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更新日 2026-09-07 経理と確定申告

「青色申告決算書」と「確定申告書」は何が違う?2枚の書類の役割と数字の連動をほどく

目次|各章の答え
  1. 2枚の役割決算書は「事業のもうけ」を出す紙、申告書は「その人ぜんぶの税額」を出す紙です。
  2. 青色申告決算書の4ページ1ページで所得金額を出し、2〜3ページで内訳を見せ、4ページの貸借対照表が65万円・55万円控除の要件になります。
  3. 連動しているのは1か所だけ決算書1ページの㊺「所得金額」を、申告書第一表①の「事業(営業等)」に書きます。つながっているのはここだけです。
  4. 確定申告書の構造第一表が計算の本体、第二表はその内訳です。第二表を先に埋めると、第一表の数字が動かなくなります。
  5. 作る順番決算整理 → 決算書 → 申告書第二表 → 第一表 → 納付。第二表が先です。
  6. つまずきやすい5点青色申告特別控除は決算書側で引きます。源泉徴収された報酬は、売上を総額で立てて、源泉税は申告書に書きます。
  7. 損失が出た年——申告書側で効いてくる赤字は申告書側で他の所得と相殺し、引き切れない分は3年繰り越せます。ただし申告を出し続けることが条件です。
  8. よくある質問(FAQ)決算書を出さないと、税務署が青色申告特別控除を認めないおそれがあります。白色なら収支内訳書に置き換わります。
  9. まとめ

会計ソフトの「申告書の作成」を押したら、PDFが2種類出てきた。青色申告決算書と、確定申告書。

どちらを先に作るのか、同じ数字を2回書くのか、どこが連動しているのか。——初回申告でここに引っかかる人はとても多いです。

結論から言います。この2枚は役割が違う書類で、つながっているのはたった1か所です。以下、実際の様式(令和7年分)を見ながら、その1か所を確かめていきます。

2枚の役割

決算書は「事業のもうけ」を出す紙、申告書は「その人ぜんぶの税額」を出す紙です。

青色申告決算書事業のもうけを出す

売上 − 必要経費 − 青色申告特別控除

事業だけの世界

所得金額
確定申告書その人の税額を出す

事業+給与+不動産… − 所得控除 → 税額

人ぜんぶの世界

青色申告決算書 確定申告書
何を出す書類か 事業のもうけ(事業所得) その人の税額
対象範囲 事業だけ 事業+給与+不動産+年金+一時所得…ぜんぶ
差し引くもの 必要経費・青色申告特別控除 所得控除(社保・医療費・扶養・基礎など)
誰の書類か 事業の書類 個人(あなた)の書類
提出義務 青色申告なら添付が必要(所得税法施行規則65条) 本体
白色の場合 収支内訳書に置き換わる 同じ

「決算書は事業だけ、申告書は人生ぜんぶ」と覚えると混乱しません。

だから、給与所得や不動産所得がある人も決算書は事業の分だけ作ります。逆に、扶養や生命保険料といった個人の事情は決算書に一切出てきません

青色申告決算書の4ページ

1ページで所得金額を出し、2〜3ページで内訳を見せ、4ページの貸借対照表が65万円・55万円控除の要件になります。

青色申告決算書1ページ目 損益計算書
1ページ 損益計算書売上・経費・所得金額
青色申告決算書2ページ目 月別売上と各種内訳
2ページ 内訳月別売上・給料・専従者・地代家賃
青色申告決算書3ページ目 減価償却費の計算
3ページ 明細取引先の明細・減価償却費の計算
青色申告決算書4ページ目 貸借対照表
4ページ 貸借対照表65万・55万円控除の要件

出典:国税庁「令和7年分 所得税青色申告決算書(一般用)」

ページ 何を書くか つまずきやすい点
1ページ 損益計算書(売上・経費・所得金額) 一番下の所得金額が申告書へ渡る数字
2ページ 月別売上・仕入、給料賃金と専従者給与の内訳地代家賃の内訳、貸倒引当金、青色申告特別控除額の計算 月別の合計が1ページと一致しないと不整合
3ページ 売上先・仕入先の明細、減価償却費の計算、利子割引料、税理士等の報酬 未償却残高の書き忘れ。翌年の計算ができなくなる
4ページ 貸借対照表(+製造原価の計算) 65万・55万円控除はこの4ページが必須

