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確定申告は、
3月にやる仕事ではありません

確定申告は1年かけて少しずつ進むもので、3月にやるのは最後の提出だけです。この1枚で、いつ何をするかがつかめます。

経理と確定申告 読む目安 9分 宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・賃貸物件を持つ大家)
この記事の前提

青色申告をする個人事業主を想定しています。制度は2026年7月時点のものです。

確定申告を「3月にまとめてやる作業」だと思っていると、必ず間に合わなくなります。3月にやるのは、最後の提出だけです。その前に、記録・決算整理・控除集めの3つが終わっている必要があります。

1年の流れは、上の5つです。

いま何月ですか

まだ年の途中(〜11月)1 だけやっておけば十分です
年が明けた(1月)23 を並行して
2月になった3 を締めて 4 へ。期限は3月15日
もう提出した5本当の出費はこれから来ます

1取引を記録する

やること

口座とカードを会計ソフトに連携させ、月に1回だけ確認する

帳簿をつけるのは、税務署のためではありません。1年分の取引を、あとから説明できる形で残すためです。

やり方は難しくありません。会計ソフトに事業用の口座とクレジットカードを連携させれば、取引の8割は自動で入ってきます。あなたがやるのは、月に1回、自動で入った分の勘定科目が合っているかを見るだけ。10分で終わります。

ここを溜める人が、2月に地獄を見ます。12か月分の通帳とレシートを一度に処理するのは、毎月10分の12倍ではありません。何十倍もつらい作業になります。

注 意

領収書と帳簿は、原則7年とっておきます(一部5年)。捨てるのは、申告が終わってからではなく、その期間が過ぎてからです。

2決算整理をする

やること

年をまたぐものを、その年の分だけに切り分ける

毎日きちんと記帳していても、年末に「決算整理」が必要です。お金が動いた日と、売上・経費になる日が、ずれるからです。

たとえば、12月に納品して1月に入金された売上は、今年の売上です。年末に売れ残った在庫は、今年の経費になりません。10万円を超えるパソコンは、何年かに分けて経費にします。自宅兼事務所の家賃は、事業で使っている割合だけを入れます。

これらを整理して、初めてその年の本当の利益が出ます。会計ソフトが自動でやってくれる部分もありますが、在庫と家事按分は自分で判断して入れる必要があります

3控除を集める

やること

届いた証明書を1か所に集める。届かないものは自分で用意する

利益が出たら、そこから控除を引いて税金を計算します。ここで大事なことがひとつ。控除は、申告しなければ1円も引かれません。見落としが、そのまま税金になります。

証明書は10月から2月にかけて、バラバラと届きます。国民年金、生命保険、iDeCo、小規模企業共済。届いたら封筒1つに入れる。それだけで2月の手間がまったく変わります。

注 意

落とし穴が2つあります。国民健康保険は控除証明書が届きません(自分で払った額を出します)。そして個人事業主はふるさと納税のワンストップ特例が使えません(確定申告で書きます)。

4決算書と申告書を作って出す

やること

決算書と申告書の2枚を作り、e-Taxで出す。期限は3月15日

出す書類は2枚です。青色申告決算書(1年の売上・経費・利益)と、確定申告書(そこから控除を引いて税額を出す)。1枚目で出した利益が2枚目に流れ込む、という関係になっています。

ここで一番もったいないのが、65万円控除の取りこぼしです。条件は「複式簿記」だけではありません。e-Taxで提出することが必須です。同じ帳簿をつけていても、紙で出した瞬間に55万円に下がります。10万円の差です。

なお、源泉徴収された報酬がある人は、それが税金の前払いだったことがここで分かります。申告で精算されて、戻ってくることもあります。会社を辞めた年は、前職の源泉徴収票も必要です。

5税金を払い、後から来るものに備える

やること

振替納税を申し込む。そして利益の3割は使わずに残しておく

申告が終わっても、支払いは終わっていません。所得税を払ったあと、住民税・個人事業税・消費税・予定納税が、時期をずらして順番に請求されてきます。

まず押さえるべきは振替納税です。申し込んでおけば口座から自動で引き落とされます。申し込まないと納付書も自動では届かないので、払い忘れて延滞税、という事故が起きます。申込みの期限は申告期限と同じなので、申告と一緒に済ませてください。

個人事業税は8月ごろ。法定70業種に当たる場合、290万円を超えた分にかかります。予定納税は「まだ稼いでいないのに前払い」に見えますが、前年の税額が基準です。払えないときは減額申請ができます

1年を回せたら

1年をひととおり回せたら、次に出てくるのはこの3つです。

人を雇うとき。給与を払う側になると、源泉徴収して納付する義務が生まれます。届出・労働保険・社会保険もセットで必要です。外注として払う場合も、相手や内容によっては源泉徴収が要ります。

売上が1000万円を超えそうなとき。2年後に消費税の課税事業者になります。超えた年ではなく2年後、というのがポイントです。

法人化を考えるとき。税金だけでなく、社会保険料と手取りまで入れて損益分岐を見ます。

要 点

この3つが見えてきたら、税理士に相談する時期でもあります。1年目から頼む必要はありませんが、判断を間違えると取り返しがつかない領域に入るからです。

3
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節税・経費

経費になる・ならないの判断軸と、ムリのない節税。

このページは制度の一般的な説明です。実際の判断は個別の事情によって変わります。

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