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更新日 2026-08-07 節税・経費

交際費か、会議費か、福利厚生費か──ランチ・ゴルフ・贈答品・交流会・カフェ代・社内懇親会の仕分け

交際費には年800万円の枠があり、超えた分は損金になりません。だから中小企業では、「そもそも交際費に入れなくていいものを、交際費に入れていないか」が実務の勝負どころになります。

制度の全体像(800万円枠、1人1万円基準、記録の5項目)は 法人の交際費には800万円の枠がある にまとめました。この記事は、日々出てくる支出をどの費目に落とすかに絞ります。

この記事の結論

  • 交際費等の定義に該当しても、寄附金・値引き及び割戻し・広告宣伝費・福利厚生費・給与等の性質を主として持つものは交際費にならない(措置法通達61の4(1)-1)
  • 会議費は、1人1万円を超えても交際費にならない。通達61の4(1)-21の(注)2が明記している
  • 会議には来客との商談・打合せが含まれる(同(注)1)
  • ただし会議費として認められるのは「通常供与される昼食の程度を超えない」飲食物
  • ゴルフ・観劇・旅行に際しての飲食は、その行事と不可分一体として扱われる。1万円基準は使えない
  • 社内飲食費は1万円基準の対象外。ただし全員一律の社内飲食は福利厚生費になり得る(61の4(1)-10)
  • 交際費の相手方には自社の役員・従業員・株主も含む(61の4(1)-22)

1. 入口──交際費等の定義と、外れる5つ

まず定義です。措置法通達61の4(1)-1は、交際費等を次のように定義しています。

交際費、接待費、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの

そのうえで、主として次の性質を有するものは交際費等に含まれないとしています。

  1. 寄附金
  2. 値引き及び割戻し
  3. 広告宣伝費
  4. 福利厚生費
  5. 給与等

この5つが、仕分けの出口です。そこに会議費(措置法令37条の5第2項2号)と1人1万円以下の飲食費(同条1項)が加わります。

2. ビジネスランチ・打合せのカフェ代 ── 会議費

通達61の4(1)-21が、この場面の判断基準です。

会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、原則として(中略)「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当する

(注)1 会議には、来客との商談、打合せ等が含まれる。

(注)2 本文の取扱いは、その1人当たりの費用の金額が(1万円)を超える場合であっても、適用があることに留意する。

ここは実務で最も価値のある部分です。会議費に当たるものは、1人1万円を超えても交際費になりません。

判定の軸は金額ではなく、次の2つです。

  • 場所:社内、または通常会議を行う場所(喫茶店、貸会議室、ホテルのラウンジなど)
  • 程度:通常供与される昼食の程度を超えない飲食物

つまり、打合せをしながらのカフェ代・昼食代は会議費です。夜の会食で酒が入るものは「昼食の程度」を超えるので、交際費側に落ちます。

記録として、議事メモ(日時・場所・参加者・議題)を残しておくと、会議の実体を示せます。

3. 接待ゴルフ ── 交際費(飲食の1万円基準は使えない)

得意先とのゴルフは、通達61の4(1)-15(4)の「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等を旅行、観劇等に招待する費用」に当たり、交際費です。

  • プレー代、キャディフィー、ゴルフ場利用税、施設利用料 ── 交際費
  • ゴルフ場までの交通費 ── 交際費(接待の一環)
  • ゴルフ場での昼食・プレー後の飲食 ── ゴルフという行事と不可分一体のものとして交際費。1人1万円以下の飲食費として除外することはできません

ここは間違えやすいところです。「昼食は1人3,000円だから1万円以下で除外」とはなりません。通達61の4(1)-16の(注)が、行事に際しての飲食等は「当該行事の実施を主たる目的とする一連の行為の一つ」として、行事と不可分かつ一体的に扱うとしています。

例外は、その一連の行為とは別に単独で行われたと認められる場合、および会議としての実体を備えた会議に係るものと認められる場合です。ゴルフの後日に別途行った会食は、別の行為として判定できます。

なおゴルフクラブの入会金は、法人会員として入会し会社の資産となるものは資産計上、記名式の個人会員で実質的に個人に帰属するものはその個人への給与です。年会費とプレー費は交際費として扱われます。

4. 贈答品 ── 交際費(ただし広告宣伝物は別)

お中元・お歳暮・手土産・お祝い品は、原則として交際費です。得意先・仕入先の慶弔禍福に際して支出する金品も、通達61の4(1)-15(3)で交際費とされています。

ただし広告宣伝費に落ちるものがあります。措置法令37条の5第2項1号は、カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用を交際費から除いています。

分かれ目は「不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するものか」(通達61の4(1)-9)です。

費目
社名入りカレンダー・手帳を取引先に配る 広告宣伝費
一般消費者への景品、抽選による金品、試供品・見本品 広告宣伝費
特定の取引先に贈るお中元・お歳暮 交際費
得意先の担当者の結婚祝い・香典 交際費
金銭による贈与(事業に直接関係のない者へ) 原則として寄附金

5. 交流会・懇親会の参加費 ── 中身で分かれる

異業種交流会、業界団体の懇親会、商工会議所の会合。ここは会費の性質で判定します。

通達61の4(1)-23(3)は、法人が団体等に会費その他の経費を負担した場合でも、その団体が専ら団体相互間の懇親のための会合を催す等のために組織されたと認められるものであるときは、交際費等の支出があったものとするとしています。

費目
業界団体の通常会費(情報提供・調査研究などが主目的) 諸会費
懇親目的で組織された団体への会費 交際費
セミナー・研修の参加費(懇親会なし) 研修費
セミナー参加費と懇親会費が一体の会費 懇親会部分は交際費(区分できれば区分する)
名刺交換のみの交流会参加費 実質で判断。飲食を伴えば交際費側

