地震保険料控除|火災保険とセットなのに書き忘れる人が多い(上限5万円)
火災保険と地震保険は、たいていセットで契約します。保険料の請求も1枚にまとまっています。
だからこそ、「保険料は控除できないもの」と思い込んで、そのまま何も書かない人が多いのです。
正しくは——火災保険料は控除できません。地震保険料は控除できます。この2つは分けて考えます。
上限は5万円と小さいですが、書くだけで取れる控除です。取りこぼしとしては、いちばんもったいない部類に入ります。
この記事の結論
– 対象は地震保険料だけ。火災保険料は対象外
– 所得税:支払った地震保険料の全額(上限5万円)
– 住民税:支払った地震保険料の2分の1(上限2万5,000円)
– 平成18年12月31日までに契約した長期損害保険には経過措置(旧長期損害保険料)がある
– 両方ある場合の合計上限は所得税5万円・住民税2万5,000円
– 1つの契約が両方に該当するときは、どちらか一方を選択
– 対象は居住用の家屋・生活用動産。別荘は対象外
– 自宅兼事務所は按分。事業部分は必要経費、居住部分は控除
– 賃貸住宅の家財にかけた地震保険も対象
– 控除証明書は保険会社から10月ごろ、または保険証券に記載
何が対象で、何が対象外か
| 控除の対象 | |
|---|---|
| 地震保険料 | ○ |
| 火災保険料 | × |
| 家財の地震保険料(生活用動産) | ○ |
| 賃貸住宅に住んでいて、家財にかけた地震保険 | ○ |
| 事業用建物・店舗の地震保険料 | ×(控除ではなく必要経費) |
| 別荘の地震保険料 | ×(常時居住していない) |
| 旧長期損害保険料(後述) | ○(経過措置) |
| 自動車保険・傷害保険 | × |
対象になるのは、次の資産にかけた地震保険です。
自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族が所有する、
常時その居住の用に供する家屋 または 生活に通常必要な家具・什器・衣服等(生活用動産)
ポイントが2つあります。
- 自分の持ち物でなくてもよい。生計を一にする家族が所有する家にかけた地震保険料でも、自分が払っていれば自分の控除になります。
- 賃貸でも使える。建物は大家のものでも、自分の家財にかけた地震保険は対象です。賃貸契約時に入る「借家人賠償責任+家財保険」のうち、地震保険部分が該当します。
控除額の計算
① 地震保険料
| 年間の支払保険料 | 控除額 | |
|---|---|---|
| 所得税 | 5万円以下 | 支払金額の全額 |
| 5万円超 | 5万円 | |
| 住民税 | 5万円以下 | 支払金額 × 1/2 |
| 5万円超 | 2万5,000円 |
所得税は全額、住民税は半分——これだけ覚えれば足ります。
② 旧長期損害保険料(経過措置)
平成18年(2006年)の税制改正で損害保険料控除は廃止されましたが、それ以前の長期契約には経過措置が残っています。
次の3つをすべて満たす契約が対象です。
| # | 要件 |
|---|---|
| ① | 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間の始期が平成19年1月1日以後のものを除く) |
| ② | 満期返戻金等があるもので、保険期間が10年以上 |
| ③ | 平成19年1月1日以後に契約の変更をしていない |
積立火災保険・積立傷害保険などが典型です。
控除額
| 年間の支払保険料 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 1万円以下 | 全額 | — |
| 2 | 1万円超 2万円以下 | 支払金額 × 1/2 + 5,000円 | — |
| 3 | 2万円超 | 1万5,000円 | — |
| — | 住民税:5,000円以下 | — | 全額 |
| — | 5,000円超 1万円以下 | — | 支払金額 × 1/2 + 2,500円 |
| — | 1万円超 | — | 1万円 |
③ 両方ある場合
地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合は、それぞれの控除額を合計します。ただし、
| 合計の上限 | |
|---|---|
| 所得税 | 5万円 |
| 住民税 | 2万5,000円 |
1つの保険契約が地震保険料控除と旧長期の両方に該当する場合は、どちらか一方だけを選びます(有利なほうを選択)。両方には使えません。
自宅兼事務所のとき
持ち家で仕事をしている人は、按分します。
| 部分 | 扱い |
|---|---|
| 居住用部分 | 地震保険料控除(所得控除) |
| 事業用部分 | 必要経費(損害保険料) |
按分の割合は、面積比など合理的な基準で決めます(家事按分の割合はどう決める?、持ち家の按分と住宅ローン控除)。
「事業割合が高いから控除は要らない」わけではありません。残りの居住部分は控除になります。両方きちんと拾ってください。
なお、店舗・事務所専用の建物にかけた地震保険料は、控除ではなく全額が必要経費です。
証明書はどこにあるか
| 入手方法 | 内容 |
|---|---|
| 控除証明書 | 保険会社から10月ごろに送付される(生命保険料控除証明書と一緒のことが多い) |
| 保険証券 | 長期契約で保険料を一括払いした場合など、証券に控除対象額が記載されていることがある |
