個人事業主が使える控除はどれ?初めての確定申告で漏れなく集める「控除チェックリスト」
会社員のときは、生命保険のハガキを会社に出せば年末調整で終わっていた控除。個人事業主になると、種類の確認から書類集め、申告書への記入まで全部自分です。
社会保険料、生命保険、医療費、小規模企業共済、iDeCo、ふるさと納税……名前は聞きます。でも「自分に該当するのはどれか」「全部でいくつあるのか」が掴めず、結局どれかを漏らして損します。これが1年目でいちばん多い失敗です。
この記事は、個人事業主が使える控除を一覧化したチェックリストです。該当するものに○を入れれば、集めるべき書類がその場で確定します。まずは「自分の控除の地図」を作りましょう。
この記事の結論
– 控除には「所得控除」(所得から引く)と「税額控除」(税金から直接引く)がある
– 個人事業主が特に漏らしやすいのは、社会保険料(国民年金・国保)・小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税
– 控除ごとに「対象者/必要書類/届く(集める)時期」が違う。これを表で潰す
– 国民健康保険は控除証明書が届かないので、自分で支払額を集計する(別記事で詳説)
まず区別:「所得控除」と「税額控除」
- 所得控除……課税の対象になる所得そのものを小さくする。効果は「控除額 × 税率」
- 税額控除……計算した税金から直接差し引く。効果は「控除額そのまま」(住宅ローン控除・寄附金税額控除など)
多くはまず所得控除を集めます。以下のチェックリストを、上から順に「自分に当てはまるか?」で見ていってください。
【所得控除】チェックリスト
| 控除の名前 | 対象になる人 | 必要な書類 | 届く/集める時期 | |
|---|---|---|---|---|
| 社会保険料控除 | 国民年金・国民健康保険・介護保険・国民年金基金を払った人(全額対象) | 国民年金は控除証明書。国保は原則証明書なし→自分で集計 | 国民年金は11月頃郵送 | |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済・iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を払った人(全額対象) | 掛金払込証明書 | 10〜11月頃郵送 | |
| 生命保険料控除 | 生命保険・介護医療保険・個人年金に加入 | 生命保険料控除証明書 | 10月頃郵送 | |
| 地震保険料控除 | 地震保険料を払った人 | 地震保険料控除証明書 | 保険証券に同封・秋頃 | |
| 医療費控除 | 年間の医療費が「10万円 or 所得の5%」を超えた人 | 医療費の領収書・医療費通知 | 自分で1年分を集計 | |
| 寄附金控除(ふるさと納税等) | ふるさと納税・認定NPO等へ寄附した人 | 寄附金受領証明書 | 寄附のつど届く | |
| 配偶者控除/配偶者特別控除 | 一定所得以下の配偶者がいる人 | 配偶者の所得がわかるもの | 申告時 | |
| 扶養控除 | 16歳以上の扶養親族がいる人 | 続柄・所得の確認 | 申告時 | |
| 障害者控除/ひとり親・寡婦控除/勤労学生控除 | 各要件に当てはまる人 | 障害者手帳等 | 申告時 | |
| 基礎控除 | ほぼ全員(合計所得に応じて) | 不要(自動) | — |
※金額は年度や所得で変わります。基礎控除は2025年(令和7年度)改正で見直しがあり、2026年分の金額は国税庁で最新を確認してください。
特に漏らしやすい4つ
チェックの中でも、個人事業主が「知らずに損」しがちなトップ4を強調しておきます。
- 国民健康保険料……控除証明書が届かないため、「証明書がない=控除できない」と誤解して丸ごと入れ忘れる人が多いです。1〜12月に払った額を自分で集計します。→ 国保は控除証明書が届かない
- iDeCo・小規模企業共済……掛金が全額所得控除。節税効果が大きいのに、証明書を紛失して申告し損なうケースが目立ちます
- ふるさと納税……確定申告する年はワンストップ特例が全部無効。申告書に寄附金控除として書き直さないと、二重に損します。→ ふるさと納税ワンストップが使えない
- 国民年金(家族分も)……生計を同じくする家族(例:子)の国民年金を親が払った場合、払った本人(親)の社会保険料控除にできます
集めたあとの流れ
チェックリストで「集めるもの」が確定したら、次は「いつ動くか」です。証明書は10〜11月にバラバラ届き、国保のように自分で集計するものもあります。集める順番と保管のコツは、段取り編でまとめています。
そして最終的には、集めた控除を申告書のどこに入力するか——ここで入れ忘れると意味がありません。入力・最終チェックの視点は入れ忘れ防止 所得控除 最終チェックリストへ。この記事(該当の洗い出し)→段取り→入力チェック、の3点セットで漏れをゼロにできます。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社を年の途中で辞めた年は、年末調整の控除はどうなる?
退職後は年末調整がないので、在職中に払った生命保険料なども含めて自分で確定申告します。前職の源泉徴収票も忘れずに用意しましょう。
Q. 医療費は家族の分も合算できる?
生計を同じくする家族の医療費は合算できます。所得の高い人がまとめて申告すると、控除の効果が大きくなります。
Q. 控除証明書を紛失した場合は?
再発行を依頼できます。保険会社・金融機関・国民年金(年金事務所)に連絡を。ふるさと納税はポータルサイトから寄附履歴を出せる場合があります。
Q. ふるさと納税、ワンストップ申請を出したけど確定申告もする。どうなる?
ワンストップ申請は全件無効になります。確定申告書に全ての寄附を寄附金控除として記載し直してください。書き忘れると控除がまったく反映されません。
まとめ
- 控除には所得控除と税額控除。まずは所得控除をチェックリストで洗い出します
- 該当に○を入れれば、集める書類が確定します
- 特に漏らしやすいのは国保・iDeCo・小規模企業共済・ふるさと納税
- 国保は証明書が届かないので自分で集計
- 洗い出し → 段取り → 入力チェックの3点で漏れをゼロに
この記事の主な根拠(出典)
- 所得税法72〜86条(各種所得控除)/社会保険料控除(74条)・小規模企業共済等掛金控除(75条)・生命保険料控除(76条)・医療費控除(73条)・寄附金控除(78条)・基礎控除(86条)
- 国税庁タックスアンサー No.1100(所得控除のあらまし)/No.1130(社会保険料控除)/No.1135(小規模企業共済等掛金控除)/No.1120(医療費控除)/No.1150(寄附金控除)
- ※基礎控除等の金額は2025年度改正の影響を受けます。2026年時点の最新額は国税庁で要確認
- ※出典の各ページは2026年8月7日に確認しました。制度は改正されることがあります
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