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更新日 2026-07-25 起業時の知識第45回

個人事業主に「後から来る税金」一覧|住民税・個人事業税・消費税・予定納税はいつ・いくら

確定申告を終えて所得税を納めた。ほっとしたのに、6月に住民税の通知が来て、8月に「個人事業税」という見たこともない納付書が届く。11月には予定納税。「まだあるの?」——独立して1〜2年目のいちばん苦しい体験がこれです。

問題は税額そのものより、全体像を知らないまま順番に殴られること。何が・いつ・どんな計算で来るのかを一度並べておけば、驚くことはなくなります。

この記事は、後から来る税金の参照用カタログです。細かい判断は各制度の記事にまとめてあるので、ここでは「見落とさないための地図」として使ってください。

この記事の結論
– 後から来るのは主に住民税(6月)・個人事業税(8月・11月)・消費税(3月)・予定納税(7月・11月)
個人事業税には所得290万円の事業主控除がある。所得がこれ以下なら課税されない
青色申告特別控除は個人事業税では引けない。所得税より課税所得が大きくなる
開業1年目はほぼ来ない。2年目にまとめて来る。ここが資金繰りの最大の落とし穴

後から来るものの一覧

何が 誰から・いつ分かる 納付タイミング 計算のあらまし 来ない・軽くなる条件
所得税 自分で申告(2/16〜3/15) 3/15 まで 課税所得に5〜45%の累進税率+復興特別所得税2.1% 所得が控除額以下なら0
予定納税 国税庁から6月に通知 第1期7月/第2期11月 前年の予定納税基準額の各1/3 基準額15万円未満なら通知なし
住民税 市区町村から5〜6月に通知 普通徴収は6月・8月・10月・翌1月の4期 所得割10%(市町村6%+道府県4%)+均等割 年5,000円程度(森林環境税を含む・自治体差あり) 所得が自治体の基準以下なら非課税
個人事業税 都道府県から8月に通知 8月・11月の2回 (事業所得 − 事業主控除290万円)× 3〜5% 法定70業種に当たらない/所得290万円以下
消費税 自分で申告 3/31 まで(中間申告は別途) 本則・簡易・2割特例のいずれかで計算 基準期間の課税売上1,000万円以下で未登録なら免税
国民健康保険料 市区町村から6月頃に通知 6月〜翌3月の分割(自治体差あり) 前年所得を基礎に所得割+均等割等 軽減・減免制度あり
国民年金保険料 日本年金機構から 毎月/前納も可 定額(毎年度改定・月1万7千円台) 免除・納付猶予制度あり
償却資産の固定資産税 自分で申告(1/31まで)→通知 6月頃から年4期 償却資産の課税標準 × 1.4%(標準税率) 課税標準150万円未満なら原則課税されない

税金以外(国保・年金)も並べたのは、現金が出ていくタイミングとしては同じだからです。「税金だけ」で資金計画を立てると必ず足りません。

なぜ2年目に一気に来るのか

住民税・個人事業税・国民健康保険料は、いずれも前年の所得を基礎に、翌年に課されるしくみです。予定納税も前年の実績で決まります。

だから開業1年目には、これらがほとんど来ません。そして2年目の6月〜11月に、住民税・国保・個人事業税・予定納税が重なって来ます

時期 開業1年目 開業2年目
3月 ―(前年分の確定申告は会社員時代の分など) 所得税の納付
6月 会社員時代の所得に対する住民税(前職分) 住民税の通知・第1期/国保の通知
7月 予定納税 第1期
8月 個人事業税 第1期/住民税 第2期
10〜11月 住民税 第3期/個人事業税 第2期予定納税 第2期
翌3月 消費税の納付(課税事業者なら)

1年目に「思ったより手元に残った」と感じて使ってしまうと、2年目に詰みます。1年目の体験談的な整理は独立1年目の税金、貯めておく割合の考え方は納税用に何割貯金するかにまとめました。

個人事業税:いちばん知られていない

存在自体を知らずに納付書で驚く人が多いのがこれです。都道府県の税金です。

課税されるのは「法定業種」に当たる事業だけで、地方税法が第1種(37業種・税率5%)、第2種(3業種・4%)、第3種(30業種・5%または3%)のあわせて70業種を定めています。

計算はシンプルです。

(事業所得 + 青色申告特別控除の額 − 損失の繰越等 − 事業主控除290万円)× 税率

押さえるべき点が3つあります。

  1. 事業主控除290万円があるので、所得が290万円以下なら税額は0(年の途中の開業は月割り)
  2. 青色申告特別控除は引けません。 所得税では65万円引けても、事業税の計算では引く前の所得がベースです(所得税より課税所得が大きくなる)
  3. 業種判定は都道府県税事務所が実態で行います。 開業届の「職業」欄に何と書いたかで決まるわけではありません(この誤解は開業届の職業欄の書き方で詳しく整理しています)

法定70業種に当たらないと判断される事業(文筆業など)は課税されないことがありますが、これは自己判断で決められるものではありません。通知が来ない・来たけれど納得できない場合は、都道府県税事務所に確認してください。

