書き終わった開業届を前にして、次の壁がこれです。「で、これはどうやって出すの?」
税務署に行くのは平日で面倒。e-Taxは何をダウンロードすればいいのか分からない。郵送は着いたかどうか不安——出し方は3つしかないのに、初めてだと全部が同じくらい面倒に見えます。
この記事では、3つの方法を「必要なもの・所要時間・控えの残り方・向いている人」で並べて、あなたがどれを選べばいいかだけを決めます。あわせて、2025年から控えの取り扱いが変わった大事な点にも触れます。
この記事の結論
– 提出期限は開業日から1ヶ月以内。ただし遅れても受け付けてもらえる(罰則の定めはない)
– 青色申告承認申請書と一緒に出すのが最重要。こちらは期限を逃すと1年待ちになる
– 2025年(令和7年)1月から、控えに収受日付印(受付印)が押されない運用に変わった(2026年時点)
– 「いつ出したか」を客観的に残したいならe-Taxの受信通知が最強。紙で出すなら控えのコピーと発送記録を自分で保管
| e-Tax(電子) | 郵送 | 窓口 | |
|---|---|---|---|
| 必要なもの | マイナンバーカード+スマホ(またはID・パスワード方式のID) | 提出用+控え用の2部、返信用封筒(切手・宛名記入) | 開業届(控え用も持参)、本人確認書類 |
| 所要時間 | 15〜30分(初回の環境設定を含む) | 記入+投函で30分 | 移動時間+窓口5〜15分 |
| 提出日の扱い | 送信日(受信通知に記録が残る) | 通信日付印(消印)の日が提出日 | 持参した日 |
| 控えの残り方 | 受信通知+送信データを保存(最も確実) | 控え用を同封すれば返送されるが日付印は押されない | その場で返してもらえるが日付印は押されない |
| その場で質問できる | ×(電話相談) | × | ○ |
| 向いている人 | マイナンバーカードがある人/平日に動けない人 | 印鑑・書類を手で確認したい人 | ほかの届出もまとめて相談したい人 |
迷ったら、マイナンバーカードがあるならe-Tax、なければ郵送。この2択で十分です。
スマホだけで完結します。手順の骨格は次のとおりです。
マイナンバーカードがない場合は、税務署で本人確認をして発行してもらうID・パスワード方式でも送信できます(2026年時点)。
なお、freeeやマネーフォワードなどが出している無料の開業書類作成サービスを使うと、質問に答えるだけで開業届と青色申告承認申請書が同時にできあがります。そのままe-Tax送信まで進めるものもあるので、会計ソフトを使う予定なら入口をそろえてしまうのが早いです。
e-Tax最大のメリットは、控えの証拠力です。 受信通知には受付日時と受付番号が記録されるので、後から「確かに提出した」と示せます。
郵送のポイントは4つです。
郵送の場合、通信日付印(消印)の日が提出日として扱われます(国税通則法22条)。期限ぎりぎりのときは、ポスト投函ではなく郵便局の窓口で当日の消印を確認するのが確実です。
窓口の価値は「開業届を出すこと」よりも、その場でほかの手続きを一緒に済ませられることにあります。青色申告承認申請書、給与を払う人なら給与支払事務所等の開設届出書、口座引落しにする振替納税の依頼書——まとめて出せば一度で終わります。
ただし、確定申告期(2月中旬〜3月中旬)は非常に混雑します。この時期に開業するなら、窓口以外を選ぶか、時間に余裕を持って行きましょう。時間外なら税務署の時間外収受箱(ポスト)への投函も可能です(この場合も日付印は押されません)。
以前は、控えを持っていくと税務署が収受日付印(受付印)を押してくれました。屋号付き口座の開設や融資審査で「受付印のある控え」を求められるのは、この慣習が前提です。
しかし2025年(令和7年)1月から、税務署は申告書等の控えへの収受日付印の押なつを行わない運用に変わりました(2026年時点)。窓口に持参しても、郵送で返送してもらっても、控えにハンコは押されません。
だから、これからは次の2つで自衛します。
金融機関などから「受付印のある控えを」と求められたときは、e-Taxの受信通知の画面(またはPDF)で代替できるかを先に確認するとスムーズです。手元に控えが一切ない場合の取り戻し方は、控えがないときの対処法をまとめた記事にまとめました。
一度で済ませるほうが圧倒的にラクです。該当するものだけチェックしてください。
| 書類 | 出す人 | 提出期限の目安 |
|---|---|---|
| 所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告をしたい人(=ほぼ全員) | 原則その年の3/15。1/16以後の開業なら開業日から2ヶ月以内 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 従業員や家族に給与を払う人 | 開設から1ヶ月以内 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 給与の支払が常時10人未満の人 | 提出した月の翌月支払分から適用 |
| 青色事業専従者給与に関する届出書 | 配偶者・親族に給与を払う人 | 原則3/15。1/16以後の開業などは2ヶ月以内 |
| 適格請求書発行事業者の登録申請書 | インボイスを出す必要がある人 | 登録を受けたい時期から逆算 |
優先度が最も高いのは青色申告承認申請書です。 開業届は遅れても実害が小さいのに対し、こちらは期限を逃すとその年は白色になり、最大65万円の青色申告特別控除を1年分まるごと失います。
Q. 提出先の税務署はどこ?
原則として納税地(自宅の住所地)を所轄する税務署です。国税庁サイトの「税務署の所在地案内」で郵便番号から調べられます。
Q. 期限(1ヶ月)を過ぎてしまいました。
そのまま提出できます。開業届の提出遅れに対する罰則の定めはありません。ただし青色申告承認申請書の期限は別なので、そちらを急いでください。
Q. マイナンバーカードがなくてもe-Taxできる?
ID・パスワード方式なら可能ですが、発行には税務署での本人確認が必要です。一度税務署に行くなら、その場で紙で出してしまうほうが早いこともあります。
Q. 控えを返してもらう封筒に、切手を貼り忘れたら?
返送されません。宛名と切手は必ず確認しましょう。
Q. 家族が代わりに出しに行ってもいい?
提出自体は可能ですが、本人確認書類が必要です。マイナンバーの記載がある書類なので、代理提出の可否は事前に税務署へ確認すると確実です。
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