードを持っていません。今年はどうやって出せばいいですか

すでにID・パスワード方式の届出をしている人は、その方式を引き続き使えます。届出をしていない人は、令和7年10月1日以降は新規発行が停止されているので、書面で提出するか、マイナンバーカードを取得することになります。青色申告特別控除の金額にも関わってくるので、カードの取得を先に進めるほうが結果的に早く済みます。

Q. スマートフォンだけで青色申告決算書まで作れますか

スマートフォン向けの確定申告書等作成コーナーは所得税と消費税の申告に対応しています。ただし画面の広さの問題があるので、貸借対照表まで作るならパソコンのほうが現実的です。パソコンで作ってスマートフォンをカードリーダー代わりに使う、という組み合わせもできます。

Q. 送信したデータを間違えていました。やり直せますか

申告期限内であれば、正しい内容で作り直して送信し直せます。期限を過ぎてから誤りに気づいた場合は、修正申告または更正の請求という別の手続きになります。いずれにしても、気づいた時点で早く動くほど負担が軽くなります。

Q. 消費税の申告もe-Taxで出せますか

出せます。確定申告書等作成コーナーはパソコンでもスマートフォンでも消費税に対応しています。ただし所得税とは別の申告なので、別途データを作って送信します。期限も別で、所得税より後ろにずれます。

Q. 納める税金が用意できません。とりあえず申告しないほうがいいですか

申告と納付は別の手続きです。納められない状況でも、期限内に申告書だけは出しておくほうが有利になります。無申告加算税は申告をしなかったことに対してかかるもので、期限内に申告していればこれは発生しません。納付が遅れた分の延滞税は別途かかりますが、無申告加算税と両方を負うよりは軽く済みます。納付が難しい場合は、税務署に猶予の相談窓口があります。

まとめ

  • 作る道具と送る方式を分けて決める。所得税の申告なら確定申告書等作成コーナーで作り、マイナンバーカード方式で送るのが基本形
  • ID・パスワード方式は新規発行が停止済み。令和9年分の確定申告から利用できなくなる予定と告知されているので、マイナンバーカードの取得を前提に組み立てる
  • ICカードリーダライタは買わなくてよい。パソコンの画面のQRコードをスマートフォンで読み取れば代用できる
  • 65万円控除にe-Taxは必須ではない。優良な電子帳簿の保存と届出でも要件を満たせる。ただし令和9年分から書面申告の上限は10万円になる
  • 送信後は受信通知まで見る。即時通知だけで閉じると、受け付けられていないことに気づかない
  • 納付は自分で手続きする。申告書を出しても納付書は届かない。振替納税を使うなら、その国税の納期限までに依頼書を出す
  • 還付口座は個人名義で指定する。屋号入りの口座には振り込まれない

この記事の主な根拠(出典)

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この記事の位置づけ

この記事は「7 決算書と申告書を出す」の詳細です。

確定申告は、2種類の書類を作る作業です——コース全体のどこにあたるかは、全体像のページで確認できます。

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