Amazonや楽天で買った物の領収書をブラウザからダウンロード。取引先から請求書がメールに添付されて届く。SaaSの利用料はWeb上の明細ページにしか出てこない——開業すると、こういう「電子で受け取る証憑」が一気に増えます。
これまでのクセで、全部プリントアウトして紙のファイルに綴じている方は多いはず。でも実はいま、「電子で受け取ったものを印刷して紙だけ保存」は、原則アウトになりました。
とはいえ、身構える必要はありません。ルールの芯はたった一本の線引きだけ。この記事で、何がセーフで何がアウトかと、今日やる最小対応まで一気に片づけます。
この記事の結論
– 電子で受け取った証憑=データのまま保存が義務(電子帳簿保存法・電子取引データ保存)
– 紙で受け取った証憑(郵送の請求書・店頭のレシート)=これまで通り紙保存でOK
– 「電子で受け取ったものを印刷して、元データは捨てる」がNG。2023年末で猶予(宥恕)措置が終わり、2024年1月から本格化した
– 今日やる最小対応は3つだけ:①専用フォルダを作る ②規則的なファイル名で入れる ③元データを消さない
保存方法は、中身ではなく「受け取った経路」で決まります。ここだけ押さえれば9割終わりです。
| 受け取り方 | 具体例 | 保存方法 |
|---|---|---|
| 電子で受け取った | メール添付のPDF請求書、Webでダウンロードする領収書、ネット通販の購入明細、クレカ・決済アプリのWeb明細 | データのまま保存が義務 |
| 紙で受け取った | 郵送されてきた請求書、店頭で受け取ったレシート・領収書 | 紙のまま保存でOK(スキャン保存は任意) |
つまり、「電子で来たものは電子で、紙で来たものは紙で」が基本形。紙のレシートをわざわざスキャンする義務はありませんし、逆に、メールで届いたPDFを印刷して原本データを捨てるのはNG、ということです。
もともと電子取引のデータは紙に出力して保存してもOKでした。それが2022年1月の改正で「電子取引はデータで保存」が原則になり、準備が間に合わない人向けに2年間の猶予(宥恕)措置が置かれました。
この猶予が2023年12月末で終了。2024年1月からは、電子取引データのデータ保存が本格的な義務になっています。だから「これまで印刷保存でしのいでいた」やり方が、いまは通らなくなった、というわけです。
ただし、いきなり全員が完璧なシステムを、という話ではありません。次の章の「相当の理由」があれば、かなり現実的な運用が認められています。
システム対応が間に合わない「相当の理由」があると認められる場合、税務調査などで次の2つに応じられれば、細かい保存要件(改ざん防止措置や検索機能)を完璧に整えていなくても、データ保存だけでセーフとする新しい猶予措置が2024年から続いています。
ポイントは、この逃げ道を使う場合でも「データ自体は残しておく」ことが大前提だということ。「印刷して紙だけ保存し、元データは削除」——これだけは、逃げ道を使ってもアウトです。逆に言えば、元データさえ捨てずに残しておけば、まず大きくは外さないということでもあります。
肩の力を抜いて、まずはこれだけ。
20260725_〇〇商事_33000円 のように「日付_取引先_金額」で名前を付ける。これだけで、後から探すときに強い売上規模が小さいうち(後述)は、これで実務上はほぼ十分です。会計ソフト(freeeやマネーフォワード)を使えば、証憑データの保存・検索まで自動でカバーしてくれるので、記帳とセットで仕組み化してしまうのが結局いちばんラクです。
Q. 売上が少ない一人事業主でも関係あるの?
はい、規模に関わらず対象です。免税事業者でも、白色でも、電子取引データの保存義務は同じようにあります。ただし後述の検索要件などは、売上規模で緩和されます。
Q. スマホで撮った紙のレシートは?
紙のレシートはそのまま紙で保存すればOK。スマホ撮影して電子保存する「スキャナ保存」は任意の制度で、義務ではありません。撮ったら現物を捨てたい、という場合はスキャナ保存の要件を満たす必要があるので、まずは紙のまま保管が無難です。
Q. ファイル名を付けるのが面倒。もっと簡単な方法は?
基準期間(2年前)の売上が5,000万円以下なら、調査時にダウンロードの求めに応じることを条件に、検索機能の確保が不要になります。ファイル名ルールは「後で自分が探しやすくするため」と割り切ってもOK。詳しい要件は網羅版の記事にまとめています。
Q. 過去の分(印刷して原本を消してしまった)はどうすれば?
過ぎたものを取り戻すのは難しいですが、今日から「元データを残す」運用に切り替えれば大丈夫です。まずは受信済みメールを消さない、明細のダウンロードを習慣にする、から始めましょう。
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