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更新日 2026-07-25 起業時の知識第37回

青色申告承認申請書の書き方|「簿記方式」「備付帳簿名」はどこにチェックする?65万円狙いの記入例

開業届は書けた。次は青色申告承認申請書——A4一枚なのに、下のほうにある「簿記方式」「備付帳簿名」で必ず手が止まります。

「複式簿記って自分でできるのか?」「帳簿名、どれにチェックすればいいの?」「間違えたら65万円がもらえない?」

結論、迷う欄はこの2つだけで、しかも答えは決まっています。この記事は記入例のかたちで、上から順に埋めていける形にまとめました。

この記事の結論
簿記方式=「複式簿記」に○(65万・55万控除を狙うなら一択)
備付帳簿名=「仕訳帳」「総勘定元帳」は必ずチェック+現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳
– 会計ソフトを使えば、これらの帳簿は入力するだけで自動的にできあがる
– 提出しても承認の通知は来ない(12月31日までに何もなければ承認=みなし承認)

上から順に:迷わない記入例

住所・氏名などの基本情報は開業届の写しと同じ内容を書けばOKです。判断が要る欄だけ拾います。

書き方 補足
令和_年分以後の所得税の申告は、青色申告書によりたいので申請します 青色にしたい最初の年を書く 2026年に開業して2026年分から青色にしたいなら「令和8年分」(=2026年分)
事業所又は所得の基因となる資産の名称及びその所在地 屋号(なければ空欄)と実際の事業所住所 自宅兼事務所なら自宅住所
所得の種類 事業所得に○ 賃貸物件があるなら不動産所得にも○
いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無 通常は「無」 過去に取消しがある人は年月日を記載
本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日 開業届と同じ開業日 1月15日までの開業や既に事業をしている人は空欄
相続による事業承継の有無 通常は「無」 親の事業を相続で引き継いだ場合のみ「有」
その他参考事項(1)簿記方式 複式簿記に○ ここが最重要(次章)
その他参考事項(2)備付帳簿名 下の表のとおりチェック ここが第2の関門(次章)
(3)その他 空欄でよい 会計ソフト名などを書く必要はない

「簿記方式」は複式簿記に○——それだけ

選択肢は「複式簿記」「簡易簿記」「その他」。65万円・55万円の青色申告特別控除を使うには複式簿記が要件なので、ここは複式簿記に○です。

「複式簿記なんて自分でできない」と不安になりますが、会計ソフトに取引を入れれば、内部で作られるのが複式簿記の帳簿です。手で仕訳を切る必要はありません。控除額の分かれ方は65万・55万・10万の分かれ道で整理しています。

簡易簿記に○をすると、書類上は10万円控除の想定として扱われます(実際の控除額は申告時の帳簿と申告内容で判断されますが、あえて不利な記載をする理由はありません)。

「備付帳簿名」はどこにチェックする?

用紙には帳簿名がずらりと並んでいます。65万円を狙う場合の標準セットはこれです。

帳簿名 どんな帳簿か 65万円狙いのチェック
仕訳帳 すべての取引を発生順に記録する帳簿 ◎必須
総勘定元帳 勘定科目ごとに集計した帳簿 ◎必須
現金出納帳 現金の入出金の記録
預金出納帳 事業用口座の入出金の記録
売掛帳 掛け売り(未入金の売上)の管理 ○(掛け取引があるなら)
買掛帳 掛け仕入(未払いの仕入)の管理 ○(掛け取引があるなら)
経費帳 経費の内訳の記録
固定資産台帳 10万円以上の資産と減価償却の管理
手形記入帳・債権債務記入帳など 手形取引などがある場合 該当がなければ不要

ポイントは、複式簿記の根っこは「仕訳帳」と「総勘定元帳」だということ。この2つが揃っていることが複式簿記の証で、残りは補助簿です。

そして実務上いちばん大事な事実——会計ソフトを使えば、これらは全部自動で作られます。 freeeでもマネーフォワードでも弥生でも、取引を登録した時点で仕訳帳と総勘定元帳ができ、決算時には貸借対照表と損益計算書まで出てきます。チェックを入れることは「これから備え付けます」という宣言であって、いま持っている必要はありません。

提出後:通知が来ないのは正常です

出したあと、承認の通知書は届きません。青色申告の承認は「みなし承認」という仕組みで、その年の12月31日までに却下の通知がなければ承認された扱いになります(11月1日以後に開業した場合は翌年2月15日まで)。

だからこそ、提出したこと自体を自分で残すのが大切です。e-Taxなら受信通知をPDF保存、紙なら控えのコピーと発送記録。提出方法ごとの控えの残り方はe-Tax・郵送・窓口の比較にまとめています。

よくある書き間違い5つ

  1. 年分を1年ずらす……「いつ分から青色にしたいか」を書く欄。開業年から適用したいなら開業した年
  2. 簡易簿記に○……65万円狙いなのに不利な記載になる
  3. 備付帳簿名に何もチェックしない……複式簿記に○なら仕訳帳・総勘定元帳は必須
  4. 開業日が開業届とズレる……2枚の書類で日付を必ず揃える
  5. 控えを取らずに提出……承認通知が来ない制度なので、控えがないと後から確認できない

そして最大のミスは期限を過ぎること。原則その年の3月15日、1月16日以後に開業した人は開業日から2ヶ月以内です(提出期限の詳細)。

よくある質問(FAQ)

Q. 屋号がありません。空欄でいい?
はい。屋号は必須ではないので空欄で構いません。

Q. 途中で帳簿を増やしたら、届出のやり直しが必要?
備付帳簿名を変更するための届出は通常不要です。実際に備え付けている帳簿で申告できます。

Q. 家族に給与を払う予定があります。この用紙で足りますか?
別に青色事業専従者給与に関する届出書が必要です(配偶者を専従者にすべきかの記事)。開業と同時なら一緒に出してしまいましょう。

Q. 開業初日の残高(元入金)はどこに書くの?
申請書には書きません。会計ソフトの初期設定で入れるものです(期首残高・元入金の設定)。

Q. 提出したか分からなくなりました。
所轄税務署に電話で確認できます。心配なら、期限内であれば同じ内容で再提出しても支障はありません。

Q. 会計ソフトはどれを選べばいい?
どれでも青色65万円には対応しています。銀行・カードの自動連携の使い勝手で選ぶのが実用的です(会計ソフト比較)。

まとめ

  • 迷う欄は「簿記方式」と「備付帳簿名」の2つだけ
  • 簿記方式=複式簿記に○備付帳簿名=仕訳帳・総勘定元帳を必ず+現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳
  • 帳簿は会計ソフトが自動で作る。チェックは「これから備え付ける」宣言
  • 承認通知は来ない(みなし承認)。控えを必ず残す。期限は原則3/15、1/16以後の開業は2ヶ月以内
この記事の主な根拠(出典)

  • 所得税法143条(青色申告)/144条(青色申告の承認の申請)/147条(青色申告の承認があったものとみなす場合)
  • 所得税法148条(青色申告者の帳簿書類の備付け・記録・保存)
  • 租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除)
  • 国税庁「[手続名]所得税の青色申告承認申請手続」(申請書と記載要領)
  • ※2026年時点の制度に基づく

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👉 期首残高って何を入れればいいの?元入金の設定
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