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個人事業を始めるとき、
やることは7つだけです

開業の手続きは、調べるほど増えていきます。でも、本当に必要なことは7つです。このページで、その7つと順番がつかめます。

起業時の知識 読む目安 9分

起業時の知識の全体像

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はじめての方へ ── このページに出てくる言葉(12語)
開業届
事業を始めたことを税務署に知らせる紙。正式には個人事業の開業・廃業等届出書といいます。出しても税金は増えません。
青色申告
帳簿をきちんとつけるかわりに、税金の特典が付く申告のしかた。申請書を出した人だけが使えます。
白色申告
青色の申請を出していない人の申告。特典はありません。
青色申告特別控除
青色申告の人が、もうけから一定額を引いてもらえる仕組み。いちばん大きいときで65万円です。
屋号
事業に付ける名前。付けなくても開業できます。
任意継続
会社を辞めたあとも、前の会社の健康保険を続けること。続けられるのは最長2年です。
国民年金
会社員でなくなった人が入る年金。切り替えは市区町村の窓口でします。
電子帳簿保存法
帳簿や書類をデータで残すときのきまりを決めた法律。メールやWebで届いた請求書は、データのまま残すことになっています。
インボイス
消費税の計算に使える請求書。登録した事業者だけが出せます。
住民税
前の年の所得をもとに、市区町村から届く税金。通知は6月ごろです。
個人事業税
税務署ではなく都道府県から届く税金。業種ともうけの大きさで、かかる人とかからない人がいます。
予定納税
次の年の所得税の一部を、先に納める仕組み。前の年の所得税が大きかった人にだけ通知が来ます。

会社員だった人は、税金の計算も納付も、会社がやってくれていました。個人事業主になると、それを自分でやります。ほかは、ほとんど変わりません。

そのためにやることが、上の7つです。順番に見ていきます。

1開業届を出す

やること

その年分の確定申告期限までに、開業届を税務署へ。青色申告承認申請書もこのとき一緒に出す

出す紙は2枚だけです。開業届と、青色申告承認申請書。どちらも税務署に出します。e-Tax・郵送・窓口のどれでも受け付けてもらえます。

開業届は「事業を始めました」と知らせる紙です。出しても税金は増えません。

2枚目が大事です。青色申告承認申請書を出しておくと、税金が安くなります。利益から最大65万円を引いてもらえるほか、特典がいくつも付きます。出していない人には、どれもありません。とりあえず出しておいてください。

期限は2枚で違います。開業届はその年分の確定申告期限まで、青色申告承認申請書は開業から2か月以内です。青色は遅れるとその年は使えなくなるので、2枚まとめて出すのが確実です。

開業届の期限

2026年1月1日から、期限の決め方が変わりました

事業を始めたのは、いつですか

2026年1月1日からその年分の確定申告期限まで。1月に開業しても、翌年3月15日まで時間があります
2025年12月31日まで開業から1か月以内が期限でした。過ぎていても、いまから出せます

どちらでも、遅れたことへの罰則はありません。ただし青色申告の期限は別です。次の章で確かめてください。

注 意

開業届の控えは、自分で用意して自分で持っておきます。屋号付きの口座を作るとき、補助金や保育園の手続きで求められます。2025年1月から税務署は控えに受付印を押さなくなったので、e-Taxで出して受信通知を保存しておくのがいちばん確実です。

もっと詳しく(8本)

2青色申告を選ぶ

やること

開業から2か月以内に、青色申告承認申請書を出す。期限を過ぎるとその年は使えません

青色申告は、申請を出した人だけが使える仕組みです。出していない人は自動的に白色になります。手続きは紙1枚、費用はかかりません。

いちばん大きいのは青色申告特別控除です。利益から最大65万円を引いてもらえます。ほかにも、赤字を3年繰り越せる、家族への給与を経費にできる、少額の備品を買った年に全額落とせる、といった特典が付きます。

青色と白色 ── 同じ利益でも、ここで差がつく
青色申告(申請を出した人)
  • 利益から最大65万円を引ける
  • 赤字を3年繰り越せる
  • 家族への給与を経費にできる

紙1枚で、この特典が全部付く

白色申告(出していない人)
  • 特別控除なし
  • 赤字は繰り越せない
  • 帳簿の手間は、実はあまり変わらない

「楽だから白色」は、もう成り立たない

控除額は65万・55万・10万の3段階です。帳簿のつけ方と出し方の2つで決まり、会計ソフトで記帳して電子で出せば、いちばん大きい65万円になります。条件は下の記事にまとめました。