3ページの「減価償却費の計算」は、翌年の計算の土台になります。未償却残高を書かないと翌年の計算ができません

家事按分が税務署に見えるのは2ページです。地代家賃の内訳に「左の賃借料のうち必要経費算入額」を書く欄があり、按分後の金額をここに入れます。65万円・55万円控除の金額を計算する欄も2ページにあります。

連動しているのは1か所だけ

決算書1ページの㊺「所得金額」を、申告書第一表①の「事業(営業等)」に書きます。つながっているのはここだけです。

青色申告決算書1ページ右下 所得金額欄
渡す側:決算書1ページの右下。㊸青色申告特別控除前の所得金額から㊹青色申告特別控除額を引いた、㊺所得金額(赤枠)が申告書へ渡る数字です。
出典:国税庁「令和7年分 所得税青色申告決算書(一般用)」(筆者が枠を加筆)

↓ この金額を、申告書のここへ

確定申告書第一表 収入金額等と所得金額等
受け取る側:申告書第一表の左側。上段の「収入金額等」㋐(青枠)には決算書①の売上を、下段の「所得金額等」①(赤枠)には決算書㊺の所得金額を書きます。同じ「事業(営業等)」という行が上下に2つあるのが、間違いの起きる原因です。
出典:国税庁「令和7年分 所得税及び復興特別所得税の申告書(第一表)」(筆者が枠を加筆)

会計ソフトを使えば自動で転記されますが、手書きや複数の所得がある人はここで間違えます

× よくある書き方
  • 所得金額等①に売上金額を書く
  • 青色申告特別控除を引くの金額(㊸)を書く
  • 税抜経理なのに消費税込みの金額を書く
  • 事業所得を「雑所得」の欄に書く
○ 正しい書き方
  • 収入金額等㋐に売上、所得金額等①に所得
  • 控除したの㊺をそのまま書く
  • 帳簿の経理方法(税抜/税込)とそろえる
  • 事業として続けているなら事業所得の欄
よくある転記ミス 何が起きるか
売上金額を所得金額の欄に書いてしまう 経費が引かれず税額が跳ね上がる
青色申告特別控除の金額を書く 控除が二重に引かれる/引かれない
消費税込みの金額を書く(税抜経理なのに) 売上と経費の整合が崩れる
事業所得を「雑所得」欄に書く 青色申告特別控除も損益通算も使えなくなる

最後の行は影響が大きいので特に注意してください。事業所得と雑所得は、控除も損失の扱いもまったく違います。

確定申告書の構造

第一表が計算の本体、第二表はその内訳です。第二表を先に埋めると、第一表の数字が動かなくなります。

第一表は上から下へ、6つの段で計算していきます。決算書から受け取った所得金額が入るのは、2段目です。

  1. 収入金額等売上・給与など、入ってきた金額をそのまま書く段。決算書①の売上はここ(㋐)。
  2. 所得金額等経費を引いたあとの金額を書く段。決算書㊺がここ(①)に入ります。
  3. 所得から差し引かれる金額社会保険料・生命保険料・医療費・扶養・基礎控除など、所得控除の合計。
  4. 課税される所得金額2段目の合計から3段目を引いた金額。税率をかける相手はこれ。
  5. 税額4段目に税率をかけ、復興特別所得税(2.1%)を足します。
  6. 納める税金/還付される税金5段目から源泉徴収税額と予定納税額を引きます。マイナスなら還付。
書類 内容
第一表 上の6段の計算そのもの。最後に納める税金/還付される税金が出る
第二表 所得の内訳(源泉徴収税額)、社会保険料等の内訳、生命保険料、配偶者や親族に関する事項、専従者に関する事項、住民税・事業税に関する事項

