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更新日 2026-07-23 経理と確定申告第16回

青色申告65万円控除の条件は“複式簿記”だけじゃない|e-Tax提出が必須と知らずに10万円損しないために

1年分の記帳を複式簿記でやり切った。「これで65万円控除だ」——そう思って紙で申告した瞬間、控除は55万円に。知らないうちに10万円を取りこぼす人が、毎年たくさんいます。

青色申告特別控除の65万・55万・10万の差は、実は「帳簿のつけ方」だけでは決まりません。最後の“提出方法”が効いてきます。この記事で、あなたが今どの控除額になるのか、そして65万を確実に取る最短ルートを確定させます。

この記事の結論
– 控除額は「①帳簿 ②期限内申告 ③提出方法」の3段階で決まる
65万=複式簿記+貸借対照表添付+期限内申告e-Tax(または電子帳簿保存)
55万=複式簿記+貸借対照表添付+期限内申告(紙で提出)
10万=上記の要件を満たさない場合(簡易簿記など)
– 65万と55万の差は「電子申告するかどうか」だけ。会計ソフトができているなら、e-Taxで送るだけで+10万円

控除額が決まる「3つの関門」

65万円にたどり着くには、次の3つを全部クリアする必要があります。1つでも欠けると金額が下がります。

関門 65万円 55万円 10万円
① 帳簿 複式簿記 複式簿記 簡易簿記でも可
② 添付・申告 貸借対照表+損益計算書を添付し、期限内申告 同左 損益計算書中心
③ 提出方法 e-Tax または 電子帳簿保存 紙でOK 紙・電子どちらでも

「複式簿記で記帳した=65万」ではなく、複式簿記は“入場券”にすぎません。そこから②③をクリアして初めて65万に届きます。

① 帳簿:複式簿記は会計ソフトが肩代わり

「複式簿記なんて簿記の資格がないと無理」と身構える必要はありません。freee・マネーフォワード・弥生などの会計ソフトは、日々の入力から自動的に複式簿記の帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)と、貸借対照表・損益計算書を作ってくれます。 銀行口座やカードを連携すれば入力の多くも自動。65万のハードルは、昔よりずっと下がっています。

② 期限内申告:3月15日を過ぎると65万・55万が消える

見落とされがちですが、期限内申告(原則3月15日まで)も65万・55万の条件です。1日でも期限を過ぎて提出すると、複式簿記でe-Taxでも、控除は10万円に落ちます。「記帳は完璧なのに、提出が遅れて45万円損」——これは本当にもったいない失敗です。

③ 提出方法:65万と55万の分かれ目はここだけ

65万と55万の帳簿要件は同じ(複式簿記+貸借対照表)。違うのは最後の提出方法だけです。

  • 複式簿記の帳簿を、e-Taxで電子申告65万円
  • 同じ内容を紙で提出55万円(10万円の差)

つまり、会計ソフトで複式簿記の帳簿ができているなら、あとはe-Taxで送るだけで+10万円。ここを紙で出して10万円損している人が後を絶ちません。

なお、e-Taxの代わりに「電子帳簿保存」でも65万を満たせますが、こちらは“優良な電子帳簿”の要件や事前手続きがあり、実務上のハードルはe-Taxより高め。素直にe-Taxで出すのが最短です。e-Taxの提出でつまずきやすい点はe-Taxでマイナンバーが読み取れないときにまとめました。

65万を確実に取る「最短ルート」

やることは、たった2つに集約できます。

  1. 会計ソフトで複式簿記の帳簿を作る(口座・カード連携で自動化)
  2. 期限内(3月15日)に、e-Taxで申告する

この2つを満たせば65万円。あとは貸借対照表・損益計算書がソフトから自動出力されるので、金額が合っているかを確認するだけです。前提として青色申告承認申請書を期限内に出していることが必要なので、まだの人は青色申告承認申請書の提出期限を先に確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 貸借対照表の数字が合わない。65万円は諦めるしかない?
多くは「事業主貸/事業主借の混同」「現金残のズレ」「期末在庫の入れ忘れ」が原因です。会計ソフトの残高を1つずつ突き合わせれば合います。焦らず決算整理を見直しましょう(→ 決算整理から提出までの全体マップ)。

Q. 事業所得ではなく雑所得でも65万円控除は使える?
使えません。青色申告特別控除は事業所得・不動産所得(事業的規模)・山林所得が対象です。雑所得には適用されません。

Q. 不動産所得だけど、アパート1室でも65万円取れる?
不動産所得で65万(55万)を取るには、事業的規模(おおむね5棟10室基準)が必要です。規模がそれ未満だと、複式簿記でも10万円控除になります。

Q. 紙で出してしまった。あとからe-Taxにやり直せる?
期限内であれば、訂正申告(e-Taxで出し直し)で65万に切り替えられる場合があります。期限が近いなら、最初からe-Taxで出すのが安全です。

まとめ

  • 控除額は帳簿・期限内申告・提出方法の3段階で決まる
  • 65万=複式簿記+期限内+e-Tax55万=同じ帳簿を紙で10万=それ以外
  • 65万と55万の差は「電子申告するかどうか」だけ
  • 期限(3/15)を過ぎると10万に転落——記帳が完璧でも間に合わせる
  • 最短ルートは会計ソフト+e-Taxの2つだけ
この記事の主な根拠(出典)

  • 租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除。65万円は複式簿記・貸借対照表添付・期限内申告に加え、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存が要件)
  • 所得税法143条・144条(青色申告の承認・申請期限)
  • 国税庁タックスアンサー No.2072(青色申告特別控除)/No.2070(青色申告制度)
  • ※2026年時点の制度に基づく

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