中古の車・機材を買ったとき耐用年数はどうなる?簡便法と「4年落ち」の本当の話
「4年落ちの中古車を買えば、1年で全額経費になる」
節税の話としてよく出てきます。前半は正しく、後半は個人事業主には当てはまりません。
4年落ちの普通車の耐用年数が2年になるのは本当です。ただし1年で全額落ちるのは法人の話。個人事業主が同じことをやろうとすると、先に出しておくべき届出があります。
この記事の結論
– 中古資産は簡便法で耐用年数を短くできる。4年落ちの普通車なら2年
– 計算式は (法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 20%。端数切捨て、最短2年
– 個人事業主の法定償却方法は定額法。何もしなければ2年で半分ずつ
– 定率法にするには「償却方法の届出書」を確定申告期限までに出す
– どちらにしても月割り。12月に買えば今年は1か月分だけ
– 40万円未満なら少額減価償却資産の特例のほうが早い(青色申告の場合)
なぜ中古は耐用年数が短くなるのか
新品の資産には、資産の種類ごとに「法定耐用年数」が決まっています。普通自動車なら6年、パソコンなら4年、という具合です。
中古品は、すでに何年か使われています。残りの使用可能期間は当然短いので、法定耐用年数をそのまま当てはめるのは実態に合いません。
そこで、中古資産については残存使用可能期間を見積もって耐用年数とすることが認められています。ただし実際に見積もるのは難しいので、実務では簡便法という計算式を使います。
簡便法の計算式
| 状況 | 計算式 |
|---|---|
| 法定耐用年数を全部経過している | 法定耐用年数 × 20% |
| 一部を経過している | (法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20% |
そのうえで、
- 1年未満の端数は切り捨てる
- 計算結果が2年未満なら2年
正確を期すなら、年ではなく月で計算します。
例1:4年落ちの普通自動車
法定耐用年数6年(72か月)、経過4年(48か月)。
(72か月 − 48か月) + 48か月 × 20%
= 24か月 + 9.6か月
= 33.6か月 → 33か月(端数切捨て)
= 2年9か月 → 2年(1年未満切捨て)
耐用年数は2年です。これが「4年落ち」がよく話題になる理由です。
例2:3年落ちの普通自動車
(72 − 36) + 36 × 20% = 36 + 7.2 = 43.2か月 → 43か月
= 3年7か月 → 3年
耐用年数は3年。1年の違いで結果が変わります。
例3:7年落ちの普通自動車(全部経過)
72か月 × 20% = 14.4か月 → 14か月 = 1年2か月 → 2年(最短)
耐用年数は2年。それ以上古くても2年より短くはなりません。
主な資産の法定耐用年数
| 資産 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 普通自動車 | 6年 |
| 軽自動車 | 4年 |
| 貨物自動車(小型) | 4年 |
| パソコン(サーバー用以外) | 4年 |
| カメラ・撮影機器 | 5年 |
| 事務机・椅子(金属製) | 15年 |
| 木造建物(事務所用) | 24年 |
ここが本題:個人事業主は「定額法」
耐用年数が2年になったとして、その年に全額落ちるわけではありません。
減価償却には主に2つの方法があります。
| 定額法 | 定率法 | |
|---|---|---|
| 落とし方 | 毎年同じ額 | 最初の年が大きい |
| 耐用年数2年の償却率 | 0.500 | 1.000 |
| 個人事業主の法定方法 | こちら | 届出が必要 |
| 法人の法定方法(機械等) | 届出が必要 | こちら |
耐用年数2年の定率法の償却率は1.000です。つまり期首に取得すれば1年で全額。これが「4年落ちの車を買えば1年で落ちる」の正体です。
そして、この話は法人が前提です。個人事業主が何も届け出ずに中古車を買うと、定額法(償却率0.500)が適用され、2年に分けて落とすことになります。
| 200万円の中古車(耐用年数2年)を1月に取得 | 1年目 | 2年目 |
|---|---|---|
| 定額法(届出なし・個人の原則) | 100万円 | 100万円 |
| 定率法(届出あり) | 200万円 | 0円 |
定率法を使うための届出
定率法を選ぶには、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署へ提出します。
| 内容 | |
|---|---|
| 提出期限 | その資産を取得した年分の確定申告期限まで(原則3月15日) |
| 出し先 | 納税地の税務署 |
| 対象 | 資産の種類ごとに選択(「車両運搬具」「機械装置」など) |
| 注意 | 建物・建物附属設備・構築物は定額法のみ(定率法は選べない) |
期限を過ぎると、その年に取得した資産は定額法のままです。中古車で節税を考えるなら、買う前に届出の段取りを決めておくのが正解です。
一度届け出れば、以後その種類の資産には定率法が適用されます(変更するにはまた申請が必要です)。
月割りを忘れない
もうひとつの落とし穴です。減価償却は事業に使い始めた月からの月割りです。
200万円の中古車(耐用年数2年・定率法・償却率1.000)を12月に買った場合、
