青色申告承認申請書の提出期限はいつ?開業日別の締切と65万・55万・10万円の条件
青色申告は、個人事業主にとって最大級の節税制度です。ところがこの制度、「申請書を期限内に出した人だけが使える」という、シンプルだけれど取りこぼしの多い入口があります。「いつまでに出せばいいのか」を1日でも間違えると、その年はまるまる白色。65万円の控除がフイになります。
この記事では、①あなたの締切はいつか(開業日別の早見表)、②65万・55万・10万円という3つの控除は何が違い、それぞれ何が条件か。この2点を、迷いなく確定できるように整理します。
この記事の結論
– 期限は「原則その年の3月15日」。ただし1月16日以後に開業した年は、開業日から2ヶ月以内(所得税法144条)
– 65万円控除には「複式簿記+e-Tax(電子申告)または電子帳簿保存」が必要(租税特別措置法25条の2)
– 迷ったら開業届と同時に、開業してすぐ出すのが確実
まず結論:あなたの締切はいつ?【開業日別・早見表】
青色申告承認申請書の提出期限は、「その年分から青色にしたいか」で決まります(所得税法144条)。
| あなたの状況 | 提出期限 |
|---|---|
| すでに事業をしていて、来年分から青色にしたい | その年の3月15日まで |
| その年の1月1日〜1月15日に開業した | その年の3月15日まで |
| その年の1月16日以後に開業した | 開業日から2ヶ月以内 |
| 相続で事業を引き継いだ | 別途、相続開始日等を基準とした特例期限あり |
具体例で確認します。
- 4月10日に開業 → 期限は6月10日(開業日から2か月)
- 9月1日に開業 → 期限は11月1日
- 1月10日に開業 → 期限は3月15日(1月15日までの開業は原則どおり3月15日)
- 前から事業をしていて、今年分を青色に → 今年の3月15日まで(=実質、前年のうちに動く必要)
ポイントは、「開業した年から青色にしたい」なら、多くの人が「開業から2か月以内」という短い締切になること。3月15日だと油断していると間に合いません。
65万・55万・10万円——3つの控除の違い
青色申告特別控除には3つの金額があり、条件が違います。この条件の違いを正しく知らないと「青色にしたのに10万円しか引けなかった」となりがちです。
| 控除額 | 帳簿 | 申告方法 | ざっくり難易度 |
|---|---|---|---|
| 65万円 | 複式簿記 | e-Tax(電子申告) または 電子帳簿保存 | (ソフトを使えば実は難しくない) |
| 55万円 | 複式簿記 | 紙で申告 | |
| 10万円 | 簡易簿記(単式でOK) | 紙・電子どちらでも |
65万円と55万円の分かれ目は「e-Tax か紙か」だけ
見落としがちですが、65万円と55万円の帳簿の要件は同じ(複式簿記)です。違いは最後の提出方法だけ。
- 複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書をつけて、e-Taxで電子申告する → 65万円
- 同じ内容を紙で提出する → 55万円(10万円の差)
つまり、会計ソフトで複式簿記の帳簿を作れているなら、あとはe-Taxで送るだけで+10万円。e-Taxで送らず紙で出して10万円損している人は少なくありません(租税特別措置法25条の2)。
なお、65万円と55万円には、もう一つ共通の条件があります。確定申告書そのものを期限内(原則として翌年3月15日)に提出することです。申告が1日でも遅れると、その年の控除は10万円になります。一方、10万円の控除は、申告が期限に遅れても受けられます。
「複式簿記」は会計ソフトが肩代わりしてくれる
「複式簿記なんて簿記の資格がないと無理」と身構える必要はありません。freee・マネーフォワード・弥生などの会計ソフトは、日々の入力から自動的に複式簿記の帳簿を作ってくれます。 銀行口座やカードを連携すれば、多くの入力が自動。65万円控除のハードルは、昔よりずっと下がっています。
提出方法:3つのやり方
青色申告承認申請書そのものの出し方も確認しておきましょう。
- 税務署の窓口:開業届と一緒に「両方お願いします」と伝える。控えは自分でコピーを取って持っていく
- 郵送:控えと返信用封筒(切手貼付)を同封すれば、控えが返ってきます
- e-Tax:オンラインで完結。受信通知が控えになります
いずれの方法でも、控え(e-Taxなら受信通知)は必ず保管してください。なお2025年(令和7年)1月から、税務署は控えに受付印(収受日付印)を押していません。紙で出したなら自分で取ったコピーが控えになります。青色が有効であることの証拠になり、融資や補助金の申請でも役立ちます。
よくある質問(FAQ)
Q. 期限を1日でも過ぎたら、その年はもう青色にできない?
原則、その年分についてはできません。翌年分からの適用になります。そのため「開業したらすぐ出す」が鉄則です。
Q. 開業届は出したが青色申告承認申請書を出していない。今から今年分を青色に間に合う?
開業から2か月/3月15日の期限内であれば間に合います。過ぎていれば翌年分から。
Q. とりあえず65万円で申請しておいて、実際は10万円でもいい?
青色申告承認申請書は「青色にする」ための書類で、控除額を先に固定するものではありません。実際の控除額は、その年の帳簿・申告方法で決まります。まず青色の承認だけ取っておけば、65万でも10万でも後から選べます。
Q. 65万円控除、結局いちばん簡単に達成するには?
「会計ソフトで複式簿記の帳簿を作る」+「e-Taxで申告する」。この2つを満たせばOKです。
まとめ
- 期限は原則3月15日、1月16日以後開業の年は開業日から2か月以内
- 65万=複式簿記+e-Tax、55万=複式簿記+紙、10万=簡易簿記
- 65万と55万の差は「電子申告するかどうか」だけ。紙で出すと10万円損
- 65万・55万は申告書を期限内(原則3月15日)に出すことも条件。遅れた年は10万円
- 複式簿記は会計ソフトが自動で作るので、身構えなくてよいです
- 迷ったら開業届と同時にすぐ提出、控えは必ず保管
この記事の主な根拠(出典)
- 所得税法143条・144条(青色申告と承認申請の期限)
- 租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除。65万円は複式簿記+e-Taxまたは電子帳簿保存が要件)
- 国税庁タックスアンサー No.2072(青色申告特別控除)/No.2070(青色申告制度)
- ※出典の各ページは2026年8月7日に確認しました。制度は改正されることがあります
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