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更新日 2026-07-25 起業時の知識第34回

開業届の“控え”がないと詰む場面と、あとから控えを用意する3つの方法

屋号付きの口座を作りに銀行へ行ったら、「開業届の控えをお持ちください」。保育園の申込み書類を見たら、「自営業の方は開業届の写しを添付」。

——出したはずなのに、控えがどこにもない。あるいは、そもそも控えを作らずに1部だけ提出してしまった。

意外と多いつまずきです。この記事では、控えが必要になる場面と、手元にないときの3つの取り戻し方を整理します。最初から読めば、そもそも詰まらない準備もできます。

この記事の結論
– 控えが要るのは主に屋号口座・融資・保育園の申込み・事業用カードや事務所契約・補助金
– なくしたときの手は3つ:①同じ内容で再提出して控えをもらう ②開示請求で写しを取り寄せる ③別の書類で代替する
2025年(令和7年)1月から控えに受付印(収受日付印)は押されない運用(2026年時点)。「受付印のある控え」は今後そもそも作れない
– 予防策はe-Taxで提出して受信通知をPDF保存。これが最強の控えになる

控えを求められる代表的な5場面

場面 何のために見られるか 代替がきくか
屋号付き口座の開設 屋号と事業内容の実在確認 金融機関によっては請求書・契約書・Webサイトでも可
融資(日本政策金融公庫など) 事業を開始した事実の確認 確定申告書の控えや事業計画で補える場合あり
保育園・学童の申込み 就労(自営)の証明 自治体所定の就労証明書+確定申告書の控えで足りることが多い
事業用クレジットカード・事務所賃貸 事業者としての実在確認 確定申告書の控えで通ることが多い
補助金・助成金の申請 対象事業者かどうかの判定 要件次第。募集要領で指定された書類は代替不可のことも

共通しているのは、「あなたが本当に事業をしているのか」を第三者が確認したいという点。裏を返せば、事業の実在を示せる別の書類でも通ることが多いということです。

前提:いまは「受付印のある控え」は作れない

大事な前提から。以前は控えを持っていくと税務署が収受日付印(受付印)を押してくれました。ところが2025年(令和7年)1月から、税務署は申告書等の控えへの収受日付印の押なつを行わない運用に変わりました(2026年時点)。

つまり、これから提出する人はそもそも受付印つきの控えを手に入れられません。「受付印のある開業届の控えを出してください」と言われたら、次のどちらかで話をすることになります。

  • e-Taxの受信通知(受付日時・受付番号が記録されたもの)を印刷して見せる
  • 控えのコピー+発送記録(簡易書留の控えなど)を見せ、提出時期を説明する

提出方法ごとの控えの残り方は、e-Tax・郵送・窓口の比較記事にまとめています。

控えがないときの取り戻し方①:もう一度提出する

いちばん手っ取り早い方法です。同じ内容の開業届をもう1部作り、控え用と一緒に提出する。窓口でも郵送でも、控えを返してもらえば「開業届の写し」が手元にできます。

注意点は2つ。

  • 開業日は事実どおりに書く(前回と同じ日付)。取り直しのために日付を変えるのはNG
  • 窓口では「以前提出済みだが控えが必要なので再提出したい」と伝える。二重登録を避けるための確認をしてもらえます

金融機関に出す用途なら、これで足りるケースが大半です。

取り戻し方②:開示請求で「提出済みの開業届の写し」を取り寄せる

「提出した当時の書類そのもの」が必要な場合は、個人情報保護法にもとづく保有個人情報の開示請求という正攻法があります。税務署(国税庁)が保有しているあなた自身の開業届の写しを出してもらう手続きです。

  • 請求先:納税地の所轄税務署(または国税局)
  • 手数料:1件300円程度(2026年時点)
  • 期間:おおむね30日程度。書類が届くまで時間がかかる

急ぎの場面には向きませんが、「当時の記載内容を正式に確認したい」ときの唯一の道です。

取り戻し方③:別の書類で代替する

実務ではこれが一番現実的です。提出先に「開業届の控えの代わりにこれで足りますか」と聞いてみましょう。

代替書類 取り方 何を示せるか
確定申告書の控え 手元の控え、またはe-Taxのメッセージボックス 事業所得を申告している=事業をしている事実
e-Taxの受信通知 メッセージボックスから印刷 提出した日付と受付番号
納税証明書(その1・その2) 税務署で交付請求(オンライン請求も可) 納税額・所得金額の公的証明
青色申告の承認に関する書類・青色申告決算書 手元の控え 事業所得者として青色申告している事実
請求書・契約書・Webサイト 自分で用意 事業活動の実在(金融機関の審査で補強材料になる)

特に確定申告を1回でも済ませている人は、確定申告書の控えのほうが証明力が高い場面すらあります。開業届は「これから始める」という届出にすぎず、確定申告書は「実際に商売をした結果」の書類だからです。

もう詰まらないための予防策(3つ)

  1. e-Taxで提出し、受信通知をPDFで保存する……日付・受付番号つきのデータが半永久的に残る
  2. 提出前にスマホで書面を撮る……紙で出す人は、投函前に必ず全ページを撮影
  3. 「開業一式」フォルダをクラウドに作る……開業届、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、インボイス登録通知をまとめて入れる。融資や補助金のたびに探し回らずに済みます

よくある質問(FAQ)

Q. 開業届を出したかどうか自体、覚えていません。
確定申告を青色でしている(青色申告決算書を出している)なら、青色申告承認申請書が受理されているので、事業者として登録されている状態です。不明なら所轄税務署に電話で確認できます。

Q. 銀行が「受付印のある控え」しか認めてくれません。
2025年からの運用変更を説明し、e-Taxの受信通知または再提出した控えで可否を確認してください。金融機関によっては、請求書や取引実績で代替できます。

Q. 開業届を出していないまま事業をしていました。控えの前にやることは?
まず開業届を提出しましょう。遅れての提出でも受け付けてもらえます。出していない場合の影響は開業届を出さないとどうなる?の記事にまとめています。

Q. 屋号口座の開設に、ほかに何を準備すればいい?
金融機関によって差はありますが、屋号入りの請求書・名刺・Webサイト・賃貸契約書などを求められることがあります。屋号付き口座はどこで作れるかも参考にしてください。

まとめ

  • 控えが要るのは屋号口座・融資・保育園・カードや賃貸契約・補助金
  • 2025年1月以降、控えに受付印は押されない。求められたらe-Taxの受信通知で代替を相談する
  • なくしたときは①再提出 ②開示請求(300円・約30日)③確定申告書の控えなどで代替
  • 予防はe-Taxで出して受信通知をPDF保存するだけ。これが最強の控えになる
この記事の主な根拠(出典)

  • 所得税法229条(個人事業の開業等の届出)
  • 個人情報の保護に関する法律76条(行政機関等の保有個人情報の開示請求権)
  • 国税庁「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直し」(2025年1月〜)
  • 国税庁「納税証明書の交付請求手続」
  • ※2026年時点の制度・運用に基づく。提出先が求める書類は金融機関・自治体ごとに異なる

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