200万円 × 1.000 × 1か月 ÷ 12か月 = 約16万7,000円
その年に落ちるのは約17万円だけです。「年末に車を買って節税」は、ほとんど効きません。
節税として効かせたいなら、期首(1月)に近いほど有利です。ただし、そもそも必要のない車を買えば、減る税金より出ていく現金のほうが多くなります(「経費を増やせば税金が減る」は半分ウソ)。
40万円未満なら特例のほうが早い
青色申告なら、取得価額が40万円未満の中古資産は「少額減価償却資産の特例」で全額をその年の経費にできます(2026年4月1日以後の取得。それ以前は30万円未満)。
耐用年数の計算も、償却方法の届出も要りません。
| 中古の機材35万円(青色申告) | 結果 |
|---|---|
| 少額減価償却資産の特例 | 35万円をその年に全額 |
| 簡便法+定額法 | 耐用年数に応じて分割・月割り |
40万円未満なら特例、40万円以上なら簡便法——これが実務の分かれ目です。改正の内容は少額減価償却資産が40万円未満へにまとめました。
使えないケース
簡便法にも制限があります。
| ケース | 扱い |
|---|---|
| 取得後に、取得価額の50%を超える資本的支出をした | 簡便法は使えない |
| 再取得価額(新品価格)の50%を超える資本的支出をした | 法定耐用年数を適用 |
| 経過年数が不明 | 簡便法が使えないことがある(車検証・購入時の資料で確認) |
中古の建物を買ってフルリフォームする場合などは、この制限に当たることがあります。リフォーム費用が大きい物件は、必ず金額を先に確認してください。
事業割合の按分を忘れない
中古車を私用と兼用する場合、減価償却費も事業使用割合で按分します。
耐用年数2年・200万円・定率法で、事業割合が60%なら、その年の経費は200万円 × 1.000 × 60% = 120万円(月割り前)です。
割合の決め方と根拠の残し方は車の経費はどこまで?按分ルール総まとめにあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 「4年落ち」は初度登録から4年ちょうどですか。
経過年数は初度登録年月から取得年月までで数えます。車検証の初度登録年月を確認してください。4年1か月でも、計算すれば2年になります(例1参照)。
Q. 定率法の届出を出し忘れました。今からできますか。
その年に取得した資産については、確定申告期限を過ぎると変更できません。翌年以降に取得する資産については、翌年分の申告期限までに届け出れば適用されます。
Q. 建物も定率法にできますか。
できません。建物・建物附属設備・構築物は定額法のみです(平成28年4月1日以後取得分)。中古のアパートを買っても、定率法で一気に落とすことはできません。
Q. パソコンを中古で買いました。
法定耐用年数4年です。2年落ちなら「(48−24)+24×20% = 28.8か月 → 28か月 = 2年4か月 → 2年」。ただし40万円未満なら少額減価償却資産の特例のほうが簡単です。
Q. 中古で買った資産を、あとで売ったら?
譲渡所得(事業用資産の場合は総合課税の譲渡所得)になります。未償却残高と売却価額の差額が損益です。短い耐用年数で早く落とした資産を高く売ると、そこで利益が出ます。
Q. 個人から中古車を買いました。書類が何もありません。
経過年数を確認できる資料(車検証)と、支払いの証拠(振込記録、売買契約書)を残してください。金額の妥当性が説明できないと、取得価額を疑われます。
Q. 会計ソフトで自動計算されますか。
耐用年数を入力すれば償却費は自動計算されますが、中古の耐用年数そのものは自分で計算して入力する必要があるソフトがほとんどです。償却方法(定額/定率)の設定も確認してください(会計ソフト選びで後悔しないための比較)。
まとめ
- 中古資産は簡便法で耐用年数を短縮できる。最短2年
- 式は (法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 20%。月で計算し、端数切捨て
- 4年落ちの普通車は2年、3年落ちなら3年
- 個人事業主の法定償却方法は定額法。定率法にするには届出書を確定申告期限までに
- 建物・建物附属設備・構築物は定額法のみ
- どちらでも月割り。12月取得なら1か月分だけ
- 40万円未満(青色)なら少額減価償却資産の特例が早い
- 取得価額の50%を超える資本的支出をすると簡便法が使えなくなる
- 私用と兼用なら事業割合で按分
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令3条1項(中古資産の耐用年数。見積法および簡便法)/同3条2項(資本的支出がある場合の制限)
- 所得税法49条(減価償却費の計算)/所得税法施行令120条の2(減価償却資産の償却の方法。個人の法定償却方法は定額法)/123条(償却方法の選定の届出)/125条(事業の用に供した日以後の月割計算)
- 租税特別措置法28条の2(少額減価償却資産の特例)
- 耐用年数省令 別表第一(普通自動車6年、軽自動車4年、電子計算機〈パソコン〉4年 ほか)
- 国税庁タックスアンサー「中古資産の耐用年数」「減価償却資産の償却方法の届出」「減価償却のあらまし」
- ※2026年時点の制度に基づく記事です
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