消費税とインボイスの全体像
番号を押すと、その章に飛びます。
消費税は、預かった分から払った分を引いて納めます。つまずくのは、たいてい2か所です。どの計算方法を選ぶかと、払った分をどこまで引けるか。
そして選ぶ権利は、届出書を1枚出し忘れるだけで消えます。期限は年末に集中していて、休日でも翌日には延びません。上の順で見ていきます。
その前に ── 消費税のしくみ
7つの章に入る前に、この税金そのものの形を押さえておきます。ここだけで、全体が一度つながります。
| 納める額 | 売上で預かった税から、仕入れや経費で払った税を引いた残り。この引くほうが仕入税額控除で、実務のほとんどはここの話です |
|---|---|
| 売上の種類 | 課税・非課税・免税・不課税の4つに分かれます。輸出は0%でも払った税を引けますが、住宅の家賃は非課税なので引けません |
| 納める人 | 原則は2年前の売上で決まります。ただし登録している人は、売上がどれだけ下がっても納める側です |
| 額の出し方 | 本則・簡易課税・特例の3つ。どれを選ぶかで税額が変わり、簡易課税は先に届出が要ります |
| 引く条件 | 帳簿とインボイスの保存。ただし、金額が小さいものや、そもそも相手から受け取れないものには例外があります |
| 期限 | 申告は個人が翌年3月末、法人は決算日から2か月。届出書の期限はこれとは別で、年末に集中しています |
この6つのうち、自分で決められるのは「額の出し方」だけです。しかも決める権利は期限で消えます。以下の7章は、その順に並んでいます。
くわしく知りたい人へ(記事1本)
1自分の納め方を決める
自分がどの計算方法で納めるのかと、それをいつまでに決めるのかを確かめる
計算方法は1つではありません。払った消費税を1件ずつ積み上げる方法と、売上から割合で出す方法。そして、登録をきっかけに課税事業者になった人向けの特例があります。
その特例は、順に終わっていきます。個人と法人で「最後の年」が違うので、まず自分の期がいつ終わるのかを確かめてください。
終わったあと、積み上げる方法にするか、割合で出す方法にするかは選べます。ただし後者は届出が先です。原則として、使いたい期が始まる前に出しておかなければなりません。
特例を使った年の翌年だけは、申告期限まで待ってから決められます。試算してから選べる、貴重な期間です。
くわしく知りたい人へ(記事2本)
2免税事業者への支払いを見直す
取引先に登録していない人がいるか調べ、支払額の決め方を確かめる
登録していない相手に払った消費税は、全額は引けません。しかも引ける割合は段階的に下がり、いずれゼロになります。
引けなかった分は、消えてなくなるわけではありません。その取引の金額そのものに含めます。買ったものが資産なら、取得価額が上がります。
気をつけたいのは、価格の決め方です。「登録していないなら消費税分は払えない」と相談すること自体は問題になりません。問題になるのは、一方的に決めて通告することです。
実際に注意を受けたのは、発注する側が小さな事業者へ一律に通告した例です。話し合った記録を残してください。
くわしく知りたい人へ(記事2本)
3インボイスが要らない場面を覚える
領収書がなくても引ける取引を知り、毎回探す手間をなくす
すべての支払いにインボイスが要るわけではありません。金額が小さいもの、そもそも相手から受け取れないものには例外があります。
金額が小さいものの例外は、期限つきです。ずっと使えるわけではないので、いつ終わるのかを頭に入れておいてください。
電車代、自販機、出張旅費のように、帳簿に書くだけで引けるものもあります。ただし何と書くかが決まっていて、書き方を外すと引けません。セルフレジや駐車場は自販機に当たらない、といった線引きもあります。
くわしく知りたい人へ(記事2本)
4家賃と振込手数料の扱いを決める
毎月同じ形で発生する取引を、一度だけ整えて終わりにする
毎月払うものは、毎月インボイスをもらうとは限りません。家賃のように、契約書と通帳の組み合わせで足りるものがあります。
そのとき、契約書を巻き直す必要はありません。足りない項目を通知書1枚で補えば済みます。
もう1つ迷いやすいのが、振込手数料を差し引かれたときの処理です。売上の値引きとして扱うのか、手数料を払ったとして扱うのかで、記帳の形が変わります。金額が小さければ、返還のインボイスは要りません。
なお、そもそも振込手数料を売手に負担させること自体が禁じられる取引があります。金額ではなく、取引の種類で決まります。
くわしく知りたい人へ(記事2本)
5届出書の期限を押さえる
年末までに出す紙があるかを確かめ、過去に出したものが残っていないかを調べる
消費税でいちばん高くつくのは、計算間違いではありません。届出書の出し忘れです。出せなかった年は、選ぶ権利そのものがありません。
期限は年末に集中しています。しかも紙の種類によって期限日が違い、休日でも翌日に延びません。ここは覚えるより、カレンダーに落としてください。
登録をやめるときも紙が要ります。しかも、やめれば自動的に元へ戻るわけではありません。人によって、出す紙が1枚から3枚まで変わります。
昔出した届出書が、いまも生きていることもあります。設備投資の還付を受けるつもりが、何年も前に出した届出が効いていて受けられない。これは実際に起きます。提出済みかどうかは、あとから調べられます。
くわしく知りたい人へ(記事4本)
6控除が減る条件を確かめる
引ける額が減る条件に、自分が当たっていないかを見る
払った消費税が全額引けるのは、当たり前ではありません。いくつかの条件に当たると、引ける額が減ります。
1つは、消費税のかからない売上の割合が増えたときです。全額引ける状態が終わり、2つの計算方法から選ぶことになります。
アパートを持っている人は、ここに引っかかりやすい。住宅の家賃には消費税がかからないので、それが増えると本業で払った消費税まで引けなくなります。
もう1つは、大きな資産を買ったときです。買った年のあと何年か縛られ、その間は計算方法を変えられません。ただし特例で申告していた年に買ったなら、この縛りは生じません。
くわしく知りたい人へ(記事3本)
7立場が変わるときに備える
法人成り・相続など、形が変わるときに切れる手続を先に確かめる
事業の形が変わると、消費税の扱いも一度リセットされます。ただし「新しく作ったから、しばらく納めなくていい」とは限りません。
法人にすれば免税になる、という話には例外がいくつもあります。資本金、前半期の売上と給与、親会社の規模。どれかに当たれば、初年度から納める側です。
相続も同じで、亡くなった人の登録は相続人へ引き継がれません。何もしないと、ある時点で登録が切れます。遺産分割より先に片づける手続があります。
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このページは制度の一般的な説明です。実際の判断は個別の事情によって変わります。