頼み方と確かめ方を覚える──AIへの頼み方と、間違いの見つけ方
AIに仕事を頼むと、返ってくるものはいつも整っています。表はきれいに揃い、文章はなめらかで、数字は自信ありげに並ぶ。問題は、その整った顔のまま間違えることです。
この記事は、コース「経理のAI活用」第4章の解説です。AIに何かを渡すたびに毎回使う2つの型──頼み方の3点セットと検証の原則をまとめます。
この記事の結論
– 頼むときは目的・前提・出力の形の3つを先に渡す
– AIの間違いは「桁・取り違え・勝手な補完」の3種類が定番。どれも整った形で出てくる
– 検証の原則は「別のやり方で、もう一度」。出力を読み直すのは検証ではない
– 合計を別の方法で出し直すだけで、事故の大半は手前で止まる
頼み方は3点セット──目的・前提・形
同じAIでも、頼み方で結果は大きく変わります。効くのは、作業に入る前にこの3つを伝えることです。
- 目的──何のためにやるのか。「督促の準備のため、入金が確認できない人を挙げたい」
- 前提──決まっていることは何か。「家賃は前月末締め。この表の金額は税込」
- 出力の形──どんな形で返してほしいか。「氏名・金額・滞納月の3列の表で」
この3つを省くと、AIは足りない部分を想像で埋めます。もっともらしい答えが返ってきますが、前提が違えば全部やり直しです。最初の1業務でつまずかない指示の組み立て方はAIへの「頼み方」で結果は変わるで詳しく扱っています。
AIは、それらしく間違える
頼み方を整えても、間違いはゼロになりません。しかも間違い方には型があります。定番は3つです。
- 桁の間違い──120,000円が1,200,000円になる。表の中では自然に見える
- 取り違え──田中様と田仲様、似た名前・似た科目・似た日付を混ぜる
- 勝手な補完──書いていない前提を補い、もっともらしく埋める
共通するのは、どれも整った形で出てくることです。誤字だらけの書類なら疑いますが、AIの間違いは疑うきっかけをくれません。実際に起きた失敗の記録はAI実務のヒヤリハット集に集めてあります。
検証の原則は「別のやり方で、もう一度」
だから検証を省くことはできません。ここで言う検証とは、出てきたものを注意深く読み直すことではありません。別のルートで同じ答えにたどり着くかを確かめることです。
- AIが出した合計を、表計算や電卓で出し直す
- 件数を数える──入力が30件なら、出力も30件か
- 1件だけ抜き取って、元の資料と突き合わせる
全部を人が二重にやり直すわけではありません。合計・件数・抜き取りの3点だけ別ルートで確かめれば、桁の間違いも取り違えも、ほとんどこの網にかかります。手順の全体はAI出力を検証する方法へ。
渡すたびに使うチェックリスト
最後に、毎回の型を5行にまとめます。印刷して手元に置ける分量です。
- 目的・前提・出力の形を先に伝えたか
- 渡したデータに、顧客の実名・実額が残っていないか(第3章)
- 合計を別の方法で出し直したか
- 入力と出力の件数は合っているか
- 1件抜き取って、元の資料と一致したか
この5行を通ってから、成果物を実務に使います。通らなかったら、使わない。それだけで、AIは「速いけれど怖い道具」から「速くて頼れる道具」に変わります。
この型が回るようになったら、次は第5章「小さな道具を1つ作る」です。
この記事は「4 頼み方と確かめ方を覚える」の詳細です。
AIに仕事を任せる前に、決めることが3つあります——コース全体のどこにあたるかは、全体像のページで確認できます。
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