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更新日 2026-07-23 起業時の知識第24回

2割特例・簡易課税・本則、どれで消費税を計算する?初心者の選び方

インボイスに登録して課税事業者になると、次に「消費税をどうやって計算するか」という選択が待っています。方法は大きく3つ——2割特例・簡易課税・本則課税(原則)。名前だけ見ても違いが分からず、「どれを選べばいいの?」と手が止まります。

選び方を間違えると、同じ売上でも納める消費税が数万円〜数十万円変わることがあります。逆に、仕組みを理解すれば、自分にとって有利な方法を選べます。この記事では、3つの計算方法を初心者向けに整理し、選び方の考え方を示します。

この記事の結論(2026年時点)
– 消費税の計算は ①2割特例 ②簡易課税 ③本則課税 の3つ
免税事業者からインボイス登録した多くの人は、当面「2割特例」が有利になりやすい(経過措置・期限あり)
– 経費(課税仕入れ)が多い事業は本則課税が有利なことも
– 簡易課税・本則課税は事前の届出が必要。2割特例は届出不要で申告時に選べる

※消費税の制度・特例には期限や改正があります。本記事は2026年(令和8年)時点の一般的な整理です。適用は最新情報と個別事情でご確認ください。

3つの計算方法をざっくり理解する

まず全体像です。消費税は本来「受け取った消費税 − 支払った消費税=納める消費税」で計算します(これが本則)。ただし、小規模事業者向けに、もっと簡単に計算できる方法が用意されています。

方法 計算のイメージ 特徴
2割特例 受け取った消費税 × 20% を納める いちばん簡単。経過措置で期間限定
簡易課税 受け取った消費税 × (100% − みなし仕入率)を納める 業種ごとの率で計算。事前届出が必要
本則課税 受け取った消費税 − 実際に支払った消費税 経費が多い事業に有利。集計が必要

① 2割特例——いちばん簡単(2026年時点の主役)

2割特例は、免税事業者からインボイス登録した人が使える経過措置。受け取った消費税の2割を納めるだけという、非常にシンプルな方法です。

  • 売上の消費税が年間50万円なら、納めるのは 50万円 × 20% = 10万円
  • 仕入れ・経費の集計が不要で、事務負担が軽い
  • 事前の届出は不要で、確定申告のときに「今年は2割特例で」と選べる

多くの小規模事業者にとって、当面はこれが最も有利かつラクになりやすい方法です。ただし、適用できる期間が決まっている経過措置である点に注意(2026年時点で終盤)。使えるのがいつまでかは、必ず最新情報を確認してください。

② 簡易課税——業種ごとの「みなし仕入率」で計算

簡易課税は、実際の経費を集計する代わりに、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って計算する方法です。基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象で、事前の届出が必要です。

事業区分 主な業種 みなし仕入率
第1種 卸売業 90%
第2種 小売業など 80%
第3種 製造業・建設業など 70%
第4種 飲食業など(他に該当しないもの) 60%
第5種 サービス業・運輸・通信など 50%
第6種 不動産業 40%

たとえば第5種(サービス業)で受け取った消費税が50万円なら、納めるのは 50万円 ×(100%−50%)=25万円。みなし仕入率が高い業種ほど、納める消費税は少なくなります。

③ 本則課税(原則)——経費が多い事業に

本則課税は、実際に受け取った消費税から、実際に支払った消費税を差し引いて納税額を出す、本来の方法です。設備投資や仕入れ・外注が多く、支払う消費税が大きい事業では、本則が最も有利になることがあります(場合によっては還付になることも)。ただし、すべての取引の消費税を正しく集計する必要があり、事務負担は一番重くなります。

どれを選ぶ?——考え方のステップ

ステップ1:まず2割特例が使えるか

免税事業者からインボイス登録した人なら、多くの場合、当面は2割特例が有利かつ簡単です。まずは「2割特例が使える立場か・いつまで使えるか」を確認しましょう。

ステップ2:経費(課税仕入れ)の多さで考える

  • 経費が少ない事業(人件費や自分の労力が中心のサービス業など):支払う消費税が少ない → 2割特例や簡易課税が有利になりやすい
  • 経費が多い事業(仕入れ・外注・設備投資が大きい):支払う消費税が多い → 本則課税が有利なことがある

ステップ3:みなし仕入率と2割特例を比べる

簡易課税のみなし仕入率が80%以上(第1種・第2種)なら、納税額が「受け取った消費税の20%以下」になり、2割特例(20%)より有利な場合があります。一方、みなし仕入率が低い業種(第5種50%など)では、2割特例のほうが有利になりやすい——といった比較で考えます。

届出のタイミングに注意

計算方法によって、必要な手続きが違います。

  • 2割特例:届出不要。確定申告のときに選択できる(使えるかどうかは要件・期間による)
  • 簡易課税:原則、適用を受けようとする課税期間が始まる前までに「簡易課税制度選択届出書」が必要(インボイス登録に伴う経過措置あり)
  • 本則課税:特段の選択届出は不要(簡易課税を選んでいない状態)

とくに簡易課税は事前届出が原則で、「あとから今年の分を簡易課税に」は基本できません。方針を決めたら、届出の期限を早めに確認しましょう。

よくある質問(FAQ・2026年時点)

Q. 2割特例が終わったら、次は何を選べばいい?
経費の少ないサービス業などは簡易課税、経費や仕入れが多い事業は本則課税が候補になります。特例終了前に、自分の事業でどちらが有利かを試算しておくと安心です。

Q. 簡易課税を選ぶと、何年か続けないといけない?
簡易課税には原則2年間の継続適用などのルールがあります。頻繁な出入りはできないため、事業の見通しを踏まえて選びましょう。

Q. 会計ソフトで計算できる?
はい。freee・マネーフォワード・弥生などは消費税の計算・申告に対応しています。設定で計算方式を選べば、日々の記帳から申告書まで作れます。

Q. 自分の事業がどの区分か分からない
業種の判定(第1種〜第6種)は迷いやすい論点です。複数の事業を兼ねる場合はさらに複雑になるため、判断に迷うときは個別にご相談を。

まとめ(2026年時点)

  • 消費税の計算は 2割特例・簡易課税・本則課税 の3つ
  • 多くの小規模事業者は、当面2割特例が有利かつ簡単(期限のある経過措置)
  • 経費が多い事業は本則課税が有利なことも
  • 業種のみなし仕入率と2割特例(20%)を比べて選ぶ
  • 簡易課税は事前届出が必要。届出の期限に注意
この記事の主な根拠(出典)

  • 消費税法37条(簡易課税制度。基準期間の課税売上高5,000万円以下・事前届出。みなし仕入率)
  • 28年改正法附則(免税事業者がインボイス登録した場合の2割特例。適用期間の定めあり)
  • 国税庁タックスアンサー No.6505(簡易課税制度)ほか/インボイス制度特設サイト

※制度・特例の内容や期限は改正され得ます。2026年(令和8年)時点の一般的整理です。適用は最新情報と個別事情でご確認ください。

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