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更新日 2026-07-31 税務調査

加算税早見表【2026年版】──同じ申告漏れで、納税額が倍変わるタイミングの話

「申告漏れが見つかりました」と言われたとき、追加で払うのは本税だけではありません。加算税延滞税が乗ります。

そして、この加算税は「いつ直したか」で税率が段階的に変わります。同じ金額の申告漏れでも、タイミング次第で納税額は倍近く違ってきます。

この記事の結論

  • 過少申告加算税は、調査通知前に自主的に直せば0%。通知後・予知前なら5%、指摘されてからは10%(50万円超の部分は15%)
  • 無申告加算税は3区分(50万円以下15%/50万円超300万円以下20%/300万円超30%)。古い本の「15%/20%」は令和5年度改正前のものです
  • 仮装・隠ぺいがあれば重加算税35%(無申告に代えるものは40%)
  • 帳簿を出せないと加算税が+10%という制度(不記帳加重)が令和4年度改正で入りました
  • 優良な電子帳簿を届け出ていれば△5%。逆に電子データで仮装隠ぺいをすれば+10%
  • 加算税・延滞税はすべて損金不算入です

1. 基本税率──まず1枚の表で

現行(2026年時点)の加算税の税率です。

加算税 どんなとき 税額区分 原則税率 調査通知後〜予知前 調査通知前
過少申告加算税(通法65) 期限内申告について修正申告・更正があった 50万円以下 10% 5% 不適用
50万円超 15% 10% 不適用
無申告加算税(通法66) 期限後申告・決定等があった 50万円以下 15% 10% 5%
50万円超300万円以下 20% 15% 5%
300万円超 30% 25% 5%
不納付加算税(通法67) 源泉所得税を法定納期限までに納めなかった 区分なし 10% 5%(告知を予知しない自主納付)
重加算税(通法68) 仮装・隠ぺいがあった 過少申告に代えて 35%
無申告に代えて 40%
不納付に代えて 35%

表の読み方で、押さえておくべき注記が4つあります。

  • 過少申告加算税の「50万円」の区分は、正確には「期限内申告税額と50万円のいずれか多い額」を超える部分に15%がかかります
  • 無申告加算税は、法定申告期限から1か月以内にされた一定の期限後申告には適用されません(通法66⑨)。期限に遅れても、すぐ出せば助かる余地があります
  • 不納付加算税も、法定納期限から1か月以内の一定の期限後納付には適用されません(通法67③)
  • いずれも「正当な理由がある場合」は不適用です

⚠️ 300万円超30%は令和5年度改正(2024年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から)です。数年前に出版された本やサイトは、無申告加算税をすべて「15%/20%」の2区分で書いています。必ず3区分に読み替えてください。

2. なぜ「タイミング」で倍変わるのか

過少申告加算税の列を、横に読んでみてください。

いつ直したか 税率
調査の通知が来る前 0%
通知は来たが、まだ何も指摘されていない(更正等を予知する前) 5%(50万円超の部分10%)
調査で指摘された後 10%(50万円超の部分15%)

つまり、税務署から電話が来る前に気づいて直せば、加算税はゼロです。

「通知後・予知前」という中間段階があるのもポイントです。事前通知を受けてから臨場までの10〜14日間に自主的に修正申告を出せば、10%が5%になります。この期間の使い方は、そのまま納税額に跳ね返ります。

そして延滞税も乗ります。

延滞税は、納期限の翌日から2か月以内は「年7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」の低いほう、2か月経過後は「年14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」の低いほうです。率は毎年変わるので、必ず国税庁のページで当年の率を確認してください。

ここで重要なのが、重加算税の事案では延滞税の計算期間の特例(除算期間)が適用されないという点です。通常なら計算期間から除かれる期間が除かれず、長期間分がまるまる乗ります。「自主的に直せば実質半分になる」と言われる主な理由がこれです。

3. 加重措置──税率が上乗せされる5つの場面

基本税率だけでは終わりません。上乗せされる仕組みが5つあります。

加重 対象 上乗せ 要件
短期累犯加重 無申告加算税・重加算税 +10% 過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合
連年無申告加重 無申告加算税・重加算税(無申告) +10% 前年分および前々年分について無申告加算税等を課されている場合。短期累犯加重との重複適用はなし
不記帳加重 過少申告・無申告(所得税・法人税・消費税) +10% または +5% 調査で一定の売上に係る帳簿の提示等を求められたときに、①出せない、②売上の1/2以上が不記載 → +10%/③売上の1/3以上〜1/2未満が不記載 → +5%
国外財産調書・財産債務調書に係る加重 過少申告・無申告 +5% 調書の提出がない、または申告漏れに係る財産の記載がない場合(国外財産調書は、関連資料を提示等しなかった場合にさらに+5%)
スキャナ保存・電子取引に係る加重 重加算税 +10% 電子データに関して仮装隠ぺいがあった場合。※令和7年度改正で、電子取引データについて一定の要件を満たす場合は加重対象から除外する措置が整備されました

とくに「不記帳加重」は発想が新しいので、意識してください。令和4年度改正で入ったもので、帳簿をつけていないこと自体が加算税を増やすという仕組みです。「調査で帳簿を出せませんでした」は、それだけでコストになります。

