ホーム経理と確定申告 › 生命保険料控除はいくら戻…
更新日 2026-07-26 経理と確定申告第39回

生命保険料控除はいくら戻る?新・旧制度と3つの枠、上限の計算をやさしく

10月ごろ、保険会社から控除証明書のハガキが届きます。数字がいくつも並んでいて、どれを書けばいいのか分からない。毎年この時期に必ず来る相談です。

生命保険料控除がややこしいのは、3つの枠 × 新旧2つの制度という構造になっているからです。逆に言えば、そこさえ整理できれば計算は機械的です。

この記事の結論
– 枠は3つ。一般・介護医療・個人年金。まず契約をこの3つに仕分ける
2012年1月1日より前の契約が旧制度、以後が新制度
– 上限は新制度が各枠4万円・合計12万円旧制度が一般と個人年金の各5万円・合計10万円
– 新旧が混ざっても、所得税の合計上限は12万円(住民税は7万円)
– 書くのは申込額ではなく、証明書の「12月末までの払込予定額
– 所得控除なので、戻るのは控除額 × 税率。満額でも思ったほど大きくはない

まず3つの枠に仕分ける

契約を種類で分けます。証明書に「一般用」「介護医療用」「個人年金用」と書いてあるので、それに従えば大丈夫です。

対象になる保険の例
一般生命保険料 定期保険、終身保険、学資保険、収入保障保険
介護医療保険料 医療保険、がん保険、介護保険、就業不能保険
個人年金保険料 個人年金保険(税制適格特約が付いているもの

注意が2つあります。

① 個人年金は「税制適格特約」が付いていないと一般枠になります。 証明書に「個人年金保険料」と書かれていなければ、一般枠で計算してください。
② 介護医療枠は新制度にしか存在しません。 2011年以前の医療保険は、一般枠で計算します。

控除全体の並びは個人事業主が使える控除はどれ?控除チェックリストにまとめています。

新制度か旧制度かは「契約日」で決まる

旧制度 新制度
契約日 2011年12月31日以前 2012年1月1日以後
一般・個人年金の2つ 一般・介護医療・個人年金の3つ
所得税の枠ごと上限 5万円 4万円
所得税の合計上限 10万円 12万円
住民税の枠ごと上限 3万5,000円 2万8,000円
住民税の合計上限 7万円 7万円

自分で判断する必要はありません。証明書に「新制度」「旧制度」と印字されています。

ひとつ落とし穴があります。旧制度の契約でも、その後に更新・転換したり、医療特約などを中途付加したりすると、契約全体が新制度に切り替わります。「ずっと旧制度のつもりだったのに新制度になっていた」というのはこのパターンです。

計算式

証明書の金額を、次の式に当てはめます。

新制度・所得税

年間の払込保険料 控除額
2万円以下 全額
2万円超 4万円以下 払込額 × 1/2 + 1万円
4万円超 8万円以下 払込額 × 1/4 + 2万円
8万円超 4万円(上限)

旧制度・所得税

年間の払込保険料 控除額
2万5,000円以下 全額
2万5,000円超 5万円以下 払込額 × 1/2 + 1万2,500円
5万円超 10万円以下 払込額 × 1/4 + 2万5,000円
10万円超 5万円(上限)

新制度・住民税

年間の払込保険料 控除額
1万2,000円以下 全額
1万2,000円超 3万2,000円以下 払込額 × 1/2 + 6,000円
3万2,000円超 5万6,000円以下 払込額 × 1/4 + 1万4,000円
5万6,000円超 2万8,000円(上限)

旧制度・住民税

年間の払込保険料 控除額
1万5,000円以下 全額
1万5,000円超 4万円以下 払込額 × 1/2 + 7,500円
4万円超 7万円以下 払込額 × 1/4 + 1万7,500円
7万円超 3万5,000円(上限)

住民税は、3つの枠を足すと8万4,000円になりますが、合計の上限は7万円です。ここだけ例外なので覚えておいてください。

新旧が混ざったときの決め方

同じ枠に旧制度と新制度の契約が両方あるとき、枠ごとに3つの中から有利なものを選べます

選び方 上限(所得税)
① 旧制度だけで計算 5万円
② 新制度だけで計算 4万円
③ 新旧を合算して計算 4万円(合算しても4万円が上限)

ポイントは、③を選んでも上限は4万円のままだということです。

つまり——

旧制度の契約だけで年10万円以上払っているなら、①(旧だけ)が有利。 合算しても4万円止まりなので、新制度の分は捨てることになりますが、それでも5万円のほうが大きい。

逆に、旧制度の払込額が少ない場合は③(合算)が有利です。枠ごとに計算して大きいほうを選ぶ——これだけです。確定申告書の作成コーナーや会計ソフトは、数字を入れれば自動で有利判定してくれます。