第二表は「第一表に書いた合計額の内訳」です。第一表だけ埋めても、内訳がないと税務署は控除を認めません。

第二表の下部にある「住民税・事業税に関する事項」は見落とされがちです。とくに、給与や年金以外の所得にかかる住民税を会社の給与から天引きされるか(特別徴収)、自分で納めるか(自分で納付)を選ぶ欄がここにあります。会社に副業を知られたくない、という相談で問題になるのはこの2つの○です。

確定申告書第二表 住民税・事業税に関する事項
第二表のいちばん下。赤枠が住民税の徴収方法の選択欄です。同じブロックには事業税の非課税所得や、前年中の開業・廃業の日を書く欄もあります。
出典:国税庁「令和7年分 所得税及び復興特別所得税の申告書(第二表)」(筆者が枠を加筆)

なお、16歳未満の扶養親族は所得税の扶養控除の対象になりませんが、住民税の非課税判定には影響します。令和7年分の様式では「配偶者や親族に関する事項」の行に書き、右側の住民税欄の「16」に○をつける形になっています。

作る順番

決算整理 → 決算書 → 申告書第二表 → 第一表 → 納付。第二表が先です。

  1. 決算整理を終える12月31日で線を引いて、帳簿を今年の分だけにそろえる(なぜ年末に決算整理が必要か)。
  2. 決算書1ページを確定させるここで㊺所得金額が出ます。以降の数字はここから動かしません。
  3. 決算書4ページの貸借対照表を確認合わないまま先へ進まない(貸借対照表が合わないとき)。
  4. 申告書第二表を埋める控除の内訳と源泉徴収税額。ここが固まらないと第一表の税額が動き続けます。
  5. 申告書第一表に転記する㊺を①へ。控除の合計を反映して税額を出します。
  6. 税額を確認して提出、納付全体の流れは記帳が終わったら何をする?で時系列にまとめています。

つまずきやすい5点

青色申告特別控除は決算書側で引きます。源泉徴収された報酬は、売上を総額で立てて、源泉税は申告書に書きます。

① 青色申告特別控除はどちらで引くか

決算書側(1ページ)で引きます。 申告書に持っていく所得金額は控除後です。申告書側でもう一度引く欄はありません。65万円になるか55万円・10万円になるかは、帳簿・期限・提出方法で決まります(65万円控除の条件)。

② 源泉徴収された報酬

売上は源泉徴収される前の金額(総額)で計上します。差し引かれた源泉税は、前払いした税金です。

請求した金額100,000円

これが売上。入金額ではない

差し引く
源泉徴収税額−10,210円

10.21%。前払いした税金

残りが
口座に入る金額89,790円

ここを売上にすると1万円分の税金を捨てる

差し引かれた10,210円は、申告書第一表の「源泉徴収税額」と、第二表の「所得の内訳」に書きます。第一表と第二表に書かないと、前払いした税金が精算されず払いすぎのまま終わります

確定申告書第二表 所得の内訳(源泉徴収税額)
第二表の「所得の内訳」。支払者ごとに収入金額と源泉徴収税額を書き、㊾にその合計額を出します。この合計が第一表の源泉徴収税額欄と一致します。
出典:国税庁「令和7年分 所得税及び復興特別所得税の申告書(第二表)」

請求書で消費税を区分して書いている場合は、税抜の金額に10.21%をかけて計算してかまいません(区分していなければ税込金額が基礎になります)。

③ 専従者給与は2か所に書く

決算書2ページ(専従者給与の内訳)と、申告書第二表(事業専従者に関する事項)の両方です。届出額を超えて払った分は経費になりません。

④ 消費税の申告は別の書類

課税事業者は、所得税の確定申告とは別に消費税の確定申告書を作ります。決算書にも申告書にも消費税額そのものは出てきません(税込経理なら経費に含まれます)。

⑤ 控除は自動で入らない

会計ソフトは、あなたの扶養親族・医療費・生命保険料を知りません。帳簿から自動で出るのは決算書までです。申告書側の控除は自分で入力します(所得控除の最終チェックリスト)。