| 再発行 | 保険会社に連絡すれば再発行できる |
e-Taxで申告する場合、証明書の添付は省略できます(提出を省略した書類は、原則5年間保存)。書面提出の場合は添付または提示が必要です。
証明書を集める段取りは控除証明書を集める段取りにまとめています。
長期契約で一括払いしたとき
保険期間5年分などをまとめて払った場合、その年に全額を控除するのではありません。
一括で支払った保険料 ÷ 保険期間の年数 = その年の控除対象額
たとえば5年分10万円を一括で払ったなら、毎年2万円ずつが控除対象です。控除証明書にも「年間の控除対象保険料」として記載されているので、それを使ってください。
必要経費のほうも同じ考え方です(事業用部分は、期間対応で経費にします)。
この記事は地震保険料控除の税務上の取扱いを扱っています。保険の必要性・補償内容・保険金額の設定・どの保険に入るべきかといった判断はこの記事では扱っていません(保険募集は保険業法上の登録・資格が必要な業務であり、税理士の業務ではありません)。契約が「旧長期損害保険契約」に該当するか、控除対象保険料がいくらかは、保険会社が発行する控除証明書の記載によります。判断に迷う場合は保険会社にご確認ください。地震で実際に損害を受けた場合の税務上の取扱いは[災害・盗難にあったとき](/zasson-koujo-saigai-genmen/)を参照してください。
書く場所
| 書類 | 場所 |
|---|---|
| 確定申告書 第一表 | 「地震保険料控除」欄 |
| 確定申告書 第二表 | 「地震保険料控除」欄に、地震保険料と旧長期損害保険料を分けて記入 |
第二表で2つに分けて書くのを忘れないでください。計算方法が違うため、分けないと正しい控除額になりません。
会計ソフトや確定申告書等作成コーナーを使う場合は、証明書の区分どおりに入力すれば自動計算されます。
よくある質問(FAQ)
Q. 火災保険料はどうしても控除できませんか。
できません。平成18年の改正で損害保険料控除が廃止され、地震保険料控除に切り替わりました。旧長期損害保険料の経過措置に該当する古い積立型の契約だけが例外です。
Q. 賃貸に住んでいます。家財の地震保険は控除できますか。
できます。建物の所有者でなくても、自分の生活用動産(家財)にかけた地震保険料は対象です。賃貸契約時に加入した保険の内訳を確認してください。
Q. 親が住んでいる実家の地震保険料を払っています。
生計を一にしているなら、自分の控除にできます(家屋の所有者が親でも構いません)。別生計なら控除できません。
Q. 上限5万円を超えて払っています。夫婦で分けられますか。
実際に負担した人が控除を受けます。契約者と支払者が異なる場合、支払いの事実(口座からの引落し等)で判断されます。片方が全額を払っているなら、その人だけの控除です。分割して両方が控除する、ということは実際に分けて払っていない限りできません。
Q. 年末調整で出し忘れました。
確定申告で控除できます。個人事業主は年末調整がないので、確定申告で必ず記入してください(所得控除の最終チェックリスト)。
Q. 過去の年に書き忘れていました。
更正の請求(原則5年以内)で還付を受けられます。金額は小さいですが、他の控除漏れと合わせて確認してみてください。
Q. 事業用の地震保険料を、間違えて控除に入れていました。
事業用部分は必要経費であり、所得控除ではありません。二重に取ることはできません。按分して正しく分けてください。
Q. 別荘の地震保険は?
対象外です。控除の対象は「常時その居住の用に供する家屋」に限られます。
まとめ
- 対象は地震保険料だけ。火災保険料は対象外
- 所得税は全額(上限5万円)、住民税は1/2(上限2万5,000円)
- 平成18年12月31日までの長期契約には旧長期損害保険料の経過措置(所得税は最高1万5,000円)
- 両方あっても合計上限は所得税5万円・住民税2万5,000円。1契約が両方に該当するときは一方を選択
- 対象資産は居住用の家屋・生活用動産。別荘は対象外、賃貸の家財はOK
- 生計を一にする家族が所有していても、自分が払っていれば自分の控除
- 自宅兼事務所は按分。事業部分は必要経費
- 長期一括払いは保険期間で割った額が毎年の控除対象
- 申告書第二表で「地震保険料」と「旧長期」を分けて書く
- 所得税法77条(地震保険料控除。居住者が自己もしくは自己と生計を一にする配偶者その他の親族の有する家屋で常時その居住の用に供するもの、または これらの者の有する生活に通常必要な家具・じゅう器・衣服その他の資産を保険等の目的とする地震保険契約等の保険料等)
- 所得税法施行令214条・215条(地震保険契約等の範囲)
- 平成18年改正法附則10条(損害保険料控除の廃止に伴う経過措置。平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等で、満期返戻金等があり保険期間が10年以上、かつ平成19年1月1日以後に契約の変更をしていないもの)
- 地方税法314条の2(個人住民税の地震保険料控除。支払保険料の2分の1、上限2万5,000円)
- 国税庁 タックスアンサー No.1145(地震保険料控除)
- ※2026年時点の取扱いです
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