控除証明書のどこを見るか

ハガキには金額が複数印字されています。使うのはその年の12月末までに払う見込みの合計額です。

証明書の表記 使う?
証明額(10月末までの払込額など) 使わない
申告額/12月末までの払込予定額 これを使う
一時払いの金額 払った年に一括で計上

「証明額」ではなく「申告額」——ここを間違えると、控除が少なくなります。

同じ枠に複数の契約があるときは、枠ごとに全部足してから式に当てはめます。契約ごとに計算して足すのではありません。

証明書が届く順番と集め方は確定申告の控除、いつ何を集める?にまとめています。

2026年分の一般枠には特例があります

2026年(令和8年)分の所得税については、23歳未満の扶養親族がいる場合に限り、新制度の一般生命保険料の枠が6万円とされています。合計の上限12万円は変わりません。

年度で動く論点なので、実際に申告するときは国税庁の案内で最新の内容を確認してください。

で、いくら戻るのか

ここが本題です。生命保険料控除は所得控除なので、控除額がそのまま戻るわけではありません。

戻る金額 = 控除額 × あなたの税率

満額の12万円(所得税)+7万円(住民税)まで入っていた場合で見てみます。

所得税率 所得税の軽減 住民税の軽減(10%) 合計
5% 6,000円 7,000円 1万3,000円
10% 1万2,000円 7,000円 1万9,000円
20% 2万4,000円 7,000円 3万1,000円
33% 3万9,600円 7,000円 4万6,600円

上限まで払っても、戻るのは年1〜4万円程度です。

これは「控除があるから保険に入る」という判断が成り立たないことを意味します。年間8万円を払って戻るのが4,000円〜1万3,000円なら、その保険が必要かどうかで決めるべきです。

節税を目的にするなら、順番が違います。小規模企業共済とiDeCoは支払額が全額控除になるので、効き方がまったく違います(小規模企業共済とiDeCo、どっちを先に?)。国民年金・国民健康保険も全額が社会保険料控除です(社会保険料控除は家族の分もまとめて引ける)。

生命保険料控除は「すでに入っている保険を、確実に控除に反映させる」ための制度だと考えてください。

書く場所

確定申告書では、第一表の「生命保険料控除」欄に控除額第二表に支払保険料の内訳(新旧の別と金額)を書きます。

e-Taxや会計ソフトなら、証明書の数字を枠ごとに入力すれば、有利判定も含めて自動計算されます。紙で計算する必要はありません。

提出前の最終チェックは入れ忘れると損する所得控除 最終チェックリストを使ってください。

よくある質問(FAQ)

Q. 控除証明書をなくしました。
保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。マイページからダウンロードできる会社も増えています。e-Taxならマイナポータル連携で自動取得できる場合もあります。国民健康保険のように証明書が発行されないケースの対応は国民健康保険の控除証明書が届かないときの確定申告にまとめています。

Q. 年の途中で解約しました。控除は使えますか。
その年に実際に払った保険料が対象になります。解約返戻金を受け取った場合、その課税関係は別問題として考えてください。

Q. 契約者は自分ですが、被保険者は妻です。
保険料を払っているのが自分で、受取人が自分または配偶者・親族であれば控除の対象になります。契約者名義よりも「誰が払ったか」が重要です。

Q. 保険料を親が払ってくれています。
その場合、控除を受けられるのは実際に払っている親です。自分の申告には入れられません。

Q. 住宅ローンの団体信用生命保険は対象になりますか。
一般的に、団信の保険料は生命保険料控除の対象になりません。

Q. 学資保険はどの枠ですか。
通常は一般生命保険料の枠です。証明書の表記を確認してください。

Q. 会社員の副業で、年末調整で提出済みです。確定申告でも書きますか。
確定申告書には改めて全部を記載します。年末調整の結果は源泉徴収票に反映されているので、その内容を転記する形になります。二重に控除されることはありません。

まとめ

  • 枠は一般・介護医療・個人年金の3つ。介護医療枠は新制度だけ
  • 2012年1月1日で新旧が分かれる。更新・特約の中途付加で新制度に切り替わることがある
  • 上限は新4万円/旧5万円、合計は所得税12万円・住民税7万円
  • 新旧が混ざったら枠ごとに①旧だけ ②新だけ ③合算の有利なものを選ぶ。合算しても上限は4万円
  • 使うのは証明書の「12月末までの払込予定額」。同じ枠は先に全部合計する
  • 戻るのは控除額 × 税率。満額でも年1〜4万円。節税目的なら共済・iDeCoが先
この記事の主な根拠(出典)

  • 所得税法76条(生命保険料控除)/地方税法314条の2(個人住民税の生命保険料控除)
  • 所得税法施行令208条の3ほか(新旧契約の区分・個人年金保険契約等の要件)
  • 国税庁タックスアンサー「生命保険料控除」「生命保険料控除の対象となる保険契約等」
  • ※2026年時点の制度に基づく記事です。控除の限度額は改正されることがあるため、申告時は国税庁の最新の案内をご確認ください

次に読む

👉 個人事業主が使える控除はどれ?控除チェックリスト
👉 確定申告の控除、いつ何を集める?証明書が届く順の段取りガイド
👉 小規模企業共済とiDeCo、どっちを先に?
👉 入れ忘れると損する所得控除 最終チェックリスト
👉 確定申告の全体マップ

相談したいとき

👉 税理士の宍倉に相談する(LINE)

FOLLOW & CONSULT

新しい記事はLINEでお知らせ

個別のご相談は、事務所サイトの単発相談で承っています。

LINEで友だち追加個別相談について(事務所サイト)