番号を押すと、その章に飛びます。
経理・税務の実務にAIを使いたい人に向けたコースです。プログラミングの知識は前提にしていません。内容は2026年7月時点のものです。
AIを実務に使うとき、多くの人はいきなり「やらせてみる」から始めます。それでうまくいかないのは、たいていAIの性能のせいではありません。何を渡すか、情報をどう守るか、出てきたものをどう確かめるか——この3つを決めていないからです。
順番は、上の5つです。1と2は最初に一度だけ。3と4は渡すたびに毎回。5は、そこまで来てからで十分です。
あなたはいま、どこにいますか
| AIを実務で使ったことがない | 1 から順番に読んでください |
|---|---|
| 使ってはいるが、実務に渡すのは怖い | 2 で線を引いてから 3 へ |
| 顧客情報を入れていいのか分からない | 3。結論は「そのまま渡さない」 |
| 出てきた答えが合っているか不安 | 4。検証は省けません |
| 自分の業務に合う道具がほしい | 5 に、実際に作った2例があります |
1道具を知る
チャットAIとの違いを知り、まず自分のパソコンで動く状態にする
「AIに質問する」道具と、「AIに作業させる」道具は別物です。前者は聞いて答えをもらうもの、後者は手元のファイルを読んで、書き換えて、実行するものです。実務を渡したいなら、必要なのは後者になります。
導入はエンジニアでなくてもできます。ただし、つまずくところはだいたい決まっています。前提の確認、入れる順番、動かないときに見る場所。ここを順番どおりに進めれば、たいてい越えられます。
2渡す業務を仕分ける
「渡していい業務」と「渡してはいけない業務」の線を、使う前に引いておく
仕分けの軸は2つです。間違えたときに取り返しがつくかと、正しいかどうかを自分で確かめられるか。
下書き、整理、転記、比較、集計。この種の作業は、間違っても自分が気づいて直せます。渡して大丈夫です。逆に、判断そのもの、署名や押印を伴うもの、そして確かめる手段がないものは渡せません。合っているか確認できない仕事を渡すのは、任せているのではなく、丸投げして祈っているだけです。
もうひとつ、ここで決めておきたいのが「AIに作ってもらう」と「自分で作る」の境目です。自分が中身を読めないものは、あとで直せません。その状態で業務に組み込むと、動かなくなった日に手が止まります。
3情報の守り方を決める
ダミーデータで仕組みを作り、完成してから本物を通す
まず、よくある誤解をほどきます。「AIに入れた情報は学習される」は、使っているサービスと契約形態によって変わります。一律に危険でも、一律に安全でもありません。自分が使っているものがどうなっているかは、一度確認しておいてください。
そのうえで、実務ではダミーデータで作って、完成してから本物を通すやり方をおすすめします。仕組みを組み立てている段階では、中身が本物である必要はありません。名前も金額も架空でよく、形式さえ合っていれば動きます。
士業には守秘義務があります。判断の基準を「学習されないから大丈夫」に置くと、サービスの規約が変わるたびに揺れます。そもそも渡さなくても作れる設計にしておくほうが、確実です。
4頼んで、必ず検証する
目的・前提・出力の形を先に伝える。出てきたものは、別のやり方で必ず確かめる
同じAIでも、頼み方で結果は変わります。特に効くのは、何のためにやるのか、前提として何が決まっているのか、どんな形で返してほしいのかの3つを先に渡すこと。これだけでやり直しが激減します。
そして検証です。ここは省けません。AIは、それらしく間違えます。桁がひとつ違う、似た名前を取り違える、書いていない前提を勝手に補う。どれも見た目は整った形で出てくるので、読むだけでは気づけません。
実際に起きるヒヤリハットは、だいたい同じ形をしています。合計を別の方法でもう一度出す——これだけで、かなりの部分が手前で止まります。
5道具を1つ作ってみる
繰り返していて面倒な業務を1つ選び、実際に作ってみる
読むだけでは身につきません。毎月繰り返していて、間違えても取り返しがつくものを1つ選んでください。
入口として向いているのは、督促状の起票です。入金データと請求データを突き合わせて、誰にいくら残っているかを出し、文面まで下書きする。出すかどうかの判断は自分がして、手を動かす部分だけを渡す——この形が、AIの使い方として一番はずれがありません。
もう少し大きいものなら、業務用のデータベースを自作する道もあります。市販のソフトに自分の仕事を合わせるのではなく、自分の仕事のほうに道具を合わせられるのが、この作り方の利点です。
完璧な道具を作る必要はありません。目指すのは、一度作ってしまえば、次からは直すだけで済む状態に持ち込むことです。
+続く仕組みにする
一度作った道具は、使わないでいると作り方を忘れます。半年後に直そうとして、自分が何をしたのか分からない、ということが普通に起きます。
対策はひとつで、解体していく過程を、そのまま書き残しておくことです。どこで詰まって、何を試して、なぜその形にしたのか。これは自分のための手順書になり、同時に、誰かの役に立つ一次情報にもなります。
このコースの続きはこちらです。
このページは制度の一般的な説明です。実際の判断は個別の事情によって変わります。