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更新日 2026-07-25 起業時の知識第27回

メール・ネットで届く請求書や領収書、「印刷して紙で保存」はもうダメ?を3分で

Amazonや楽天で買った物の領収書をブラウザからダウンロード。取引先から請求書がメールに添付されて届く。SaaSの利用料はWeb上の明細ページにしか出てこない——開業すると、こういう「電子で受け取る証憑」が一気に増えます。

これまでのクセで、全部プリントアウトして紙のファイルに綴じている方は多いはず。でも実はいま、「電子で受け取ったものを印刷して紙だけ保存」は、原則アウトになりました。

とはいえ、身構える必要はありません。ルールの芯はたった一本の線引きだけ。この記事で、何がセーフで何がアウトかと、今日やる最小対応まで一気に片づけます。

この記事の結論
電子で受け取った証憑=データのまま保存が義務(電子帳簿保存法・電子取引データ保存)
紙で受け取った証憑(郵送の請求書・店頭のレシート)=これまで通り紙保存でOK
– 「電子で受け取ったものを印刷して、元データは捨てる」がNG。2023年末で猶予(宥恕)措置が終わり、2024年1月から本格化した
– 今日やる最小対応は3つだけ:①専用フォルダを作る ②規則的なファイル名で入れる ③元データを消さない

たった一本の線引き:「どうやって受け取ったか」で決まる

保存方法は、中身ではなく「受け取った経路」で決まります。ここだけ押さえれば9割終わりです。

受け取り方 具体例 保存方法
電子で受け取った メール添付のPDF請求書、Webでダウンロードする領収書、ネット通販の購入明細、クレカ・決済アプリのWeb明細 データのまま保存が義務
紙で受け取った 郵送されてきた請求書、店頭で受け取ったレシート・領収書 紙のまま保存でOK(スキャン保存は任意)

つまり、「電子で来たものは電子で、紙で来たものは紙で」が基本形。紙のレシートをわざわざスキャンする義務はありませんし、逆に、メールで届いたPDFを印刷して原本データを捨てるのはNG、ということです。

なぜ「印刷して紙だけ」がダメになったの?

もともと電子取引のデータは紙に出力して保存してもOKでした。それが2022年1月の改正で「電子取引はデータで保存」が原則になり、準備が間に合わない人向けに2年間の猶予(宥恕)措置が置かれました。

この猶予が2023年12月末で終了。2024年1月からは、電子取引データのデータ保存が本格的な義務になっています。だから「これまで印刷保存でしのいでいた」やり方が、いまは通らなくなった、というわけです。

ただし、いきなり全員が完璧なシステムを、という話ではありません。次の章の「相当の理由」があれば、かなり現実的な運用が認められています。

「難しそう…」でも大丈夫。個人事業主に用意された“逃げ道”

システム対応が間に合わない「相当の理由」があると認められる場合、税務調査などで次の2つに応じられれば、細かい保存要件(改ざん防止措置や検索機能)を完璧に整えていなくても、データ保存だけでセーフとする新しい猶予措置が2024年から続いています。

  1. データのダウンロードの求めに応じられること
  2. 出力した書面(整然・明瞭なもの)の提示・提出に応じられること

ポイントは、この逃げ道を使う場合でも「データ自体は残しておく」ことが大前提だということ。「印刷して紙だけ保存し、元データは削除」——これだけは、逃げ道を使ってもアウトです。逆に言えば、元データさえ捨てずに残しておけば、まず大きくは外さないということでもあります。

今日やる最小対応(3ステップ)

肩の力を抜いて、まずはこれだけ。

  1. 専用フォルダをひとつ作る……パソコンやクラウドに「2026_証憑」のような箱を用意する
  2. 規則的なファイル名で入れる……20260725_〇〇商事_33000円 のように「日付_取引先_金額」で名前を付ける。これだけで、後から探すときに強い
  3. 元データを消さない……メール添付やダウンロードした原本を、印刷してもしなくても捨てずに残す

売上規模が小さいうち(後述)は、これで実務上はほぼ十分です。会計ソフト(freeeやマネーフォワード)を使えば、証憑データの保存・検索まで自動でカバーしてくれるので、記帳とセットで仕組み化してしまうのが結局いちばんラクです。

よくある質問(FAQ)

Q. 売上が少ない一人事業主でも関係あるの?
はい、規模に関わらず対象です。免税事業者でも、白色でも、電子取引データの保存義務は同じようにあります。ただし後述の検索要件などは、売上規模で緩和されます。

Q. スマホで撮った紙のレシートは?
紙のレシートはそのまま紙で保存すればOK。スマホ撮影して電子保存する「スキャナ保存」は任意の制度で、義務ではありません。撮ったら現物を捨てたい、という場合はスキャナ保存の要件を満たす必要があるので、まずは紙のまま保管が無難です。

Q. ファイル名を付けるのが面倒。もっと簡単な方法は?
基準期間(2年前)の売上が5,000万円以下なら、調査時にダウンロードの求めに応じることを条件に、検索機能の確保が不要になります。ファイル名ルールは「後で自分が探しやすくするため」と割り切ってもOK。詳しい要件は網羅版の記事にまとめています。

Q. 過去の分(印刷して原本を消してしまった)はどうすれば?
過ぎたものを取り戻すのは難しいですが、今日から「元データを残す」運用に切り替えれば大丈夫です。まずは受信済みメールを消さない、明細のダウンロードを習慣にする、から始めましょう。

まとめ

  • 保存方法は中身ではなく「受け取った経路」で決まる
  • 電子で受け取った=データのまま保存紙で受け取った=紙のままでOK
  • 「印刷して元データを捨てる」がNG。2024年1月から本格化
  • 「相当の理由」があれば運用はかなり緩い。ただしデータを残すことだけは絶対
  • 今日やるのは専用フォルダ・規則的な名前・元データを消さないの3つだけ
この記事の主な根拠(出典)

  • 電子帳簿保存法7条(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
  • 電子帳簿保存法施行規則4条(電子取引データ保存の要件・検索要件の緩和・猶予措置)
  • 国税庁「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」
  • 国税庁「電子帳簿保存法が改正されました(令和5年度税制改正)」
  • ※2026年時点の制度に基づく

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