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更新日 2026-07-26 節税・経費

少額減価償却資産が30万円未満→40万円未満へ|2026年4月1日以後に買ったPC・機材の落とし方

パソコンや機材を買ったとき、その年に全額を経費にできるかどうかは金額で決まります

その金額のラインが変わりました。令和8年度の税制改正により、青色申告の個人事業主が使える「少額減価償却資産の特例」の上限が、30万円未満から40万円未満になっています。

適用されるのは2026年(令和8年)4月1日以後に取得したもの。つまり今年分の確定申告から関係してきます。同じ2026年の中でも、買った日で判定が変わります

この記事の結論
– 少額減価償却資産の特例の上限が 30万円未満 → 40万円未満 に拡大
– 適用は 2026年(令和8年)4月1日以後の取得から。3月31日以前は30万円未満のまま
– 適用期限は2029年(令和11年)3月31日まで
青色申告が条件。白色申告では使えない
年間300万円が上限(開業した年などは月割り)
– 20万円未満は一括償却資産を選ぶ手もある。償却資産税がかからないのが利点
– 使うには確定申告書(青色申告決算書)への記載が必要

何が変わったのか

比較すると次のとおりです。

改正前 改正後
対象になる取得価額 30万円未満 40万円未満
適用される取得日 令和8年3月31日以前 令和8年4月1日以後
年間の上限 300万円 300万円(変更なし)
適用期限 令和11年3月31日まで
対象者(個人) 青色申告・常時使用する従業員500人以下 青色申告・常時使用する従業員400人以下(2026年3月31日までの取得は500人以下)

上限だけが上がり、それ以外の枠組みは変わっていません。従業員数の要件は個人事業主にはほぼ影響しない水準です。

2026年は「買った日」で判定が変わる

ここが今年いちばん間違えやすいところです。

取得日 判定ライン 35万円のPCは?
2026年1月〜3月31日 30万円未満 通常の減価償却へ
2026年4月1日以降 40万円未満 ○ 全額をその年の経費に

同じ年の、同じ商品でも結論が違います。2026年分の申告では、購入日の確認が必須です。

なお「取得」は原則として引渡しを受けた日です。注文日でも支払日でもありません。3月末に注文して4月に納品されたものは4月の取得になります。

そして特例を使うには「取得して事業の用に供した」ことが必要です。買って倉庫に置いたままでは適用できません。

4つの区分(改正後)

減価償却まわりは、金額でルートが4つに分かれます。

取得価額 使える方法 償却資産税
10万円未満 全額をその年の経費(消耗品費など)。青色・白色を問わない かからない
10万円以上20万円未満 一括償却資産(3年で均等に経費化)を選べる かからない
20万円以上40万円未満 少額減価償却資産の特例(全額をその年の経費)。青色のみ かかる
40万円以上 通常の減価償却(耐用年数に応じて) かかる

※10万円以上20万円未満のものは、少額減価償却資産の特例(全額)を選ぶこともできます。どちらか有利なほうを選択します。

金額の判定は、消費税の経理方式によります。税込経理なら税込金額で、税抜経理なら税抜金額で判定します。免税事業者は税込金額です。

税抜経理なら、税込43万9,999円まで(税率10%の場合)が40万円未満に収まります。ここは実務上大きな差になります。

改正前の枠組みは12万円のパソコン、その年に全額経費で落とせない?で解説しています(30万円を前提に書いた記事です。2026年4月1日以後の取得については本記事の金額で読み替えてください)。

見落とされがちな「償却資産税」

少額減価償却資産の特例には、副作用があります。

特例を使った資産は、償却資産税(固定資産税)の対象になります。市区町村へ毎年1月31日までに償却資産申告書を提出し、課税標準額の合計が150万円以上になると課税されます(税率は原則1.4%)。

方法 所得税 償却資産税
10万円未満で全額経費 全額 対象外
一括償却資産(20万円未満・3年均等) 3年で 対象外
少額減価償却資産の特例(40万円未満) 全額 対象
通常の減価償却 耐用年数 対象

つまり18万円のパソコンは、2つの選び方があるということです。

少額減価償却資産の特例 一括償却資産
今年の経費 18万円 6万円
償却資産税 対象になる 対象にならない
白色申告 使えない 使える

機材が多い業種(撮影、建設、飲食、製造)では、償却資産の合計額が150万円を超えるかどうかで判断が変わります。少額の備品を毎年たくさん買うなら、20万円未満は一括償却資産に寄せておくと、償却資産税の課税標準が膨らみません。

青色申告が条件

この特例は青色申告者だけが使えます(租税特別措置法28条の2)。

白色申告の場合、35万円のカメラは通常の減価償却になります。カメラの法定耐用年数は5年なので、年7万円ずつ、しかも月割りです。10月に買えば今年落ちるのは約1万7,500円だけになります。