実務では、案内文や領収書に「懇親会費」「情報交換会費」と書かれているかを見ます。区分請求してもらえるなら、分けて請求してもらうのが確実です。

6. 従業員との食事会・懇親会 ── 社内飲食費と福利厚生費の分かれ目

ここが最も誤解されているところです。

まず、交際費の相手方には自社の役員・従業員・株主も含まれます(通達61の4(1)-22)。社内の飲み会も交際費になり得るということです。

そして措置法61条の4第6項2号は、1人1万円以下の飲食費の除外から、「専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するもの(社内飲食費)」を明確に外しています。社内飲食費は、1人5,000円でも1万円基準を使えません。

一方で、通達61の4(1)-10は次のものを交際費に含まれないとしています。

(1) 創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等に際し従業員等におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用

(2) 従業員等(従業員等であった者を含む)又はその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用

整理するとこうなります。

費目
全社員が対象の忘年会・新年会・創立記念の食事会 福利厚生費(おおむね一律であること)
部署の一部だけ、役員だけの飲み会 交際費(1万円基準は使えない)
社長と役員2人の食事 交際費(社内飲食費)
従業員の慶弔見舞金(規程に基づく) 福利厚生費
得意先を交えた懇親会 交際費(1人1万円以下なら除外可)

「おおむね一律」が要件です。全員に参加の機会があることが説明できないと、福利厚生費にはなりません。役員だけを対象とする支出が福利厚生になり得ないのは、福利厚生費はどこまで使えるか で見たとおりです。

7. 観劇・音楽会・スポーツ観戦への招待 ── 交際費

得意先を招待する費用は、通達61の4(1)-15(4)により交際費です。ゴルフと同じ扱いになります。

例外は次の2つです。

  • 不特定多数の一般消費者を対象とする招待で、あらかじめ広告宣伝しているもの(通達61の4(1)-9(3))は広告宣伝費
  • 旅行・観劇等に招待し、併せて新製品の説明・販売技術の研究等の会議を開催した場合で、その会議が会議としての実体を備えているとき、会議に通常要する費用は交際費に含めない(通達61の4(1)-16)

チケットを渡すだけで自社の誰も同行しない場合も、贈答として交際費です。

8. 迷ったときの判定手順

  1. 相手は誰か。社外(得意先・仕入先等)/社内(役員・従業員)/不特定多数
  2. 目的は何か。接待・供応・慰安・贈答か、それとも打合せ・宣伝・慰労か
  3. 不特定多数への宣伝か。→ 広告宣伝費(61の4(1)-9)
  4. 全従業員におおむね一律か。→ 福利厚生費(61の4(1)-10)
  5. 会議・商談・打合せに伴う飲食で、昼食の程度を超えないか。→ 会議費(61の4(1)-21)。1万円を超えても可
  6. 社外との飲食で、1人1万円以下か。→ 交際費から除外(記録5項目が必要)
  7. それ以外→ 交際費。800万円の枠で管理する

9. 記録を残す

1人1万円以下で除外するには、次の5項目を記載した書類の保存が要件です(措置法令37条の5第3項)。

  1. 飲食等のあった年月日
  2. 飲食等に参加した得意先等の氏名または名称およびその関係
  3. 飲食等に参加した者の数
  4. その費用の金額ならびに飲食店等の名称および所在地
  5. その他参考となるべき事項

領収書だけでは足りません。領収書の裏または経費精算書に、相手先・人数・関係を書く運用にしてください。会議費の場合も、議事メモがあれば会議の実体を示せます。

なお、共同開催で費用を分担した場合の1万円判定は、飲食等に要する費用の総額を参加者数で除した金額で行います(通達61の4(1)-23(注))。自社の分担額で割るのではありません。

まとめ

  • 交際費の定義に当たっても、寄附金・値引き・広告宣伝費・福利厚生費・給与等の性質が主なら交際費にならない
  • 会議費は1人1万円を超えても交際費にならない(通達61の4(1)-21(注)2)。会議には来客との商談・打合せが含まれる
  • ただし「通常供与される昼食の程度を超えない」ことが条件
  • ゴルフ・観劇・旅行に際しての飲食は行事と不可分一体。1万円基準は使えない
  • 贈答品は交際費。ただしカレンダー・手帳等の広告宣伝物は除外
  • 懇親目的の団体への会費は交際費(61の4(1)-23(3))
  • 社内飲食費は1万円基準の対象外。ただし全員おおむね一律の社内飲食は福利厚生費(61の4(1)-10)
  • 交際費の相手方には自社の役員・従業員・株主も含む
  • 1万円判定は総額÷参加人数。共同開催でも同じ

この記事の主な根拠(出典)

  • 租税特別措置法61条の4(交際費等の損金不算入)/同法施行令37条の5(1人当たり1万円以下の飲食費・除外される費用・保存書類の記載事項)
  • 租税特別措置法関係通達61の4(1)-1(交際費等の意義)/-9(広告宣伝費との区分)/-10(福利厚生費との区分)/-15(交際費等に含まれる費用)/-16(会議を併せて開催した場合)/-21(会議費)/-22(支出の相手方の範囲)/-23(支出の方法・1万円判定)
  • 法人税基本通達9-7-11・9-7-12(ゴルフクラブの入会金)
  • 国税庁タックスアンサー No.5265(交際費等の範囲と損金不算入額の計算)/No.5261(交際費等と福利厚生費との区分)
  • ※1人当たり1万円の基準は令和6年4月1日以後に支出する飲食費に適用されます(それ以前は5,000円)
  • ※出典の各ページは2026年8月7日に確認しました。制度は改正されることがあります

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