会計ソフトを入れて、いざ使い始めようとすると、いきなり「期首残高」「元入金」という見慣れない言葉が出てきて固まる——ここでつまずく人はとても多いです。「開業初日に、何を、いくら入力すればいいの?」と。
でも、身構えなくて大丈夫。元入金は、法人でいう“資本金”の個人事業版のようなもので、意味さえ分かれば入力自体は数分です。この記事では、簿記の知識がゼロでも「開業初日に何を入れればいいか」が分かるように、具体例つきで解説します。
この記事の結論
– 元入金=開業日時点で、事業に用意した「資産−負債」の差額(=事業の元手)
– 期首残高=開業日時点の、事業用の現金・預金・資産などの残高
– 開業初年度は「開業日時点の事業用資産・負債」を入力すればOK
– 難しく感じたら現金・預金だけでも入力して先に進み、あとで整えれば大丈夫
元入金(もといれきん)とは、ざっくり言えば「事業を始めるにあたって、自分が事業に用意したお金・資産の元手」のことです。法人の「資本金」に当たる、個人事業ならではの勘定科目だと思ってください。
たとえば、貯金から30万円を事業用口座に入れて開業したなら、その30万円が元手=元入金のベースになります。「自分のポケットから事業へ入れた元手」を表す数字、と理解すれば十分です。
期首残高とは、その事業年度の始まり(期首)の時点で持っている、事業用の資産・負債の残高のことです。開業初年度なら、「期首=開業日」。つまり、開業日時点で事業用に持っていた現金・預金・その他資産・負債を入力します。
会計ソフトでは、この期首残高を入力すると、バランスを取るための相手として元入金が自動計算される、という関係になっています。
開業日時点で、事業用として持っているものを洗い出します。
| 区分 | 例 | どう入力する |
|---|---|---|
| 現金 | 事業用の手元現金 | 期首残高(資産) |
| 預金 | 事業用口座の残高 | 期首残高(資産) |
| 固定資産 | 事業用のPC・車・機材(10万円以上のもの等) | 期首残高(資産)※減価償却の対象 |
| 棚卸資産 | 販売用に仕入れた在庫 | 期首残高(資産) |
| 負債 | 事業用の借入金など | 期首残高(負債) |
| (差額) | 上記の資産−負債 | 元入金として自動計算 |
つまり、「開業日に事業へ持ち込んだ資産」から「事業の負債」を引いた差額が、元入金になります。
例:開業日に、事業用として次を用意した
このとき、
– 資産の合計 = 30万 + 5万 + 15万 = 50万円
– 負債 = 0円
– 元入金 = 50万 − 0 = 50万円
会計ソフトには、預金30万・現金5万・工具器具備品(PC)15万を期首残高として入力すれば、元入金50万円は自動で計算されます。自分で元入金の額を直接考える必要はなく、「持ち込んだ資産・負債」を入れれば勝手に決まる——ここが理解のポイントです。
「PCの金額をいくらで入れる?」「これは資産?」と悩み始めると、初期設定で止まってしまいます。そんなときは、まず事業用の現金・預金の残高だけを入力して、先に日々の記帳を始めてしまって構いません。固定資産や在庫は、あとから追加・修正できます。完璧な初期設定より、まず動かすことを優先しましょう。
開業初年度を終えると、元入金は次のように動きます。
——と聞くと難しそうですが、この計算は会計ソフトが自動で行います。 2年目以降、自分で電卓をたたく必要はありません。「元入金は毎年、利益や個人とのお金の行き来を反映して更新される数字」とだけ知っておけば十分です(事業主貸・事業主借の考え方は関連記事へ)。
Q. 元入金がマイナスになってもいい?
なり得ます。事業主貸(事業のお金を個人に多く使った)などが積み重なると、元入金がマイナスになることもありますが、それ自体が直ちに問題というわけではありません。会計ソフトの計算に任せて大丈夫です。
Q. 開業前に買ったPCは、期首残高?開業費?
10万円以上のPCなどは、原則「固定資産」として期首残高に入れ、減価償却で費用化します。一方、名刺や少額の準備費用は「開業費」として処理します。金額と内容で分かれるので、開業費の記事もあわせて確認を。
Q. 事業用口座を作らずに開業した。元入金はどうする?
その場合でも、開業日時点で事業に充てた現金や資産をもとに元入金を考えます。まずは事業用口座を用意し、事業のお金を分けていくのがおすすめです。
Q. 間違えて入力した。あとで直せる?
直せます。期首残高・元入金は後から修正できるので、まず入れてみて、正確な数字が分かったら整える、で問題ありません。
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