青色申告承認申請書の期限

その年から青色にするための締切は、開業した日で変わります

開業したのは、1月15日までですか

1月15日までその年の3月15日まで。すでに事業をしていて来年から青色にしたい人も、この日が締切です
1月16日から開業した日から2か月以内。4月10日に開業したら6月10日までです

1日でも過ぎると、その年は白色で確定します。あとから取り返せません。開業届と一緒に出しておくのが確実です。

もっと詳しく(5本)

3屋号を決める

やること

屋号は付けても付けなくてもよい。付けるなら、開業届に書く前に被りを調べる

屋号は、事業に付ける名前です。付ける義務はありません。開業届の屋号欄は空欄のままでも受け付けられますし、あとから変えることもできます。

それでも付ける人が多いのは、屋号付きの口座が作れるからです。振込名義が個人名でなくなると、取引先から見た印象が変わります。名刺やWebサイトでも使えます。

決めるときは、次の2つに気をつけます。「会社」「Inc.」など法人と紛らわしい言葉は使えません。もう1つは被りです。同じ名前がすでに商標として登録されていると、あとから使えなくなることがあります。決める前に一度は調べておいてください。

もっと詳しく(2本)

4健康保険と年金を切り替える(会社を辞めた人だけ)

やること

退職から14日以内に役所へ。健康保険は3つから選び、年金は国民年金に切り替える

会社を辞めて独立した人だけの話です。会社員のまま副業で開業した人や、家業を引き継いだ人は、飛ばしてください。

会社員のときは、健康保険料と年金の半分を会社が払い、残りを給与から引いてくれていました。辞めた日にその仕組みから外れるので、自分で入り直します。やることは2つ、健康保険を選んで入ることと、年金を国民年金に切り替えることです。

年金の切り替えは、退職から14日以内に市区町村の窓口でします。健康保険は3つから選べて、選んだ道ごとに期限も窓口も違います

健康保険は、この3つから選ぶ
役所の窓口に置かれた保険証 市区町村の保険に入る国民健康保険・14日以内

住んでいる市区町村の保険に入ります。保険料は前の年の所得で決まり、家族の人数でも増えます。

前の年の所得が少ない人、扶養する家族が少ない人

会社の建物とつながっている保険証 前の会社の保険を続ける任意継続・20日以内

会社が払ってくれていた分も自分持ちになるので、在職中のおよそ2倍になります。上限があり、家族が何人いても額は変わりません。続けられるのは最長2年です。

前の年の所得が高い人、扶養する家族が多い人

ひとつの傘に入っている家族 家族の扶養に入る家族の勤務先へ・すみやかに

保険料はかかりません。ただし収入の見込みなどの条件があり、入れるかどうかは保険を運営する側が判断します。

開業したばかりで、当面の所得が小さい人

どれが安いかは人によって逆転します。市区町村と前の会社の両方で金額を聞いて、比べてから決めてください。

注 意

1年目の国民健康保険料と住民税は、会社員時代の給与で決まります。前の年の所得で計算されるので、売上のまだ小さい時期に大きな請求が届きます。後から来る税金に備える章でよけておくお金に、この分も入れておいてください。

もっと詳しく(6本)

5事業用の口座と会計ソフトを決める

やること

事業用の口座を1つ作り、会計ソフトと連携させる。やることはこれだけです

やることは2つです。事業用の口座を1つ作る。会計ソフトを1つ決める。この2つで、経理の手間の9割が決まります。

口座を分ける理由は、税務署のためではありません。分けないと、自分が自分の数字を見られなくなるからです。生活費と混ざった通帳から事業のお金だけを拾う作業は、1年分たまるともう追えません。

口座を分けると、何が変わるか
事業用の口座を分けた
  • 通帳がそのまま事業の記録になる
  • ソフトにつなげば、入出金は自動で入る
  • いまの利益がいつでも見える
生活費と同じ口座のまま
  • 事業の分だけ、あとから拾い直す
  • 1年分たまると、もう追えない
  • 自分の数字が、自分で見えない
分けるために、用意するもの
銀行の通帳と印鑑 事業用の口座を1つ作るいちばん先に

屋号を付けた口座も作れます。事業のお金の出入りが、この1冊にまとまります。

開業したら、まずこれを1つ

クレジットカードと財布 事業用のカードを1枚持つ口座を作ったら

経費の支払いをこのカードに寄せると、明細がそのまま経費の一覧になります。

ネットでの支払いが多い人ほど楽になります

ノートパソコンと歯車 会計ソフトにつなぐ口座を作ったらすぐ

口座とカードをつないでおくと、入出金は自動で入ってきます。freee・マネーフォワード・弥生、どれでも構いません。

つないだ日から先の分が、自動で集まります

注 意

会計ソフトは、あとから変えると手間がかかります。最初に少し比べてから決めてください。いずれ税理士に頼むつもりがあるなら、事務所によって使うソフトが決まっていることがあるので、先に聞いておくと安全です。