損失が出た年——申告書側で効いてくる

赤字は申告書側で他の所得と相殺し、引き切れない分は3年繰り越せます。ただし申告を出し続けることが条件です。

事業が赤字の年、その損失は申告書側で他の所得と相殺できます(損益通算、所得税法69条)。給与所得や不動産所得があれば、そこから引けます。

引き切れない損失は、青色申告なら3年繰り越せます(純損失の繰越控除、所得税法70条)。条件は、損失が出た年分の確定申告書を出し、そのあとも続けて確定申告書を出していることです(同条4項)。「赤字だから申告しなくていい」は、この権利を捨てる行為です。

なお、前年に納めた税金を返してもらう「純損失の繰戻し還付」のほうは、期限内に申告することが条件です(所得税法140条)。繰越と繰戻しで条件が違う点に注意してください。

よくある質問(FAQ)

決算書を出さないと、税務署が青色申告特別控除を認めないおそれがあります。白色なら収支内訳書に置き換わります。

Q. 決算書を出さずに申告書だけ出したらどうなりますか。
青色申告者は決算書の添付が要件です(所得税法施行規則65条)。添付がないと青色申告特別控除が認められないおそれがあります。

Q. 白色申告でも同じですか。
決算書の代わりに「収支内訳書」を添付します。申告書は同じです。ただし収支内訳書に貸借対照表はなく、青色申告特別控除も使えません(青色と白色の違い)。

Q. 給与と事業の両方があります。決算書はどうなりますか。
決算書は事業の分だけです。給与は申告書第一表の「給与」欄に、源泉徴収票の金額を書きます。合算されるのは申告書の上です。

Q. 決算書の所得金額がマイナスです。申告書にどう書きますか。
マイナスのまま記載し、他の所得と損益通算します。引き切れなければ第四表(損失申告用)を使って繰り越します。

Q. 2ページの月別売上を書かないと不利ですか。
記載欄がある以上、埋めるべき項目です。空欄だと帳簿の裏づけを疑われることがあります。会計ソフトなら自動で入ります。

Q. 2ページの地代家賃に自宅の家賃を書くのが不安です。
按分が適正なら問題ありません。「左の賃借料のうち必要経費算入額」欄に按分後の金額を書きます。割合の根拠を残しておけば、そこが説明の材料になります。

Q. e-Taxなら書類のイメージは見られませんか。
提出前にPDFで確認できます。決算書1ページの㊺所得金額と、第一表①の事業(営業等)が一致しているかだけは、送信前に必ず目視してください。

まとめ

  • 決算書=事業のもうけを出す書類、申告書=人ぜんぶの税額を出す書類
  • 連結点は決算書㊺ → 第一表①の1か所だけ。売上(㋐)とは別の行
  • 決算書は4ページ構成。4ページの貸借対照表が65万・55万円控除の要件、その計算欄は2ページ
  • 青色申告特別控除は決算書側で引く。申告書に渡すのは控除後の金額
  • 源泉徴収された報酬は売上は総額、源泉税は申告書へ。書かないと精算されません
  • 作る順番は決算整理 → 決算書 → 第二表 → 第一表 → 納付
  • 赤字でも申告を出し続けていれば3年繰り越せます(繰戻し還付は期限内申告が条件)

この記事の主な根拠(出典)

  • 所得税法69条(損益通算)/70条(純損失の繰越控除)/140条(純損失の繰戻しによる還付の請求)/120条(確定申告)/148条(青色申告者の帳簿書類)
  • 所得税法施行規則65条(青色申告書に添付する貸借対照表・損益計算書)
  • 租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除)
  • 国税庁「令和7年分 所得税青色申告決算書(一般用)」「令和7年分 所得税及び復興特別所得税の申告書(第一表・第二表)」。記事中の様式の画像はこの2つのPDFから該当欄を切り出したもので、赤枠・青枠は筆者が加筆しました(国税庁ウェブサイトの利用ルールに従い出典を表示しています)
  • 国税庁タックスアンサー「青色申告制度」「損益通算」
  • ※出典の各ページは2026年8月30日に確認しました。制度は改正されることがあります

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確定申告は、2種類の書類を作る作業です。コース全体のどこにあたるかは、全体像のページで確認できます。

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