青色(特例あり) 白色
35万円のカメラを10月に購入 35万円をその年に 約1万7,500円

差は33万円。税率25%なら8万円以上の違いです。青色申告の価値がここにも出ます(青色申告と白色申告どっちがいい?青色申告65万円控除の条件)。

年間300万円の上限

特例で経費にできるのは、その年に取得した少額減価償却資産の合計で300万円までです。

  • 40万円未満の資産を10個買っても、合計300万円まで
  • 300万円を超えた分は、通常の減価償却になります
  • 年の途中で開業した場合は月割り(300万円 × 開業月から12月までの月数 ÷ 12)

7月に開業した人なら、上限は150万円です。

申告書での書き方

特例を使うには、青色申告決算書に記載する必要があります

  1. 減価償却費の計算」欄に、その資産を記載する
  2. 取得価額」に金額、「本年分の必要経費算入額」に同額を記載
  3. 摘要」欄に「措法28の2」と記入する
  4. 明細を別途保管する(少額減価償却資産の取得価額の明細)

会計ソフトを使っている場合は、固定資産の登録時に「少額減価償却資産の特例」を選べば自動で処理されます。消耗品費として一発で費用計上してしまうと、決算書に載らず要件を満たさないので注意してください。

「買えば得」ではない

最後に確認です。この特例は買う予定があるものを、早く落とせる制度です。買う予定のないものを買っても、税金が減る額より出ていく現金のほうが多くなります(「経費を増やせば税金が減る」は半分ウソ)。

とくに赤字の年に使うのは損です。すでに税額がゼロなら、全額落とす意味がありません。通常の減価償却にして、黒字の年に経費を配分したほうが有利です。特例は選択制なので、使わないという判断もできます。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年3月に注文して4月に届きました。どちらですか。
原則として引渡しを受けた日(4月)が取得日です。したがって40万円未満のラインで判定します。納品書・検収書で日付を残してください。

Q. 中古のカメラを35万円で買いました。使えますか。
使えます。新品・中古を問いません。なお中古資産は耐用年数を短くできる計算方法もあります(中古の車・機材を買ったとき)。40万円未満なら特例のほうが簡単です。

Q. 車は対象になりますか。
40万円未満の車であれば対象です。ただし自家用と兼用なら按分が必要で、事業使用割合を掛けた金額が経費になります(車の経費はどこまで?)。

Q. ソフトウェアやホームページは?
ソフトウェアは無形固定資産なので対象になります。ホームページ制作費は、内容によって広告宣伝費として一括経費になる場合と、ソフトウェアとして資産計上する場合があります。

Q. パソコン本体とモニターを別々に買いました。合計すると40万円を超えます。
それ単独で機能するかどうかで判定します。モニターは単独で使えるので別々に判定できます。一方、セットでなければ機能しない機器(本体と専用ユニットなど)は、合計で判定します。

Q. 30万円の資産を、あえて通常の減価償却にできますか。
できます。特例は選択制です。赤字の年や、翌年以降に大きな利益が見込まれる年は、通常の減価償却のほうが有利になることがあります。

Q. 償却資産の申告をしていません。
償却資産申告書は市区町村へ毎年1月31日までに提出します。課税標準額が150万円未満なら税額は出ませんが、申告自体は必要です。未申告のままにしないでください。

Q. 改正前に買ったもので、30万円以上のものはどうなりますか。
2026年3月31日以前に取得したものは、その時点のルール(30万円未満)で判定します。あとから40万円未満に読み替えることはできません。

まとめ

  • 少額減価償却資産の特例が 30万円未満 → 40万円未満 に拡大
  • 適用は2026年(令和8年)4月1日以後の取得3月31日以前は30万円未満のまま
  • 同じ年でも取得日で判定が変わる。納品日を確認する
  • 青色申告が条件。白色では使えない
  • 年間300万円が上限。開業年は月割り
  • 判定は消費税の経理方式による。税抜経理なら税込43万9,999円まで入る
  • 特例を使った資産は償却資産税の対象。20万円未満は一括償却資産という選択肢もある
  • 使うには青色申告決算書に記載し、摘要に「措法28の2」と書く
  • 赤字の年は使わないほうがいい。特例は選択制
この記事の主な根拠(出典)

  • 租税特別措置法28条の2(中小事業者が機械等を取得した場合の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例)
  • 令和8年度税制改正(取得価額の上限を30万円未満から40万円未満へ引上げ。令和8年4月1日以後に取得等をして事業の用に供したものについて適用。適用期限を令和11年3月31日まで延長)
  • 所得税法施行令138条(少額の減価償却資産)/139条(一括償却資産)
  • 地方税法341条・383条ほか(償却資産に対する固定資産税。免税点150万円、申告期限1月31日)
  • 国税庁タックスアンサー「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」「少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
  • ※2026年時点の制度に基づく記事です。金額・適用期限・従業員数要件は改正されることがあります。適用にあたっては申告する年分の手引きで確認してください

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👉 12万円のパソコン、その年に全額経費で落とせない?
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この記事の位置づけ

この記事は「3 高いものを買ったとき・売ったとき」の詳細です。

節税は、やる順番で結果が変わります——コース全体のどこにあたるかは、全体像のページで確認できます。

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