なお、個人事業税は経費(租税公課)になります。所得税・住民税は経費になりません。ここは対比で覚えておくと便利です。

予定納税:来ることが事前に分かる

前年分の予定納税基準額が15万円以上だと、6月に税務署から通知が届き、7月と11月に各1/3ずつを前払いします(残り1/3は翌年3月の確定申告時に精算)。

大事なのは、業績が落ちているなら減額できること。

  • 第1期・第2期分の減額申請:その年の7月15日まで
  • 第2期分のみの減額申請:その年の11月15日まで

「前年は良かったが今年は落ちている」場合、申請しないと払い過ぎたまま翌年3月まで資金が寝ます。詳しくは予定納税とはへ。納付方法の選択肢は確定申告の納税方法にまとめています。

消費税:2年遅れで始まる

基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は課税事業者になります。つまり2年遅れで始まります。特定期間(前年1〜6月)の判定もあります。

インボイス登録をした場合は、売上規模に関係なく課税事業者です。登録した年からは必ず申告・納付が発生します。

計算方法は本則課税・簡易課税・2割特例から選び、有利不利が大きく変わります消費税の計算方法の選び方2割特例のしくみ)。また、前年の確定消費税額(国税分)が48万円を超えると中間申告が発生し、納付回数が増えます。

消費税は「預かっているお金」という性格が強く、使ってしまうと必ず足りなくなる税金です。売上が入った時点で分けておく運用を強くおすすめします。

償却資産の固定資産税(見落としやすい)

機械・器具・備品・看板・内装などの事業用資産を持っていると、毎年1月31日までに市区町村へ償却資産の申告が必要です。

ただし、課税標準額が150万円未満なら原則として課税されません(免税点)。パソコン数台程度の規模なら該当しないことが多いですが、申告そのものは求められる点に注意してください。内装工事や大きな機械を入れた年は特に確認を。

よくある質問(FAQ)

Q. 住民税や所得税は経費になりますか?
なりません。一方、個人事業税・固定資産税・自動車税・印紙税などは租税公課として経費になります(事業使用割合分)。「税金だから経費」ではないので、ここは区別してください。

Q. 個人事業税の通知が来ませんが、放っておいていいですか?
所得が290万円以下、または法定業種に当たらない場合は課税されないので、通知が来ないこと自体は珍しくありません。ただし申告内容が都道府県に伝わっていない可能性もゼロではないため、所得が明らかに290万円を超えているのに通知がない場合は問い合わせてください。

Q. 予定納税や納税が払えないときは?
まず減額申請の期限内なら減額申請を検討します。それでも払えない場合は、税務署に納税の猶予・分割の相談ができます(国税通則法46条)。放置して延滞税が積み上がるのがいちばん不利なので、期限前に窓口に行くのが正解です。

Q. 住民税の均等割は赤字でも払うのですか?
所得が自治体の定める基準以下なら非課税になります。基準は自治体・扶養状況によって異なるので、市区町村の案内で確認してください。

Q. 年の途中で引っ越したら住民税はどこに払う?
その年の1月1日時点に住所があった自治体に納めます。引っ越し先ではありません。

Q. 節税で税金を下げるなら何から?
所得控除を使う手段(小規模企業共済・iDeCoなど)は効果が読みやすい一方、資金が拘束されるという副作用があります。順番の考え方は小規模企業共済とiDeCoの優先順位にまとめました。まず納税資金の確保、そのうえで節税です。

まとめ

  • 後から来るのは住民税(6月〜)・個人事業税(8月・11月)・予定納税(7月・11月)・消費税(3月)、加えて国保・国民年金
  • 個人事業税は事業主控除290万円。ただし青色申告特別控除は引けない業種判定は都道府県
  • 予定納税は基準額15万円以上で通知。7/15・11/15までなら減額申請できる
  • 消費税は2年遅れ(インボイス登録した年からは即)。中間申告で回数が増えることもある
  • 償却資産の申告は1/31まで。課税標準150万円未満なら原則課税なし
  • 1年目に来ないものが2年目にまとめて来る。1年目の手残りは使い切らない
この記事の主な根拠(出典)

  • 所得税法104条(予定納税額の納付)/111条(予定納税額の減額の承認の申請)
  • 地方税法72条の2・72条の49の11ほか(個人事業税/法定業種・税率・事業主控除290万円)
  • 地方税法292条以下(個人住民税/所得割・均等割)
  • 消費税法9条(小規模事業者の納税義務の免除)/42条(中間申告)
  • 地方税法383条・351条(償却資産の申告/免税点150万円)
  • 国税通則法46条(納税の猶予)
  • 国税庁タックスアンサー「予定納税」「消費税の納税義務者」、各都道府県「個人事業税」の案内
  • ※2026年時点の制度に基づく。税率・保険料額・非課税基準は年分や自治体で変わるため、必ず最新の通知・案内で確認してください

次に読む

👉 独立1年目に来る税金と、来ない税金
👉 納税用に売上の何割を貯めておけばいい?
👉 予定納税とは?通知が来る条件と減額申請
👉 小規模企業共済とiDeCo、どっちを先に・いくら掛ける?
👉 消費税の計算方法(本則・簡易・2割特例)の選び方

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