会計ソフトの「申告書の作成」を押したら、PDFが2種類出てきた。青色申告決算書と、確定申告書。
どちらを先に作るのか、同じ数字を2回書くのか、どこが連動しているのか。——初回申告でここに引っかかる人はとても多いです。
結論から言います。この2枚は役割が違う書類で、つながっているのはたった1か所です。
この記事の結論
– 青色申告決算書=事業のもうけを出す書類(事業だけの世界)
– 確定申告書=すべての所得を合算して税額を出す書類(人ぜんぶの世界)
– つながっているのは「所得金額」の1か所だけ。決算書1ページの所得金額を、申告書第一表の事業(営業等)欄に書く
– 作る順番は決算整理 → 決算書 → 申告書第二表 → 第一表 → 納付
– 青色申告特別控除は決算書側で引く。申告書に持っていくのは控除後の金額
– 源泉徴収された報酬は、売上は源泉前の金額で計上し、源泉税は申告書に書く
– 控除はソフトが自動で入れてくれない。家族構成と支払いは自分で入力する
| 青色申告決算書 | 確定申告書 | |
|---|---|---|
| 何を出す書類か | 事業のもうけ(事業所得) | その人の税額 |
| 対象範囲 | 事業だけ | 事業+給与+不動産+年金+一時所得…ぜんぶ |
| 差し引くもの | 必要経費・青色申告特別控除 | 所得控除(社保・医療費・扶養・基礎など) |
| 誰の書類か | 事業の書類 | 個人(あなた)の書類 |
| 提出義務 | 青色申告なら添付が必要(所得税法施行規則65条) | 本体 |
| 白色の場合 | 収支内訳書に置き換わる | 同じ |
「決算書は事業だけ、申告書は人生ぜんぶ」と覚えると混乱しません。
だから、給与所得や不動産所得がある人も決算書は事業の分だけ作ります。逆に、扶養や生命保険料といった個人の事情は決算書に一切出てきません。
| ページ | 何を書くか | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 1ページ | 損益計算書(売上・経費・所得金額) | 一番下の所得金額が申告書へ渡る数字 |
| 2ページ | 月別売上・仕入、貸倒引当金、専従者給与の内訳 | 月別の合計が1ページと一致しないと不整合 |
| 3ページ | 減価償却の内訳、地代家賃、利子割引料、税理士等の報酬 | 未償却残高の書き忘れ。按分割合はここに出る |
| 4ページ | 貸借対照表(+製造原価) | 65万・55万円控除はこの4ページが必須 |
3ページの「減価償却費の計算」は、翌年の計算の土台になります。未償却残高を書かないと翌年の計算ができません。地代家賃の欄には「うち経費算入額」を書くので、家事按分の割合が税務署に見えるのはこのページです。
決算書1ページの一番下、所得金額(青色申告特別控除後)。この数字を、確定申告書第一表の「事業(営業等)」の所得金額欄に書きます。これが唯一の連結点です。
会計ソフトを使えば自動で転記されますが、手書きや複数の所得がある人はここで間違えます。
| よくある転記ミス | 何が起きるか |
|---|---|
| 売上金額を申告書に書いてしまう | 経費が引かれず税額が跳ね上がる |
| 青色申告特別控除前の金額を書く | 控除が二重に引かれる/引かれない |
| 消費税込みの金額を書く(税抜経理なのに) | 売上と経費の整合が崩れる |
| 事業所得を「雑所得」欄に書く | 青色申告特別控除も損益通算も使えなくなる |
最後の行は影響が大きいので特に注意してください。事業所得と雑所得は、控除も損失の扱いもまったく違います。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 第一表 | 収入金額 → 所得金額 → 所得から差し引かれる金額(控除の合計) → 課税される所得金額 → 税額 → 納める税金/還付される税金 |
| 第二表 | 所得の内訳(源泉徴収税額)、社会保険料等の内訳、生命保険料、扶養親族、住民税・事業税に関する事項、専従者に関する事項 |
第二表は「第一表に書いた合計額の内訳」です。第一表だけ埋めても、内訳がないと控除が認められません。
第二表の下部にある「住民税・事業税に関する事項」は見落とされがちです。ここには次のような重要な選択が含まれます。
第二表を先に作るのがコツです。控除の内訳が固まらないと第一表の税額が動き続けるからです。全体の流れは記帳が終わったら何をする?で時系列にまとめています。
決算書側(1ページ)で引きます。 申告書に持っていく所得金額は控除後です。申告書側でもう一度引く欄はありません。65万円になるか55万円・10万円になるかは、帳簿・期限・提出方法で決まります(65万円控除の条件)。
売上は源泉徴収される前の金額(総額)で計上します。差し引かれた源泉税は経費ではなく、申告書第一表の「源泉徴収税額」と第二表の所得の内訳に書きます。ここに書かないと、前払いした税金が精算されず払いすぎのまま終わります。
決算書2ページ(内訳)と、申告書第二表(専従者に関する事項)の両方です。届出額を超えて払った分は経費になりません。
課税事業者は、所得税の確定申告とは別に消費税の確定申告書を作ります。決算書にも申告書にも消費税額そのものは出てきません(税込経理なら経費に含まれます)。
会計ソフトは、あなたの扶養親族・医療費・生命保険料を知りません。帳簿から自動で出るのは決算書までです。申告書側の控除は自分で入力します(所得控除の最終チェックリスト)。
事業が赤字の年、その損失は申告書側で他の所得と相殺できます(損益通算、所得税法69条)。給与所得や不動産所得があれば、そこから引けます。
引き切れない損失は、青色申告なら3年繰り越せます(純損失の繰越控除、所得税法70条)。ただし損失が出た年に期限内申告をしていることが条件です。「赤字だから申告しなくていい」は、この権利を捨てる行為です。
Q. 決算書を出さずに申告書だけ出したらどうなりますか。
青色申告者は決算書の添付が要件です(所得税法施行規則65条)。添付がないと青色申告特別控除が認められないおそれがあります。
Q. 白色申告でも同じですか。
決算書の代わりに「収支内訳書」を添付します。申告書は同じです。ただし収支内訳書に貸借対照表はなく、青色申告特別控除も使えません(青色と白色の違い)。
Q. 給与と事業の両方があります。決算書はどうなりますか。
決算書は事業の分だけです。給与は申告書第一表の「給与」欄に、源泉徴収票の金額を書きます。合算されるのは申告書の上です。
Q. 決算書の所得金額がマイナスです。申告書にどう書きますか。
マイナスのまま記載し、他の所得と損益通算します。引き切れなければ第四表(損失申告用)を使って繰り越します。
Q. 2ページの月別売上を書かないと不利ですか。
記載欄がある以上、埋めるべき項目です。空欄だと帳簿の裏づけを疑われることがあります。会計ソフトなら自動で入ります。
Q. 3ページの地代家賃に自宅の家賃を書くのが不安です。
按分が適正なら問題ありません。「うち経費算入額」欄に按分後の金額を書きます。割合の根拠を残しておけば、そこが説明の材料になります。
Q. e-Taxなら書類のイメージは見られませんか。
提出前にPDFで確認できます。決算書1ページの所得金額と、第一表の事業所得欄が一致しているかだけは、送信前に必ず目視してください。
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