もっと詳しく(5本)

6レシートと請求書を残す

やること

紙のレシートは紙のまま、メールで届いた請求書はPDFのまま、捨てずに残す

残すのは、経費にするには「本当に払った」という証拠が要るからです。証拠がなければ経費として認められません。

紙でもらったレシートは紙のまま、メールやWebで届いた請求書・領収書は印刷せずデータのまま残します。データのまま残すことは、電子帳簿保存法できまりになっています。やることは、捨てずに残しておくことです。

請 求 書

こちらから請求書を出すときは、インボイスの登録をしているかどうかで書き方が変わります。登録したほうがいいかどうかは取引先によって答えが変わるので、判断の順番は別の記事にまとめています。

もっと詳しく(10本)

7確定申告をして、後から来る税金に備える

やること

2月16日〜3月15日に申告する。そのうえで、利益の3割を先に別口座へよけておく

確定申告は毎年2月16日から3月15日です。事業用の口座と会計ソフトレシートと請求書ができていれば、数字はソフトが作ってくれます。やり方は経理と確定申告のコースで、1年の流れに沿って説明します。

1年目は、そのあとが大変です。所得税を払って終わりではなく、住民税・個人事業税・消費税・予定納税が、順番に後から請求されてきます。健康保険と年金の章で書いた国民健康保険料も、この仲間です。どれもお金を使ってしまった後に届きます。

申告のあとに、順番に届くもの
郵便受けに届いた封筒 住民税6月ごろに通知

前の年の所得をもとに、市区町村から届きます。分けて納めるときは、6月・8月・10月・翌1月の4回です。

所得があれば、ほとんどの人に届きます

砂時計とコイン 予定納税6月に通知・7月と11月に納付

次の年の所得税の一部を、先に納めます。通知が来るのは、前の年の所得税が大きかった人だけです。

目安は、前の年の所得税が15万円以上

都道府県の庁舎と封筒 個人事業税8月に通知・8月と11月に納付

税務署ではなく都道府県から届きます。もうけが一定を超えた人に来ますが、業種によっては、かからない人もいます。

存在を知らずに驚く人がいちばん多い税金

レジとコイン 消費税2年おくれで始まる

開業してすぐは、ふつう納めなくてよい立場です。売上が増えると、その2年後から納める側になります。

インボイスに登録した人は、登録した時点から

注 意

開業した年より、次の年のほうが負担は大きくなります。開業した年は届くものが少なく、翌年にまとめて来ます。売上が伸びた年ほど、次の年のためによける額を厚くしてください。

だから利益が出たら、先に別口座へよけておきます。目安は利益の3割前後。ここだけは、1年目から自分でやっておいてください。

なお、何が経費になるかは節税・経費のコースにまとめています。

もっと詳しく(9本)

1年目を越えたら

7つが回りはじめたら、次に出てくる話は3つです。

1つめは消費税です。開業してすぐは、ふつう消費税を納めなくてよい立場です。ただし売上が1,000万円を超えると、その2年後から納める側になります(インボイスの登録をした人は、登録した時点から納める側です)。今年の売上が2年後の請求につながる、とだけ覚えておいてください。

2つめは、節税の手段を増やすことです。小規模企業共済とiDeCoは、払った掛金がまるごと所得から引けます。ただしお金が長く引き出せなくなるので、節税・経費のコースで順番を見てから決めてください。

3つめは、法人化のタイミングです。「売上1,000万円を超えたら」とよく言われますが、実際は、売上ではなく利益で判断します。

注 意

節税も法人化も、1年目にやることではありません。7つが回っていない状態でそこから入ると、手間だけ増えて効果は出ません。

もっと詳しく(1本)
まず、今日できること
  1. 開業日を決める開業日が決まると、開業届と青色申告承認申請書の期限も決まります。1 開業届を出す
  2. 事業用の口座を1つ作る作ったその日から、通帳が事業の記録になります。会計ソフトにつなぐのはその次で構いません。5 事業用の口座と会計ソフトを決める
  3. よけておく口座を、もう1つ作る後から来る税金のためのお金を、使ってしまう前に移します。7 確定申告をして、後から来る税金に備える
2
次のコース

経理と確定申告

帳簿づけの基礎から、申告を自分で終わらせるところまでを扱います。

このページは制度の一般的な説明です。実際の判断は個別の事情によって変わります。

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