番号を押すと、その章に飛びます。
これから個人事業を始める人、始めたばかりの人に向けたコースです。制度は2026年7月時点のものです。
会社員のときは、税金の計算も納付も、会社がやってくれていました。個人事業主になると、それを自分でやります。変わるのは、それだけです。
そのために必要なことが、上の5つです。
あなたはいま、どこにいますか
| まだ開業していない | 1 から順番に読んでください |
|---|---|
| 開業届は出した。青色申告承認申請書は出していない | 1 を今すぐ。期限があります |
| 開業済み。でも経理が回っていない | 3 から読んでください |
| 2年目に入った。売上が伸びてきた | 5 と 「1年目を越えたら」へ |
1開業届と青色申告承認申請書を出す
開業から2ヶ月以内に、2枚まとめて税務署へ。青色は1日でも遅れたら1年待ちです
出す紙は2枚です。開業届(正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」)と、青色申告承認申請書。手続きはこれで終わりです。
大事なのは2枚目のほうです。開業届だけ出して、青色申告承認申請書を忘れる人がとても多い。開業届は期限を過ぎても罰則がありませんが、青色申告承認申請書は1日でも遅れたら、その年は青色になれません。1年待ちです。最大65万円の控除が、まるごと消えます。
期限は「開業から2ヶ月以内」。だから、2枚同時に出すのが確実です。提出はe-Tax・郵送・窓口のどれでも構いません。
なお開業届には屋号を書く欄がありますが、空欄のまま出せます。あとから変えることもできます。屋号は「あったほうがいい」だけで、なくても事業はできます。
開業届の控えは必ず取っておいてください。屋号付き口座の開設、補助金の申請、保育園の就労証明などで提出を求められます。e-Taxなら受信通知、郵送なら返信用封筒を同封して収受印をもらいます。
2健康保険と年金を切り替える(会社を辞めた人だけ)
退職から14日以内に役所へ。健康保険は国保・任意継続・扶養の3択です
会社を辞めて独立した人だけの話です。会社員のまま副業として開業した人は、ここは飛ばしてください。
会社を辞めると、健康保険と厚生年金から自動的に外れます。手続きの期限は退職から14日。役所は待ってくれますが、それまでは保険証がない状態になります。
健康保険は3択です。①国民健康保険 ②前の会社の健康保険を任意継続(最長2年) ③家族の扶養に入る。どれが安いかは家族構成と前年の所得で変わるので、金額を出して比べてください。会社都合で辞めたなら、国保が大きく下がる軽減制度があります。
そして1年目の落とし穴です。国民健康保険料も住民税も、前年の所得で計算されます。つまり会社員時代の給与を基準にした請求が来ます。売上がまだ立っていない時期に、一番高い請求が届く。ここで資金繰りが詰まる人が本当に多いです。
3事業用の口座と会計ソフトを決める
口座を1つ作り、会計ソフトと連携させる。やることはこれだけです
やることは2つだけです。事業用の口座を1つ作る。会計ソフトを1つ決める。この2つで、経理の手間の9割が決まります。
口座を分ける理由は、税務調査のためではありません。分けないと、自分が自分の数字を見られなくなるからです。生活費と混ざった通帳から事業のお金の動きだけを拾い出す作業は、想像の10倍つらい。1年分たまってからでは、もう追えません。
会計ソフトは freee・マネーフォワード・弥生、どれでも構いません。大事なのは事業用の口座とクレジットカードを連携させること。連携さえすれば、取引の8割は自動で入ってきます。手で入力するのは残りの2割だけです。
口座を分けたその日から、事業のお金は必ずその口座を通す。生活費を引き出すときは「事業主貸」でまとめて移す。これだけで、確定申告の負担が別物になります。
4レシートと請求書を残す
レシートは捨てない。メールで届いた請求書は、印刷せずPDFのまま保存する
記録には2つの方向があります。受け取るもの(レシート・領収書)と、こちらから出すもの(請求書)です。
受け取るほうは単純で、捨てないこと。ただし1つだけルールが変わりました。メールやWebで受け取った請求書・領収書は、印刷して紙で保存してはいけません(電子帳簿保存法)。PDFはPDFのまま残します。逆に、紙でもらったレシートは紙のまま残しておけば大丈夫です。
「電子帳簿保存法が大変そう」という声をよく聞きますが、個人事業主に義務があるのは、この電子取引の保存だけです。帳簿の電子化もスキャナ保存も、やりたい人がやればいい任意の制度です。ファイル名を「日付_取引先_金額」で揃えてフォルダに入れる。それだけで要件を満たせます。
出すほう(請求書)は、インボイス登録をしているかどうかで書き方が変わります。登録すべきかどうかは取引先によって答えが変わるので、判断フローを別記事に用意しています。
5確定申告をして、後から来る税金に備える
2月16日〜3月15日に申告する。そして利益の3割を、先に別口座へよけておく
確定申告は毎年2月16日から3月15日です。3と4ができていれば、ソフトが数字を作ってくれます。ここは思っているほど大変ではありません。
本当の山は、申告が終わったあとに来ます。所得税を払って終わりではなく、そのあと住民税・個人事業税・消費税・予定納税が、順番に請求されてきます。全部あとから来るので、お金を使ってしまった後に届きます。
だから利益が出たら、先に別口座へよけておく。目安は利益の3割前後です。多すぎるように見えますが、後から来る分を全部足すと、だいたいこのくらいになります。
経費についてもここで一言。経費の判定は「売上のために使ったか」の一点です。自宅で仕事をしているなら、家賃も電気代も通信費も、事業で使っている割合の分だけ経費にできます(家事按分)。全額を入れようとすると必ず崩れるので、割合を決めて、その根拠をメモしておくのが正解です。
+1年目を越えたら
5つが回りはじめたら、次に考えることは2つです。
ひとつは節税の手段を増やすこと。小規模企業共済とiDeCoは、掛金がまるごと所得控除になります。ただしどちらもお金が長く拘束されるので、順番と金額は慎重に決めてください。
もうひとつは法人化のタイミング。「売上1000万円を超えたら法人化」とよく言われますが、実際に見るのは売上ではなく利益です。自分の数字を当てはめて計算します。
どちらも1年目にやることではありません。5つが回っていない状態で節税や法人化から入ると、手間だけ増えて効果は出ません。
このコースの続きはこちらです。
経理と確定申告
帳簿づけの基礎から、申告を自分で終わらせるまでの本編。
このページは制度の一般的な説明です。実際の判断は個別の事情によって変わります。