連年無申告加重も見落とされがちです。無申告を3年続けると、3年目には基本30%+10%=40%という水準になり得ます。

4. 軽減措置──下がる仕組みは2つだけ

軽減 対象 割合 要件
国外財産調書・財産債務調書に係る軽減 過少申告・無申告 △5% 提出した調書に、申告漏れに係る財産の記載がある場合
優良な電子帳簿に係る軽減 過少申告(所得税・法人税・消費税) △5% 電子帳簿保存法上の一定の要件を満たす電子帳簿(優良な電子帳簿)について、あらかじめ届け出ている場合。仮装隠ぺいがあれば不適用

電帳法対応は「罰則の話」ではなく「加算税の話」です。
同じ申告漏れでも、優良な電子帳簿を届け出ていれば5%安く、電子取引データで仮装隠ぺいをすれば10%高い。この差は、経理体制を整える動機として分かりやすいところです。

なお、優良な電子帳簿の軽減はあらかじめ届出が必要です。要件を満たしていても、届け出ていなければ使えません。

5. 電子取引データは「出せるか」が問われる

2024年1月から、電子で授受した請求書・領収書・注文書などは、紙に出力して保存することが認められなくなりました(宥恕期間は2023年12月31日で終了)。

ただし猶予措置があります。その適用要件がここです。

「相当の理由」があると認められ、かつ税務調査等の際に①電子取引データのダウンロードの求め ②出力した書面の提示・提出の求め の両方に応じられる場合は、保存要件を満たさなくてもデータを保存しておけばよい

つまり、「調査でデータを出せること」が保存要件そのものに組み込まれているわけです。出せなければ保存要件違反となり、青色申告の取消し事由(帳簿書類の保存不備)にもつながり得ます。

準備しておくことは具体的です。電子取引データを検索要件(取引年月日・取引金額・取引先)で抽出し、指定範囲を一括でダウンロードできる状態にしておくこと。「システムの都合で出せません」は通用しにくくなっています。

6. 「仮装・隠ぺい」とは何を指すのか

重加算税35%は、単なる計上ミスでは課されません。仮装または隠ぺいがあった場合に限られます。国税庁の事務運営指針は、次のような例を挙げています。

  1. 二重帳簿の作成
  2. 帳簿書類の破棄・隠匿、改ざん・虚偽記載、相手方と通じた虚偽の証憑の作成、意図的な集計違算、売上の脱漏、棚卸資産の除外
  3. 特定の取引についての証明書の改ざん・虚偽申請
  4. 簿外資産の利息・賃貸料収入等の不計上
  5. 簿外資金による役員賞与等の支出

実務でよく問題になるのは、「単純ミス」と「意図的な操作」の線引きです。たとえば交際費で1人1万円基準に収めるために参加人数を水増しすると、社内メール・人数の記載されたレシート・店への反面調査で発覚し、仮装として重加算税の対象になります。

7. 除斥期間──何年前まで遡られるか

区分 期間
更正・決定の除斥期間(原則) 5年
偽りその他不正の行為があった場合 7年
更正の請求(納税者から直す) 法定申告期限から5年(純損失等は10年)

加算税・延滞税は、すべて損金不算入です。会社の経費にはなりません。

8. 実務のまとめ──やるべきことは3つ

  1. 決算後・申告後でも、気づいたら通知が来る前に直す。0%と10%の差は、金額が大きいほど効きます
  2. 事前通知から臨場までの10〜14日を使う。この間の自主修正なら5%です
  3. 帳簿と電子取引データを「出せる状態」にしておく。不記帳加重の+10%を避け、優良な電子帳簿の△5%を取りに行く

→ 調査そのものの全体像は 税務調査とは何か【2026年版】 をご覧ください。

まとめ

  • 過少申告加算税は通知前0%/通知後・予知前5%/予知後10%(50万円超の部分はそれぞれ10%・15%)
  • 無申告加算税は3区分300万円超は30%(令和5年度改正。古い資料の2区分は誤り)
  • 期限後申告でも1か月以内なら無申告加算税が不適用になる余地がある
  • 重加算税35%(無申告に代えるものは40%)。延滞税の除算期間が適用されないため負担が跳ね上がる
  • 加重は5種類。不記帳加重(+10%/+5%)は「帳簿がないこと自体がコストになる」新しい発想
  • 軽減は2種類。優良な電子帳簿は事前の届出が必要
  • 電子取引データは「ダウンロードの求めに応じられること」が猶予措置の要件
  • 除斥期間は原則5年、偽りその他不正の行為があれば7年
  • 加算税・延滞税は損金不算入
この記事の主な根拠(出典)

  • 国税通則法65条(過少申告加算税)/66条(無申告加算税)/67条(不納付加算税)/68条(重加算税)/60条(延滞税)/70条(更正・決定の期間制限)/23条(更正の請求)
  • 電子帳簿保存法7条(電子取引データの保存)/8条4項(優良な電子帳簿に係る軽減)・5項(スキャナ保存・電子取引に係る加重)
  • 財務省「加算税制度の概要」
  • 国税庁「電子帳簿保存法一問一答」「電子帳簿保存法の内容が改正されました」、タックスアンサー「延滞税の割合」「加算税制度」
  • 国税庁「申告所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
  • ※2026年時点の制度に基づく記事です。延滞税の割合は毎年変わります

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