初めての確定申告、2月16日までに何を揃える?個人事業主の決算整理から提出までの全体マップ
会計ソフトに毎日の取引は入れてきた。でも年が明けて、ふと手が止まる。「で、確定申告って結局これから何をするの?」
確定申告は、「決算整理 → 申告書の作成 → 提出・納税」という3つの段階でできています。この地図を持たないまま2月を迎えると、控除証明書を集め忘れたり、3月15日の締切に間に合わなかったりします。逆に、全体像さえ掴めば、あとは1つずつ潰していくだけです。
この記事は、初めての確定申告を「いつ・何を・どの順で・どの書類で」やるかを1枚にまとめた「全体マップ」です。個別のやり方は各リンク先で深掘りするので、まずはここで地図を手に入れてください。
この記事の結論
– 確定申告の提出期間は原則2月16日〜3月15日(所得税法120条)。1年分をこの時期に一気に整えるのではなく、12月から逆算して動くのが正解
– 年末〜年始にやる「決算整理」は主に4つ——棚卸・減価償却・家事按分・売掛買掛(未収未払)の確定
– 控除証明書は10〜11月にバラバラ届く。届いたら1か所に保管。国保のように「届かない」ものもある
– 65万円の青色申告特別控除を狙うなら、最後はe-Taxで提出(紙だと原則55万円)
確定申告は「3つの段階」でできている
まず全体の骨格です。この骨格を押さえると、細かい作業が地図の上のどこにいるか分かります。
| 段階 | やること | いつ |
|---|---|---|
| ① 決算整理 | 1年分の帳簿を「締める」。棚卸・減価償却・家事按分・未収未払の計上 | 12月〜1月 |
| ② 申告書の作成 | 青色申告決算書(または収支内訳書)+確定申告書を作る。控除を反映 | 1月〜2月 |
| ③ 提出・納税 | e-Tax等で提出し、所得税を納付。必要なら消費税も | 2月16日〜3月15日 |
「確定申告=申告書を書くこと」だと思われがちですが、実は①の決算整理がいちばん時間もミスも生むところです。決算整理を丁寧にやると、②③はソフトがほぼ自動で進めてくれます。
12月から3月15日までの逆算スケジュール
やることを時系列に並べ替えます。「気づいたら締切」を防ぐ地図です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 10〜11月 | 控除証明書が届き始める(生命保険・iDeCo・国民年金)。届いたら専用フォルダへ |
| 12月 | 1年分の取引をすべて入力し切る。未処理のレシート・請求書をゼロに |
| 12月末〜1月 | 決算整理(棚卸・減価償却・家事按分・売掛買掛)。国保など「届かない控除」の金額を自分で集計 |
| 1月〜2月上旬 | 青色申告決算書+確定申告書を作成。控除をすべて反映 |
| 2月16日〜3月15日 | e-Taxで提出。所得税を納付(振替納税を使うなら申込みも) |
| 〜3月31日(消費税該当者) | 消費税の申告・納付期限は3月31日(所得税より2週間遅い) |
ポイントは、提出できるのは2月16日からでも、準備は年内から始めること。特に決算整理と控除の集計は、確定申告シーズンに入る前に終わらせておくと驚くほど楽になります。
決算整理でやる「4つ」
年末〜年始の山場です。会計ソフトを使っていても、この4つは自分で判断・入力します。
- 棚卸(たなおろし)……年末に残っている在庫(商品・材料)を数え、売上原価を確定させる。仕入れがある業種は必須
- 減価償却……10万円以上の備品(PC・カメラ・車など)を、その年の分だけ経費にします。→ 減価償却と少額減価償却資産の特例の使い分け
- 家事按分(かじあんぶん)……家賃・光熱費・通信費など「事業+生活」で共通の支出を、事業割合だけ経費にします。→ 家事按分の根拠の残し方
- 売掛金・買掛金(未収・未払)の計上……12月に売り上げたが入金は1月、というものも「その年の売上」。逆に未払いの経費も計上する(発生主義)
この4つを終えて初めて、その年の利益(所得)が確定します。青色65万円控除で必要な貸借対照表も、ここが合っていないと数字が合いません。
集める控除証明書リスト
決算整理と並行して、「個人側の控除」の書類を集めます。会社員なら年末調整で会社がやってくれた部分を、今年からは自分でやります。該当するものにチェックを。
- 国民年金の控除証明書(社会保険料控除。日本年金機構から11月頃郵送)
- 国民健康保険の支払額(控除証明書は原則届かない。納付書控え・口座振替履歴で自分で集計)→ 国保は証明書が届かない
- 生命保険料・地震保険料の控除証明書(10月頃郵送)
- 小規模企業共済・iDeCoの掛金証明書(小規模企業共済等掛金控除)
- 医療費の領収書・医療費通知(年間の自己負担を集計)
- ふるさと納税の寄附金受領証明書(確定申告する年はワンストップ特例が無効になる)
- 国民年金基金・付加年金 など
「該当するのはどれか」を一覧で確定させたい人は、使える控除チェックリストで洗い出してください。
最後は「どう提出するか」で控除額が変わる
同じ帳簿でも、提出方法で青色申告特別控除の金額が変わります。
- 複式簿記+e-Tax(電子申告) → 65万円
- 複式簿記+紙で提出 → 55万円(10万円の差)
- 複式簿記+「優良な電子帳簿」で保存(仕訳帳と総勘定元帳を決められた要件どおりに電子データで残し、事前に税務署へ届出書を出す) → 紙で提出しても65万円
- 簡易簿記 → 10万円
会計ソフトで複式簿記の帳簿ができているなら、あとはe-Taxで送るだけで+10万円。ここを紙で出して損している人は本当に多いです(詳しくは65万円控除の条件)。
提出が終わったら、次は納税です。納付書は自動では届きません。振替納税・クレカ・コンビニなど方法を選んでおきましょう(→ 確定申告後の税金はいつ・どう払う)。
よくある質問(FAQ)
Q. 会計ソフトを使っていれば決算整理は自動で終わる?
半分YESで半分NOです。日々の仕訳は自動化できますが、棚卸の数量・減価償却の判断・家事按分の割合は自分で決めて入力します。ここは人の判断が必要な部分です。
Q. 提出は2月16日より前でもできる?
還付申告(税金が戻る場合)は1月から提出できます。納税がある場合の受付は原則2月16日からですが、e-Taxはそれ以前に「送信予約」的に作成を進められます。まずは準備を年内に終えるのが得策です。
Q. 白色申告なら決算整理はいらない?
白色でも売上・経費の集計と、棚卸・減価償却・家事按分は必要です。白色は貸借対照表が不要になるぶん少し軽いだけで、「やることの4分の3は同じ」と考えてください。
Q. 全部やる自信がない。どこから手をつければ?
まず12月の取引入力を終わらせること。それが済めば、決算整理→控除→提出は一本道です。この記事のスケジュール表を上から順に潰していってください。
まとめ
- 確定申告は「決算整理 → 申告書作成 → 提出・納税」の3段階。山場は決算整理
- 提出期間は原則2/16〜3/15です。でも準備は12月から逆算して動きます
- 決算整理でやるのは棚卸・減価償却・家事按分・未収未払の4つです
- 控除証明書は10〜11月に届きます。国保は届かないので自分で集計
- 65万円控除を狙うなら最後はe-Taxで提出
この記事の主な根拠(出典)
- 所得税法120条(確定申告)・所得税法2条(総所得金額)/国税庁タックスアンサー No.2020(確定申告)
- 租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除。65万円は複式簿記+e-Taxまたは電子帳簿保存が要件)/タックスアンサー No.2072
- 消費税の申告期限(課税期間の翌年3月31日)/国税庁「消費税及び地方消費税の申告・納付」
- ※制度改正で変わる場合があります
- ※出典の各ページは2026年8月7日に確認しました。制度は改正されることがあります
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